3. 情報サービスのセグメンテーション/ポートフォリオを考えましょう。
セグメンテーションのやり方はさまざまです。
例: 戦略性−日常性、高度な技術−枯れた技術、ビジネスへの焦点、個人への依存度
企業の特色に応じて、座標軸を選び、セグメンテーション(細分化)するのがよいでしょう。
セグメンテーションの目的はIS部門でサポートするべきサービスと、外部(アウトソーサー)
にサポートしてもらうサービスに区別しやすくするためです。全てのサービス(セグメント)をISが
サービスするのはコストもかかり現実的ではありません。
外部に任せたほうがコストも品質も良いサービスがあると思います。自前主義にこだわら
ないようにしましょう。
ISがどのセグメントにフォーカスするかを明確にしましょう。その根拠を考えます。
4.IS部門の競争相手は誰でしょうか? アウトソーサーとの比較をしましょう。
アウトソーサーとして、情報システム子会社を持つ企業もあると思います。
アウトソーサーの強み、弱みは把握できているでしょうか?
IS部門の強み、弱みは何でしょうか。
お客様である事業部内にIS機能はありませんか?
事業部ISの強み、弱みは何でしょうか。IS部門との役割分担でベストな方法を考えましょう。
事業部ISとのアライメントは極めて重要です。部分最適を避け、全体最適にする方法を協議する
必要があります。
各セグメントにおける、IS部門の競争優位性はいかがでしょうか。
IS部門が優位なものとアウトソーサーが優位なものを識別しておきましょう。
社内のIS機能の役割分担も明確にする必要があります。
競合比較は一般の「ビジネス戦略」と異なります。真の競合があるわけではありません。
アウトソーサーとのすみわけ方法を競合の部分で考えます。
情報システム子会社がある場合、彼らの戦略も事前に調査しておく必要があります。
独立性が強い場合は、外販に力を入れることもあり、親会社の思い通りになるとは限りません。
5.3年後でも競争優位な立場にあるセグメントは何でしょうか?
フォーカスするセグメントで3年以上競争優位になるためには何をしたらよいでしょうか?
例えば、人材を育成することが重要です。人材を外部から調達する必要もあるかもしれません。
このサービスセグメントを確立することがIS部門としてのコアコンピテンスを発揮する
ことになるのではないでしょうか。組織の目的(存在理由)につながります。
もしなれないなら、なれるまでセグメンテーション(細分化)を考えなおしましょう。
6.各組織が求める理想の情報サービスは何でしょうか?
(お客さまが求めるものであって、IS部門が提供できるものだけとは限りません。
それをしっかり把握できているでしょうか?)
では、それをIS部門だけで提供できるでしょうか?
できないとしたら、誰とパートナーを組むのが最適でしょうか?
−IS部門で提供することが適切なサービスは何でしょうか?
→要件定義、設計、開発、運用 どのフェーズをIS部門が担当するべきでしょうか?
→それをお客さまに届けられる人材・スキルを保有しているでしょうか?人数は?
→UISSを参照しながら考えましょう。→この後で、人材戦略を作成します。
−パートナーに提供してもらうサービスは何でしょうか?
→パートナーに届けてもらう人材・スキルは明確でしょうか?
→UISS/ITSSで考えてもらいましょう。→パートナーに人材戦略を作ってもらいます。
→パートナーとの関係構築を図らなくてはいけません。
パートナーとIS戦略をシェアすることも必要になります。ポートフォリオを共有することにより、
パートナーも人材戦略が立てられるようになります。必要な人材を提供してもらうためにも
必要です。
ホールプロダクトという考え方も必要になります。サービスのレベルも考慮しましょう。
ホールプロダクトについては、「ビジネス戦略事始め」の中でも解説しています。
詳細はこちら→l
IT商品・サービスが成功するためには、製品そのもの以外に、その周りのソフトウェア、サポート、サービスといった、全体としてユーザーの価値を高めるもの、すなわちホールプロダクトが形成されなければなりません。それはIS部門で提供するもののみならず、パートナー、アウトソーサーなどからも提供される必要があります。
顧客ニーズ(セグメント)によってホールプロダクトは異なります。セグメント毎にホールプロダクト
を定義しパートナーとの関係を構築していかなくてはいけません。
上の1から6を真剣に考えると、情報システム部門の戦略の概要が見えてきます。
次に、IS部門(組織)と目的、ミッション、ビジョンを作成しましょう。
戦略の概略を実現するためには、組織の目的(存在理由)を明確にする必要があります。
ゴールをミッションとして記述しましょう。
ゴールを達成したときの自分たちのあるべき姿をビジョンとして描きましょう。
いかがでしょうか。情報システム部門の戦略も「ビジネス戦略」に他ならないことがお分かりいただけたでしょうか。
UISSを導入するためにも、情報システム部門の戦略を明確にするべきなのです。戦略のないスキル標準の導入は大きな意味(ビジネス上の効果)が期待できません。
【前編に戻る】
|