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【ITスキル標準とテクノロジーライフサイクル】(その2)


1.2.1 ITスキル標準V1のホールプロダクト

客観的に見ると、V1当時のITSSはまだ研修ロードマップはあるもののそれを提供してくれる研修ベンダーも少なかったと思います。 診断ツールも今と比べると貧弱なもので、 プロフェッショナルコミュニティもまだ立ち上がっておらず、導入をコンサルティングできる人材も非常に限られていたと思います。すなわちホールプロダクトという観点で見ると、極めて貧弱な状態だったと言わざるを得ませんでした。


それでも、前述の初期市場の先駆者のIT企業は、この乏しいホールポロダクトを自らの手で補充するべく尽力してきたのです。

 

1.2.2 ITスキル標準V2のホールプロダクト


V2では、コアプロダクトそのものも強化されました。それだけではありません、周りのホールプロダクトをご覧ください。UISS、認定コンサルタント、導入者制度、ポータルサイト、進化した診断ツール、など。V1のホールプロダクトとは比べ物にならないくらい充実してきました。

このV2ホールプロダクトの中では、特にUISSがポイントだと思います。ファイザー様で示唆されるのは、大手ユーザー企業の情報システム部門がITSS/UISSを導入すると、そこに出入りしている協力会社のIT企業は否応なしにITSSを導入せざるを得ないということになるのです。いわば購入(導入)の必然性(CRTBCompelling Reason To Buy)が発生することになります。

認定コンサルタント(筆者もその一人)がスタートしました。まだ少人数ですが、ITSSの普及には欠かすことのできない存在です。

導入推進者制度も普及します。企業内導入者に対しての認定研修です。現在はユーザー協会が主催していますが、近い将来複数研修ベンダーが研修プログラムの一環として提供し、ユーザー協会は認定証の発行を行う。と役割分担をし、より多くの導入者の育成が可能になります。

学校教育との連携まで出てきました。「新潟コンピューター専門学校」がカリキュラムに導入し始めました。大変素晴らしいことだと思います。

ポータルサイトは画期的なアイデアで、ITSSに関する情報の集約を行うサイトです。すでにオープンし大変多くアクセスされています。筆者も毎日のようにアクセスしています。ITSS/UISS/ETSS/試験制度の最新の情報を得るのには最適なサイトとなっています。

ポータルサイトのURLは以下のとおりです。

URL: http://now.itssug.org/

 

 これだけホールプロダクトがそろってきたおかげで、ITスキル標準はキャズムから脱出しメイン市場にたどり着くことができたのです。

 

1.2.3 ITスキル標準V3のホールプロダクト





ITスキル標準もV3となり、そのホールプロダクトの充実は目を見張るものがあります。

何といっても「情報処理技術者試験」との融合が最も大きなものでしょう。いくつかの課題はあります(あとで詳述)が、市場に与えるインパクトは極めて大きいものがあります。いわゆる情報処理技術者試験派とも言うべきマーケットセグメント(社内の資格保持者の人数を公表しているIT企業)が一挙にITスキル標準を導入することに等しくなります(その弊害も予想されますが後で解説します)。

ETSSも活動範囲に入ってきました。UISSV1.2になり、よりITSSとの親和性が高まってきています。

コンサルタントも増えてきました。筆者が認定されたとき(200611月)は、わずか5名のみでしたが、10名を超えています。認定コンサルタントのコミュニティもスタートしました。大変レベルの高いコンサルティング活動をされている方ばかりです。

弊社の「スキル標準成熟度モデル」も注目されています。特にCMMを導入している組織にはぴったりのようです。発表以来Webページのアクセスがトップレベルです。

最近、「企業認定」も検討され始めました。詳細は分かり次第報告します。

ITSS人材NET」は第三者(日経HR)による、ITSSを活用した人材紹介サービスです。以前からもパソナテックなどがITSSをベースに人材スキルを可視化し、中途採用などに活用してきました。この「ITSS人材NET」は、さらにもっと積極的にプロジェクトベースで人材の融通ができるようにという極めて大胆な試みです。これのホールプロダクトにおける意味は極めて重要です。

実利主義者は、サードパーティがマーケットリーダーの製品をサポートする方向に動くことを知っていますから、実績のあるマーケットリーダーからテクノロジー製品を購入しようとします。それがデファクトスタンダードになるための条件です。「人材マッピング」はまさに新技術に対するサードパーティベンダーに相当し、ITSSが実利主義者に受け入れられる可能性が強いことを示唆しています。

 

「モデルカリキュラム」は研修ロードマップを更に具体化したものです。研修コースそのものが作成できるように具体的内容が記述されています。未経験レベルで3科目、レベル111科目が今年の6月に公開される予定です。レベル2以上も早く出てくるといいですね。

「プロフェッショナルコミュニティ」も大変充実してきました。昨年度新たに「エデュケーション」のコミュニティが発足し、合計7職種のプロフェッショナルコミュニティが活動しています。特にエデュケーションは他のコミュニティと趣が異なります。専門職としてのみならず、ITスキル標準を導入・運営する部署という意味合いが加味されると思います。7月の活動報告を期待しましょう。

 

 

ITスキル標準がV3になり、ホールプロダクトがいかに充実してきたかお分かりになったと思います。




【次ページに続く】


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