|                                                   2009年1月19日
 
 2008年10月21日にIPAより「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」が発表されました。ITSS/UISS/ETSSさらに情報処理技術者試験に共通のキャリアとスキルに関するフレームワークとして、まとめられたものです。 大変興味深いものだと思いますので、解説いたします。   1.「共通キャリア・スキルフレームワーク」の背景 2.「共通キャリア・スキルフレームワーク」の目的 3.「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」の内容 4.「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」の問題/課題と改善点 以下、順番に解説していきます。   今号では、3.「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」の内容をご紹介します。
 
 
   3.「共通キャリア・スキルフレームワーク 第一版」の内容(概要) 以下の5項目に分けて説明します。 −キャリア −レベル −知識体系 −3スキル標準との関係 −情報処理試験制度との関係   3.1 キャリア 
 3つのスキル標準では独自のキャリア(職種)を定義していることはご存じだと思います。 
 
  
 
   職種名もかなりユニークなのはお分かりになると思います。でも似たもの(近いもの)もかなりあると思います。同じスキル標準の中にも、似た(近い)職種がありますね。ではそれらを思い切ってまとめてみましょう。   
  
 これは極めて単純です。「XXアーキテクト」という職種を集めてみました。全体に「システムアーキテクト」というラベルを付けました。簡単ですね。   
  
 
 これはプロジェクトマネージャをまとめたものです。ETSSでは聞き慣れない「開発プロセス改善スペシャリスト」などがあります。これは、「開発プロセスを改善するプロジェクト」を担当しますから、やはり「プロジェクトマネージャ」に近い職種と言えます。 
 
  
 
   技術的な専門家を思い切ってくくってみた図です。全体のラベル付としては「テクニカルスペシャリスト」となります。かなり似ていることがよくわかります。   つづいてシステム構築の後工程、運用やサービスもまとめてみましょう。   
  
 
   組込みの世界では、運用・サービスはありませんので(携帯電話や自動車は販売されれば一般ユーザの元に商品が移行しますから)、ITSSとUISSだけに職種が存在します。このようにまとめると、UISSに似た職種が多いようですね。   それ以外の職種、営業やマーケティング、ビジネス戦略を考える人達も思い切ってまとめます。 
  
 
 全体のラベルとしては「ストラテジスト」です。セールスがなぜ戦略家(ストラテジスト)などと細かなことを気にしないでください。強引かもしれませんが、こうでもしないとまとまりません。   さらに、「システムアーキテクト」「プロジェクトマネージャ」「テクニカルスペシャリスト」「サービスマネージャ」の4人材像をひとくくりにすると「ソリューション系」の人材類型といえます。ワンレベル上の抽象度でまとめています。「ストラテジスト」はそのまま「基本戦略系」の人材類型となります。 全体をまとめると各々の人材像と3スキルの職種の対応ができます。 
  「共通キャリア・スキルフレームワーク第一版」より引用
 
   似た職種をまとめてラベルを付け「人材像」とし、さらに抽象度をあげて「人材類系」にしたものと考えると、上の「共通キャリア・スキルフレームワーク」もわかりやすいのではないでしょうか。 
   各々の人材像の役割も次のように定義されています。 
 
  | 人材類型 | 人材像 | 役割 |  
  | 基本戦略系 | ストラテジスト | IT を活用したビジネス価値の増大をリードする。 |  
  | ソリューション系 | システムアーキテクト | ビジネス戦略に対して最適なシステムをデザインする。 |  
  | プロジェクトマネージャ | 与えられた制約条件(品質、コスト、納期等)下で、信頼性の高いシステム構築を総括する。 |  
  | テクニカルスペシャリスト | データベースやネットワーク等の技術ドメインでの実装を担当する。 |  
  | サービスマネージャ | 継続的な高い信頼性を確保しつつ、システムを維持する。 |  
  | クリエーション系 | クリエータ | 新たな要素技術の創造等により社会・経済にイノベーションをもたらす。 |  
  | その他 | (記述なし) | ITSSのエデュケーション |  「共通キャリア・スキルフレームワーク第一版」より抜粋  
 3.2 レベルの定義 つづいて、レベルの定義です。 
  
 「共通キャリア・スキルフレームワーク第一版」より引用   ITSS、ETSS、UISSの3標準とも基本的に上のレベル定義と互換性のある内容になっています。 第一版ですが、レベルの定義は共通になって大変好ましいと思います。   
 
 
 
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 
 
 
 
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