2008年3月31日、ITスキル標準V3(ITSSV3)が発表されました。
・ITスキル標準V3(バージョン3)の公表
URL: http://www.ipa.go.jp/about/press/20080331-1.html
「ITスキル標準V3 1部:概要編」より抜粋です。
【ITスキル標準V3改訂のポイント】
@レベル1、2の職種を共通化
レベル1、2の職種については、専門分野の基礎的知識を共通化し、指標を統一した。
Aレベル評価手段として情処理技術者試験の活用(レベル1〜3)
客観的な人材評価メカニズムの構築を可能にするため、ITスキル標準のレベル1〜3の評価について、基本的に情報処理技術者試験の位置づけを明確化した。
B専門分野の変更
プロフェッショナルコミュニティによる平成18年度改善提案を受け、コンサルタント、ITスペシャリスト、アプリケーションスペシャリスト職種で専門分野を再定義した。
順次解説していきたいと思います。
まず、「@レベル1,2の職種の共通化」について解説します。
従来のITスキル標準V2/2006では、レベル1,2の職種は、以下のとおりでした。
セールス
ITスペシャリスト
アプリケーションスペシャリスト
ソフトウェアデベロップメント
カスタマーサービス
ITサービスマネジメント
各々の職種のスキル領域とスキル熟達度を定義していました。
例えばセールスを見ましょう。レベル1,2に共通な共通スキル項目は以下のとおりです。
−顧客環境分析
−ITソリューション提案
−顧客満足度管理
−セールス事務管理
−ビジネス戦略
−プロジェクトマネジメント
−リーダーシップ
−コミュニケーション
−ネゴシエーション
また、ITスペシャリストのレベル1,2のスキル項目は以下のとおりです。
−テクノロジー
−デザイン
−ソフトウェアエンジニアリング
−業務分析
−プロジェクトマネジメント
−リーダーシップ
−コミュニケーション
−ネゴシエーション
かなり、スキル項目そのものがレベル1,2で異なっていることが分かると思います。
2つの職種に共通なスキル項目はプロジェクトマネジメント以降の4つです。
いわゆる縦割りの構造です。職種毎にスキル項目が規定されていて、レベル1からレベル7まで全く同じスキル項目です。他の職種も同様です。そして、プロジェクトマネジメント、リーダーシップ、コミュニケーション、ネゴシエーションの4つのスキル項目が全職種(11職種)に共通です。
ITスキル標準V3ではどうでしょう。まず、レベル1,2のある職種は同じです。
セールス
ITスペシャリスト
アプリケーションスペシャリスト
ソフトウェアデベロップメント
カスタマーサービス
ITサービスマネジメント
そして、この6職種のレベル1,2のスキル項目を共通化したものです。テクノロジ系とマネジメント系そしてストラテジ系の3分野に分類されています。
【テクノロジ系】
−基礎理論
−アルゴリズムとプログラミング
−コンピュータ構成要素
−システム構成要素
−ソフトウェア
−ハードウェア
−ヒューマンインターフェース
−マルチメディア
−データベース
−ネットワーク
−セキュリティ
−システム開発技術
−ソフトウェア開発管理技術
【マネジメント系】
−プロジェクトマネジメント
−サービスマネジメント
−システム監査
【ストラテジ系】
−システム戦略
−システム企画
−経営戦略マネジメント
−ビジネスインダストリ
−企業活動
−法務
−リーダーシップ
−コミュニケーション
−ネゴシエーション
これらの要求されるスキル項目の違いをどう考えたらよいのでしょうか。
どちらが正しいのでしょうか。
エントリレベル(という言葉はなくなりましたが)では、職種にこだわらずに、なるべく幅広い基礎的な知識を身につけましょう、という意図だと思いますが、むしろ情報処理技術者試験と整合するというのが真の目的です。どちらが正しいかという、議論は何もなされていません。この議論はあってしかるべきものだと思いますが少し残念です。
そして、すべて単なる知識です。スキル(できること)はなにも求められていません。しかも中途半端な(選択問題に答えられる程度の)知識です。ないよりあった方が良いかもしれませんが、現場で遭遇しても使えるレベルのものでもありません。
達成度指標を見るとその意図がより明瞭に表われています。
【ビジネス貢献】 レベル1
責任性:上位者の指示の下、......参画し、指導を受けて実施した経験を有する。
複雑性:複雑性を問わず、要求された作業に参画した経験を有する。
サイズ:サイズを問わず、要求された作業に参画した経験を有する。
〈注釈〉
−情報処理技術者試験「ITパスポート試験(IP)」に合格していることで、
当該レベルで期待されている必要最低限の能力レベルに到達している
ものと見なすことができる。
せっかく、【ビジネス貢献】で「実施した経験を有する」とうたっていますが、最後の〈注釈〉で、「ITパスポート試験(IP)」や「基本情報技術者試験(FE)」の合格が条件(見なすことができる)になっています。
【Part2に続く】
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