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 ITスキル標準がV2になり、まがいなりにも普及が進んできていると思います。そのこと自体は大変喜ばしいことですが、導入の方法、導入のレベル、成功・失敗(あまり失敗を認めていませんが)、など、ITSS導入(プロセス)の品質に関してはさまざまです。レベル認定を社内でしっかり規定して実施している企業もあれば、ただ診断ツールでの判定をそのまま使っているところもあります。教育体系もITSSに則って実施している企業もあれば、何もリンクしていない組織もあります。社内では認定していても、一緒にプロジェクトを組む協力会社の要員はITSSレベルに関係付けられていない、など、実にITSSプロセスの品質は大きくばらついているのが実情です。そろそろITSSプロセスの品質をモデル化するべき段階にあると考えているのは筆者のみでしょうか。多くの読者が筆者と同じように、スキル標準プロセスの品質モデルについて必要と感じているのではないでしょうか。   ソフトウェアプロセスの品質の成熟度モデル(CMMと呼ばれています)についてはご存知の方が多いと思います。読者の中でも取り入れている組織もある思います。ソフトウェアプロセスの品質改善には大変素晴らしい方法です。 そのCMMにヒントを得て、スキル標準(ITSS/ETSS/UISS)のプロセス改善の指標として、SSMM(Skill Standard Maturity Model)をご紹介します。 このモデルは清水が考案したものですが、まだモデルそのものも進化の段階にあります。丁度CMMがハンフリー教授(カーネギーメロン大学)の創案から、幾度の改訂をされ現在に至っていますが、そのオリジナルのCMMに相当するものとお考えいただければ光栄です。そのため、今後の改訂、改善のためにも、読者の皆様からのフィードバック/コメントを歓迎します。   全体像: SSMMの全体像は以下の通りです(まだITSSのみです、ご了承ください)。 CMM同様に、レベル1からレベル5まで定義しています。 レベル1: スキル標準導入の初期レベル レベル2: スキル標準が社内で認知されているレベル レベル3: スキル標準がビジネスに結びついているレベル レベル4: スキル標準によりビジネスがリードしているレベル レベル5: スキル標準が国際的に使われていて、グローバルビジネスに貢献しているレベル   SSMM全体の概要です。
 
 
 
                    
                      
                        |  | ビジネス戦略/ ビジネス効果
 | 人材像/ GAP分析
 | 教育体系/ キャリア計画
 | レベル認定 | その他 |  
                        | レベルT | ・ビジネス戦略が明確でない 
 ・請け負った仕事をこなすので業務は精一杯
 | ・人材をスキル標準のキャリアフレームにマップした 
 ・レベル診断ツールで診断した
 | ・教育体系は持っていない、あってもスキル標準以前のまま 
 ・キャリア計画は個人任せ
 | ・診断ツールの判定に頼っている | ・スキル標準を本格的に導入するべきか、様子を眺めている状態 |  
                        | レベルU | ・ビジネス戦略あるがスキル標準とリンクしていない | ・人材像はスキル標準をそのまま利用している 
 ・GAPがスキル項目レベルで管理されている
 | ・教育体系はITSSロードマップそのまま 
 ・個人別教育体系ない(ビジネスとのリンクなし)
 
 ・他社(関連会社)の実施している研修をそのまま取り入れている
 | ・社内認定はしているがサイロの状態 | ・スキル標準を導入しただけで、まだ活用されていない 
 ・スキル標準は役に立つのか疑問に思っている
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                        | レベルV | ・ビジネス戦略に基づき人材像が規定されている(スキル標準とリンクしている) 
 ・顧客満足につながっている
 | ・同左 
 ・定期的にスキル診断がされていて、スキル向上が見える化している
 
 ・エンジニアのモチベーションが高い
 | ・スキルギャップに基づき教育がリンクしている 
 ・個人のキャリア計画が明確
 
 ・教育効果レベル3(行動変容)が測定されている
 | ・社内とグループ企業で同じ基準で認定している(外部コンサルが関与している) | ・スキル標準が少しずつビジネスに効果が出てきているが、まだ顕著ではない 
 ・部分最適で、全体最適にはなっていない
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                        | レベルW | ・組織のコアコンピテンスが明確にある 
 ・スキル標準によりビジネスが成功し、リーディングカンパニーとして認められている
 
 ・または、スキル標準により新規ビジネスが立ち上がっている
 | ・コアコンピテンスとなる人材像が規定されている 
 ・多くのエンジニアが自己実現している
 
 ・引く手あまたの人材が豊富にいる
 | ・個人のキャリア計画が組織のビジネス戦略と完全に整合している 
 ・教育効果レベル4(ビジネス効果)が測定されていて、かつ効果が出ている
 | ・国内基準に準拠している 
 ・外部コンサルタントによる客観的な認定が実施されている
 | ・顕著にスキル標準がビジネスに効果が出ている 
 ・全体最適が実現している
 
 ・組織の無形資産が有形資産よりはるかに多く市場で認められている
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                        | レベルX | ・スキル標準によりグローバルビジネスが成功している | ・TBD | ・TBD | ・グローバルにスキル標準が使われている 
 (・ITSSがグローバル標準になっている)
 | ・社内のみならず、グループ企業全体で最適化されている 
 ・グローバルで最適化されている
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 いかがでしょうか。読者の皆さんの組織のITSS導入の成熟度はどのレベルでしょうか。
 各レベルの詳しい解説です。
 該当するレベルをクリックするか、矢印をクリックしてください。
 
 
 レベル1: スキル標準導入の初期レベル レベル2: スキル標準が社内で認知されているレベル レベル3: スキル標準がビジネスに結びついているレベル レベル4: スキル標準によりビジネスがリードしているレベル レベル5: スキル標準が国際的に使われていて、グローバルビジネスに貢献しているレベル 
 
 
  
 
 
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