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 UISSを導入する前提として、「情報システム部門(IS)」の組織としての戦略が必要です。 IS戦略の作り方を考えて見ましょう。 
 IS戦略も情報システム部門の「ビジネス戦略」と見ることができます。 「ビジネス戦略」の作り方を応用した、IS戦略の作り方をご紹介します。 
 参考資料として、「ビジネス戦略事始め」をご覧いただければ幸いです。 
 
 IS戦略の作成方法の一例です。
 1.  IS(情報システム部門)のお客さまを知りましょう。
  お客様は誰でしょう。事業部のみならず、人事、経理など社内の各組織があると思います。  そのお客さま(各組織)の戦略とプロセスは何でしょうか?     IS部門が相手とするお客さまの現状を理解しましょう。     組織の大きさ(とビジネス規模)、彼らの性格、将来への希望と方向性、戦略、そして投資の 優先順位。彼らの顧客状況や彼らがおかれている環境、などです。 この辺は、「ビジネス戦略」の基本と全く同じです。  
 2.  
そのお客さま(各組織)の情報システムへのニーズは、何でしょうか?
    情報システムに依存するビジネス、あまり依存しないビジネス、いろいろあります。    情報システムがビジネスに大きく貢献できるのはどの組織でしょうか。    その組織の情報システムへのニーズは明確でしょうか。    現在のニーズのみならず、将来のニーズまで把握しましょう。    次の「3種類のニーズ」も考慮しましょう。 
 お客さまには3種類のニーズがあります。 TQM(Total Quality
Management)で有名な話を紹介します。 
 
 
 
 基本的ニーズ(当たり前の品質): 
  −このニーズ(品質)が満たされないと、お客さまは大変不満を持ちます。 
 しかし、これが満たされていても何も感じません。 
  −お客さまは自分からこれが満たされないと不満だ(困る)、とは言いません(当たり前だからです)。 
  −不満なお客さまは、その不満を他のお客さまに話します。 
  −お客さまは、その不満をベンダーには表明せずに、別のベンダーに行ってしまいます。 
  例えば、自動車のバックミラーが必要だというお客さまはいませんよね。当たり前だからです。 
 バックミラーのない自動車は明らかに欠陥車です。お客さまがニーズを口にしなくても、聴きだすスキル、もしくは事業の知識(常識)をIS部員が身につける必要がある、ということです。 
   
 期待のニーズ(一元的品質) 
  −これについて、お客さまは自分から何が必要(欲しい)かを、話してくれます。 
  −この機能が欲しい、これが満たされないと困る(不満)、と言ってくれます。 
   残念ながらこれだけでは差別化できません。 
   自動車のエアーやオーディオ類。人によってニーズが異なります。 
   
 喜びのニーズ(魅力的品質) 
  −お客さまが気付いていなかった、特別付録です。大変喜んでくれます。 
  −逆にこれが満たされなくても、別に不満に思いません(気付いていないからです)。 
  これを充たせると差別化につながります。 
  差別化のできる製品・サービスが必要です。 
  例えば数年前のカーナビ、その機能には感動したものです。 
 その当時は「喜びのニーズ」だったからです。 
  でも、最近はどうでしょう、どちらかというと「期待のニーズ」に変化していませんか。 
  オーディオ関係同様に、お客さまはこんな「カーナビ」が欲しい、と明言していると思います。 
  ここで注意しなければいけないことがあります。そうです、ニーズは陳腐化するのです。 
 あと数年すればカーナビも標準装備(バックミラー並み)になってしまうかもしれませんね。 
 地図(紙の)を買わない(持たない)ドライバーが当たり前の時代になるのでしょうか。 
事業部では気がつかない、ITを活用すればもっとビジネスがうまくいく方法です。
 これこそ情報システム部門が事業部に対して提供できる真の価値になります。そこを徹底的に考え出す
 ことが必要です。事業部のビジネスがITで差別化を可能にする。これができるとその事業部のパートナー
 という立場が確立されます。
 それがIS部門の社内的地位を向上することにつながります。
 
 
 
 
 
 【後編へ続く】
 
 
 
 
 
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