| 2009年6月23日 
   
 
 
 
 
   
 5.6 知識エリア「ビジネス・アナリシスの計画とモニタリング」とスキル標準 
  
 
 BABOK(R)ガイドの第2章に書かれている知識エリア「ビジネス・アナリシスの計画とモニタリング」です。本当はもう少し早く解説するべきだったかもしれませんが、スキル標準との関係があまり明確に感じられませんでしたので、後回しになってしまいました。 
 この知識エリアのタスクは以下のように6つあります。 
   -ビジネスアナリシス アプローチを計画する 
   -ステークホルダ分析を実施する 
   -ビジネスアナリシス活動を計画する 
   -ビジネスアナリシス コミュニケーションを計画する 
   -要求管理プロセスを計画する 
   -ビジネスアナリシス パフォーマンスを管理する 
 ご覧の通り、4つのタスクが「~を計画する」というプラニングに関するタスクです。PMBOKでは「計画プロセス群」に相当すると考えられます。 
 スキル標準では計画するプロセス群は明示的には存在しません。暗黙的に計画をしているところです。PMBOKを見ても分かる通り、計画は重要ですので、今後スキル標準の導入にもしっかりプラニングを明示プロセスとして扱っていくべきものだと思います。 
 特にタスク「ビジネスアナリシス コミュニケーションを計画する」では、文化的側面まで考慮することになっています。 
  -時間の感覚 
  -作業の責任感覚 
  -契約に対する感覚 
  -公式な権限への感覚 
 スキル標準を導入する際、その企業の文化を考慮しないとうまくいかなくなることがありますので要注意です。ビジネスアナリシスの知恵を活用したいと思います。 
   
 タスク「ステークホルダ分析を実施する」ですが、これもスキル標準ではほとんど考慮されなかったのではないでしょうか。特にステークホルダの態度、影響などを考慮している組織はどのくらいあるでしょうか。 
 
  
 
 BABOK(R)ガイドVer2.0より引用   上図のような「ステークホルダ分析」のテクニックはスキル標準でも有効です。 RACIマトリクスは各々のプロセス(タスク)における各ステークホルダの役割を明確にします。  Responsible:仕事をする人  Accountable :意志決定者  Consulted: 相談受ける人  Informed: 結果を通知する人 ステークホルダマトリクスと玉ねぎ図(Onion Diagram)は絵を見ればお分かりになると思います。 多くのエンジニア、マネージャ、経営者をステークホルダとして特定し、その特徴、ニーズなどを明確にすることは極めて重要です。明確なプロセス化することにより、スキル標準の導入プロセスの成熟度も高くなると思います。当然行うべきことだと思います。   5.7 知識エリア「引き出し」とスキル標準
 
  
 この知識エリアでは、4つのタスクがあります。   -引き出しの準備をする   -引き出し活動を実施する   -引き出した結果を記述する   -引き出した結果を確認する 引き出すものとしては「要求」と「ステークホルダの懸案事項」があります。「要求」はスキル標準でも当たり前のプロセスになっていますので、何も明示されていません。全ての活動の基本として暗黙のプロセスになっています。
 しかし「ステークホルダの懸案事項」はほとんど考慮されていなかったのではないでしょうか。BABOK(R)のように明示することによって、「ステークホルダの懸案事項」をより明確にすることができるのではないでしょうか。特に影響を受けるのはエンジニアです。自分得意とする職種が高いレベルまで存在するかどうか。どのレベルに認定されるのか。レベル向上するための教育プログラムの有無などを懸念すると思います。今後そのような懸案事項を明確にすることを、スキル標準でも取り入れるべきものだと思います。   この知識エリア「引き出し」で重要なのは、テクニックです。
    -ブレーンストーミング    -ドキュメント分析  -フォーカスグループ  -インターフェース分析  -インタビュー  -観察  -プロトタイピング  -要求ワークショップ  -調査/アンケート すべてが「スキル標準」で有効に使えるというわけではありません。ソフト開発ならではのものも見受けられます。しかし「スキル標準」でも共通に役に立つものも多いと思います。 例えば、以下のものです。   -ブレーンストーミング   -フォーカスグループ(スキル標準ではプロコミに相当)   -インタビュー   -観察   -要求ワークショップ   -調査/アンケート(スキル標準では満足度調査)   このように、スキル標準もプロセス(タスク)を記述するだけでなく、そのプロセス(タスク)を実行する上で必要となるテクニックも明確にしておくことが有効ではないでしょうか。     次回は「基礎コンピテンシ(Underlying Competencies)」について扱います。 
 
 
 
 
    
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
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