2010年11月29日
BABOK(R)ガイドをお読みになった方も多いと思います。
ガイドの中で「要求管理ツール」がところどころ出てきます。
一体この「要求管理ツール」とはどんなものでしょうか。今回はこれを取り上げてみます。
まず、BABOK(R)ガイドから、関係する部分をみましょう。
知識エリア 「ビジネスアナリシスの計画とモニタリング」を見ると、
タスク2.1「ビジネスアナリシスのアプローチを計画する」では、
要素.7 要求アナリシスと要求マネジメントのツール
ビジネスアナリストは、「要求アナリシス」と「要求マネジ
メント」で使用するツールを識別しなければならない。
とあります。この「要求マネジメント」で使用するツールとは何でしょうか。
タスク2.5「要求マネジメントプロセスを計画する」でも関連する記述があります。
要素.1 リポジトリ
要求のリポジトリとは、要求を格納する手法である。
リポジトリに格納するのは、開発中の要求、および
承認された要求である。 ....
要素.2 トレーサビリティ
要素.3 要求属性の選択
-絶対参照
-作成者
-複雑性
-オーナーシップ
-優先順位
その他
いくつかのキーワードが出ていますね。要求属性などを管理するのはかなり面倒なことではないでしょうか。
また、知識エリア「要求のマネジメントとコミュニケーション」を見ると、
タスク4.2「要求のトレーサビリティをマネジメントする」では、
要素.3 構成管理システム
多数の要求をトレースするためには、一般に、要求をマネジメント
する特別なツールが必要である。
そのものズバリ、その必要性を明言しています。
どうも、要求の属性(絶対参照、作成者、複雑性、優先順位、...)を明確にし、トレーサビリティ(ビジネス要求、ステークホルダ要求、ソリューション要求、設計、コード、テストを追跡すること)を支援し、要求の変更があった場合、その影響(設計、コード、テストへの影響)を自動的にレポートしてくれるような特別なツールです。
昨年よりBABOKセミナーや認定コースの研修を実施していて、日本ではあまりなじみのないツールのようです。毎回のように質問しても、使用している人はほとんどいませんでした。インターネットで検索しても、海外のもの(Borland社やTelelogic社のもの)はあるようですが、日本製は目にとまりませんでした。
最近、日本製のものが出てきましたので、簡単にご紹介したいと思います。
「百聞は一見に如かず」なので、画面をご覧ください。
要求のリストです。
要求の属性(優先度、状態、リスク、難易度、安定度など)が一目瞭然です。
ステークホルダー要求とソリューション要求の対応表です。
これにより、トレーサビリティが確保されます。
同じトレーサビリティですが、ソリューション要求がなにも対応していない(すなわちトレースされていない)ステークホルダー要求を一目瞭然に示してくれます。
さすが、専用ツールだけのことはあるようです。
影響範囲も明確に示してくれます。要求に変更があった場合、どのモジュールに影響があるかが一目瞭然です。
上記は RaQuest という要求管理ツールです。
興味のある方は以下のURLを参照してください。
http://www.raquest.jp/
提供会社は以下のとおりです。
スパークスシステムズ・ジャパン株式会社
URL: http://www.sparxsystems.jp/
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