| 2010年6月28日 
 
 
 2010年6月18日(金)と25日(金)、2週連続でスキル標準ユーザー協会主催の【スキル標準成熟度モデルセミナー】が開催されました。講師を務めましたので、内容を解説します。 今号から3回にわたりセミナー内容を解説します。   1. 2009年度「スキル標準成熟度モデル(SMM)実証実験」の振り返り 1.1 スキル標準成熟度モデル(SMM)とは 1.2 SMMの構造 2. 2010年の改訂SMM(SMM2010)の解説 2.1 主な改訂 2.2 「ビジネス戦略」カテゴリーのプロセス領域、ゴール、プラクティス 2.3 「人材戦略」カテゴリーのプロセス領域、ゴール、プラクティス 2.4 「キャリアモデル/認定」カテゴリーのプロセス領域、ゴール、プラクティス 2.5 「人材育成」カテゴリーのプロセス領域、ゴール、プラクティス 3. 無料診断 
 
   1. 2009年度「スキル標準成熟度モデル(SMM)実証実験」の振り返り まず、以下のURLでユーザー協会の2009年度「スキル標準成熟度モデル(SMM)」小委員会発表資料をご覧ください。 URL: http://www.ssug.jp/docs/conference2010_pdf/seminer1-5-2.pdf   「IT人材白書2010」では、ITSSは1001名以上のIT企業の85%以上で導入されています。検討中を含めると約92%になります。でも果たして本当でしょうか。 ITSSの導入とは一体何を意味するのでしょうか。簡易診断ツール(DSやレベルチェッカー、その他)でエンジニアのレベル分布を出しただけの企業もあれば、社内認定制度を構築し役員が全員を面接し、レベルを認定している企業もあります。この両者を同じITSSを導入している、と言ってよいのでしょうか。 ITSSをベースに人材を育成しビジネス結果に活かしている企業もあれば、単に元請けからの要請により簡易診断ツールでレベルを判定しただけで人材育成とは程遠い企業もあるようです。等々... ITSS導入の程度(レベル)には大きな温度差があると思います。 そろそろ、その温度差を測る手段が必要ではないでしょうか。 一方、前述した「IT人材白書」で多くのIT企業が導入はしたものの、ビジネス成果には至っていない企業も多いようです。導入はしたもののどうしたらビジネスに結びつけたらよいのか分からなく悩んでいます。経営者からみるとコストはかけても実利を得るには程遠い状況かもしれません。このままの状況が続くと、「ITSSは役に立たない」と感じる経営者も出てくるかもしれません。そうならないためにはどうしたら良いのでしょうか。 というわけで、ITSS導入の温度差を測る(見える化の)手段として考えたのが、この「スキル標準成熟度モデル(SMM)」です。同時にSMMは「見える化」だけでなく、改善点を一目瞭然にしてくれます。ですから具体的対策をとることができ、早くビジネス成果に結びつけることが可能になります。 
   1.1 スキル標準成熟度モデル(SMM)とは   スキル標準成熟度モデルの全体像  
 スキル標準ユーザーズカンフェランス2010発表資料より引用     スキル標準成熟度モデル(SMM)の全体像です。
 4つのカテゴリーと5つのレベルからなります。 カテゴリー: ビジネス戦略、 人材戦略、 キャリアモデル/認定、 人材育成 レベル  : CMMと同じ5段階   各レベルの特徴は以下のとおりです。  レベル1(Adhoc):  スキル標準を導入するか様子を眺めている状態    確立されたプロセスはありません
 
    レベル2(Managed):    スキル標準を導入しただけ。    個別プロセスがあり、その中でPDCAが回っている。    その結果スキル標準導入による効果は出ていません。    しかし、「事業戦略」や「研修の実施」など基本的な個別プロセスができてきますので、 組織の底上げとしては、重要なレベルです。このレベルをスキップしていきなり上位 レベル(レベル3など)を目指しても、挫折することになります。例えば、どんなに立派な ビジネス戦略を作成(レベル3)しても、研修体系や研修実施体制が存在しない限り、 人の育成はレベル3に到達できませんので、ビジネス戦略を実行することができません。 物事には順序があります。 
 レベル3(Defined):
    全プロセスが有機的にリンクしています。 
   スキル標準によりずつビジネスの効果が出始めます。 
   早くこのレベルに到達する必要があります。
 
 
 レベル4(Quantatively Managed):
    有機的に結合したプロセスが定量的に管理されていて顕著な効果が表れている レベル5(Optimized):
    定量的に管理された全プロセスが最適化されている     1.2 SMMの構造    
 スキル標準ユーザーズカンフェランス2010発表資料より引用     各カテゴリーにはいくつかのプロセス領域があります。     カテゴリー       プロセス領域 ビジネス戦略:        【ビジネス戦略】 【事業計画】 【顧客満足度調査】 人材戦略 :        【人材育成戦略】 【従業員満足度調査】 キャリアモデル/認定: 【キャリアモデル】 【Jobアサイメント】 【キャリア認定】 人材育成 :        【研修】 【OJT】   レベル3では上のように合計10個のプロセス領域があります。 そして、上図のようにV字モデルをイメージしています。   例えば、カテゴリー「キャリアモデル」では、プロセス領域【キャリアモデル】でキャリアモデルを策定し、人材ポートフォリオを提示します。それに基づいてJobアサイメントや【人材育成】プロセス領域で研修、OJTを実施します。それらの活動(プラクティス)がうまくいっているかどうかを、【キャリア認定】プロセス領域でチェックすることになります。   その上のカテゴリー「人材戦略」では、【人材育成戦略】に基づいてキャリアを定義し、スキルを定義したりします。それに基づき、「キャリアモデル/認定」「人材育成」を実施します。それらの活動がうまくいっているかを【従業員満足度調査】でチェックします。   
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
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