1.
お客さまは誰でしょうか? お客さまのニーズは?
この2つの質問にまじめに取り組むことは極めて重要です。これこそが、ビジネス戦略の根幹
です。
1.1
お客さまは誰でしょうか?
まず、あなたのビジネスの対象としているお客さまをきちんと記述しましょう。
例:・ 売上げ....億円以上の一部上場企業の情報システム部門で、
XXXソリューションを必要とする人、及びエンドユーザ。
・従業員.....名以上の企業の人事部門で、YYY人事ソリューションを必要とする方、
及び従業員。
・製造業で売上げ..... の研究開発部門でZZZ設計に携わる技術者と管理者。
少なくとも、お客様にはエンドユーザーだけでなくエコノミックバイヤーもいるはずです。おのおのどのような人たちでしょうか?エコノミックバイヤーはCIO、顧客組織の経営層などが典型です。
テクニカルバイヤーと呼ばれる人もいる場合もあります。例えば、顧客の情報システム部門などが典型です。
さらに、顧客の顧客(Customer's customer)も考慮する必要がある場合もあります。例えば、CRMのようなソリューションの場合、エンドユーザーはオペレータですが、その電話先の顧客(顧客の顧客)のニーズまで考慮する必要があります。
1.2
お客さまのニーズは何でしょうか。
まず、製品・サービスそのものの問題解決能力です。これがお客さまがその製品・サービスを買う直接の理由です。これが明確でないとお客さまは製品・サービスを購入してくれません。
つづいて「広い意味での製品」の問題解決能力があります。製品・サービスの機能を補完しサポートしてくれるものです。例えば、インスタレーション、保証、サポート、コンサルティング、ソフトウェアアップデート、などです。
さらには、購入(使用)に伴う全ての経験まで含みます。営業担当者は親切だったか、購入はしやすかったか(オンラインショッピングなどは顕著です)、コールセンターの対応は丁寧だったか、サービスのレスポンス時間は十分早いか、などです。顧客満足度を購入の目安にするお客さまはかなりいます。サービスの良さなどは口コミで広まります。
1.3
3種類のニーズ
別の観点です。お客さまには3種類のニーズがあります。
TQM(Total Quality
Management)で有名な話を紹介します。
基本的ニーズ(当たり前の品質):
−このニーズ(品質)が満たされないと、お客さまは大変不満を持ちます。
しかし、これが満たされていても何も感じません。
−お客さまは自分からこれが満たされないと不満だ(困る)、とは言いません(当たり前だからです)。
−不満なお客さまは、その不満を他のお客さまに話します。
−お客さまは、その不満をベンダーには表明せずに、別のベンダーに行ってしまいます。
例えば、自動車のバックミラーが必要だというお客さまはいませんよね。当たり前だからです。
バックミラーのない自動車は明らかに欠陥車です。お客さまがニーズを口にしなくても、聴きだすスキル、もしくは業界知識(常識)をベンダー側が身につける必要がある、ということです。
期待のニーズ(一元的品質)
−これについて、お客さまは自分から何が必要(欲しい)かを、話してくれます。
−この機能が欲しい、これが満たされないと困る(不満)、と言ってくれます。
残念ながらこれだけでは差別化できません。
自動車のエアーやオーディオ類。人によってニーズが異なります。
喜びのニーズ(魅力的品質)
−お客さまが気付いていなかった、特別付録です。大変喜んでくれます。
−逆にこれが満たされなくても、別に不満に思いません(気付いていないからです)。
これを充たせると差別化につながります。
差別化のできる製品・サービスが必要です。
例えば数年前のカーナビ、その機能には感動したものです。
その当時は「喜びのニーズ」だったからです。
でも、最近はどうでしょう、どちらかというと「期待のニーズ」に変化していませんか。
オーディオ関係同様に、お客さまはこんな「カーナビ」が欲しい、と明言していると思います。
ここで注意しなければいけないことがあります。そうです、ニーズは陳腐化するのです。
あと数年すればカーナビも標準装備(バックミラー並み)になってしまうかもしれませんね。
地図(紙の)を買わない(持たない)ドライバーが当たり前の時代になるのでしょうか。
ここでは、さらに、次の点を明確にしておくと良いでしょう。
−ビジネスが相手とするお客さまの現状を理解しましょう。
−お客さまの大きさ、彼らの性格、将来への希望と方向性、戦略、そして投資の優先順位。
−彼らの顧客状況や彼らがおかれている環境、などです。
[続く]
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