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【プロジェクトマネジメントを成功に導くビジネスアナリシス】(その3)

2013年2月12





 

引き続き、PMBOKのプロセス「要求事項収集」のアウトプットです。

前回は「要求事項文章」を解説しましたので、今号ではアウトプット「要求事項マネジメント計画書」について解説します。

まず、PMBOK4版を見てみましょう。

「要求事項マネジメント計画書」の構成要素として以下が挙げられています。

 -要求事項に関する活動の計画、追跡、報告の方法

 -コンフィギュレーション・マネジメントの活動

 -要求事項の優先順位付のプロセス

 -適用する成果物の評価基準およびそれを使用する理由

 -トレーサビリティの仕組み

これだけ見て、何だかわからない読者も多いと思います。PMP資格者ですらわかりづらいのではないでしょうか。

 

これはBABOKの「2.5要求マネジメントプロセスを計画する」タスクのアウトプット
「要求マネジメント計画(2.5)」に相当します。

この要求マネジメント計画に記述されるべきものは下記の通りです。

 -トレーサビリティを構造化するためのアプローチ

 -使用する要求属性の定義

 -要求の優先順位づけプロセス

 -変更をどのように要求、分析、承認、実装するかという要求変更プロセス

 




「2.5 要求マネジメントプロセスを計画する」タスクでは何をするのでしょうか。
BABOK
によると、重要な要素として6つあります。

1.  リポジトリ

2.  トレーサビリティ

3.  要求属性を定義する

4.  要求の優先順位付プロセス

5.  変更管理

6.  要求マネジメントプロセスのテーラリング

各々、解説します。

1.リポジトリ:
要求に関する情報をリポジトリにより一元管理することが推奨されています。開発中の要求、レビュー中の要求、承認された要求(ベースライン)が管理されます。そのためには、要求管理ツールが便利です。


2.トレーサビリティ:
要求をトレースするかどうか、またその方法を決めます。BABOKガイドには明示されていませんが、具体的には要求管理ツールの機能を使用することが便利です。


3. 要求属性:
 BABOK
ガイドには多くの要求属性が紹介されています。例えば、
  -絶対参照
  -作成者
  -複雑性
  -オーナーシップ
  -優先順位
  -リスク
  -情報源
  -安定
  -状態
  -緊急性
その他として、コスト、改訂番号、追跡元、追跡先...などです。
 当該プロジェクトにおいて、どの要求属性で管理するのかを決めるのです。例えば、大規模プロジェクト(納期1年以上)では管理するべき属性も多いでしょう。一方、短期間(例えば半年程度)のプロジェクトでは、大規模プロジェクトより少ない属性で管理すればよいかもしれません。ですからプロジェクトごとにどの属性で管理するか決める必要があります。それをこのタスクで、プロジェクトの初期に計画します。
 お分かりだと思いますが、要求は発生直後から管理するものです。ベースライン化した後の変更要求のために要求を管理するのではありません。日本のソフトウェア開発プロジェクトでは、変更要求だけを管理しているケースが多いように思いますが、読者の皆様はいかがでしょうか。
 プロジェクトマネジメントのPMBOKの「要求事項マネジメント計画書」から、ここまで読み取れるでしょうか。

続きは次回までお待ちください。