| 
 
  
 
 
  
 
 UISSの利用状況の低さ  全体: 1.7%   100人以上: 3.2% (n=95なので) 3社のみ  300人〜1000人未満: 1.2% (n=85なので) 1社のみ 合計してもわずか4社のみがUISSを使用している状況です。 それだけ、普及していないものです。やはりまだ新しいので仕方ないのでしょうか。 
 
  
 
 なぜこのデータが出せるのでしょうか。UISSを導入している企業は大企業を含めてもわずか4社のみです。4社だけのデータでしょうか。そうではなく、n=237の数字のようです。   
  
 
 UISSを使用している企業(4社)はだせると思いますが、残り233社は(UISSを使用していませんから)このようなデータは出ないと思います。 そのカラクリは何でしょうか。 調査票の【回答上の注意点】に以下のくだりがあります。    ◆複数の職種を兼ねた人材の場合は、主たる(従事時間が最長の)業務を元に、 職種を1つに特定(片寄せ)してお答えください。【重複不可】.....   
 つまり、実業務(タスク)をベースに架空の職種に無理やり合わせて作り上げたデータということです。かなり恣意的なものだと思います。捏造とまでは言いませんが、本来はタスクの分布図を出すべきものです。それを「人材像とタスクの関連」の表を見せ、回答してもらったようです。
 ユーザー企業側は、実タスクをベースに、自社の職種とは異なる「人材像もどき」に無理やり合わせて回答したようです。
 
 P86に「今回の調査では、情報システムユーザースキル標準の職種別に、調査対象企業における人材数を尋ねた。」とありますが、「人材数」を尋ねたのではなくて、無理やり「片寄せ」した「人材像もどき」を尋ねただけのことです。 
   
 その結果、あたかも237全社がUISSの「人材像もどき」で職種ができているような錯覚を起こさせやすくなっています。しかも何も但し書きがありません。錯覚したのは筆者だけでしょうか。読者はいかがでしょうか。 
   
 そして「人材像もどき」を「人材像」と表記することは大変危険ではないでしょうか。事実でないことを事実と勘違いして、この後の推論や結論をミスリードすることになりかねません。 
   
 ここは、むしろタスクの分布図を出すべきだったと思います。人材像(ビジネスストラテジスト、ISストラテジスト、プログラムマネージャ、....)に無理やり変換させるのは大変危険です。するべきではありませんし、できないのが正しいと思います。
 
 人材像ができないと、経産省が描いている共通キャリア・スキルフレームワーク: 
   ストラテジスト 
   システムアーキテクト 
   サービスマネージャ 
   プロジェクトマネージャ 
   テクニカルスペシャリスト 
 の分類が成立しなくなり、情報処理技術者の新試験制度の根幹が崩れてしまうので困るのでしょうか。 
   
 もしそうだとすると。それはそれで良いのではないでしょうか。 
 UISSは企業により自由に人材像を作れるのがメリットです。そのため、タスク(やファンクション)を標準化したものであり、決して人材像(職種)の標準ではありません。この調査にもあるように、5人未満のIS要員しかいない中小企業もあれば、50人以上のIS要員のいる大企業もあります。それらの人材像(職種)が同じであるわけがないのです。それを無理やり、「人材像もどき」やキャリアフレームワークに押し込めようとするからおかしくなるのです。
 
 これではUISSの普及は程遠いものになるのではないでしょうか。 
   
 この調査に協力されたユーザー企業233社(n=237マイナス4社)の担当者は大変だったと推察します。自社の職種とは関係のない「人材像もどき」に置き換えて、回答しなければいけないのですから。それにも関わらずに調査に協力 
 されたことに心から敬意を表します。筆者なら、このような調査には協力しない(少なくともこの項目に関しては)でしょう。よほど、経産省に協力的なのでしょうか、それとも....。 
   
 まず、4社の具体的なタスクのリストと、職種のリスト(各社バラバラだと思います)を提示したらいかがでしょうか。そうすれば、この調査の課題と次回調査への改善点が出てくると思います。この調査を同じ質問項目で継続することは 
 データの信ぴょう性と、読者の信頼を著しく欠くことになると思います。 
   
 今回の調査で行うべきだったこと(つまり、今後の調査で行うべきこと)は次のことではないでしょうか。 
   
  1.無理やり「人材像(もどき)」データを出すのではなく、UISSで標準化 
    されている「タスク」を調査する 
  2.UISSでの人材像(もどき)が本当に有効なのかどうかを検証する 
   
 UISSはあくまでタスクを標準化したもので、人材像(職種)は標準化できないはずです。また、する必要もありません。その基本的なことの理解が不足したまま、この調査を実施されてしまったような気がします。大変残念です。 
   
 まずは、今回「UISSを利用している」と回答してくれた4社に追跡調査されたらいかがでしょうか。わずか4社ですから、大きな手間がかかるわけではありません。 
 4社における具体的人材像(職種)の実態はUISSの人材像とどれだけマッチしているのでしょうか。また、新しい「共通キャリア・スキルフレームワーク」の人材像ではどうでしょう。 
 4社の共通点、相違点を明らかにするだけでも次回以降の調査の改善点が見いだせると思います。 
   
 せっかく有意義な調査を開始したと思います。改善するべきことは早く改善して、次回の調査に活かしていただければと思います。 
 
 【前編に戻る】
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 |