2008年12月15日
12月11日に「スキル標準ユーザーズカンフェランス2009」 開催されましたので、速報としてお伝えします。特に、参加されなかった方のために参考になれば幸いです。
すべての講演を解説するのではなく、まず全体像(雰囲気)をお伝えしたいと思います。そのあとから(次号以降)、いくつかの講演を解説することにします。
今年のユーザーズカンフェランスのトピックスを独断と偏見(いつもの通り)でまとめると次の3点(4点)になります。
A.ユーザー協会の名称の変更
B.現在の日本の経済状況(不況です!)
C.UISSとETSSの台頭
(D.スキル標準の国際化)
最後の国際化は、事例発表にまでは至っていませんので、括弧つきにしてあります。来年は括弧が外れることを願っています。
【スキル標準の導入と活用】(高橋専務理事の講演)
まず、冒頭に協会の名称変更の発表です。今年の2月の総会で決まったことですが、やっと先月(11月)に正式に名称が変更になりました。まずは良かったと思います。
課題は名称を変えただけでなく、その名の通りにUISSやETSSの普及にどれだけ貢献することができるかということです。単にユーザー協会の名称に終わらせることのないようにしなければいけません。これはユーザー協会会員(筆者を含めて)の総意として極めて重要なことだと思います。
【高度IT人材育成の今後の方向性について】(経産省:奥家様)
経産省らしく、最近の景気動向を聞かせていただきました。株価急落・円高の急激な進行。日銀短観。企業の倒産動向(黒字倒産が多い)など、何も良い話はありませんでした。
緊急保証制度(原材料価格高騰対応等応答緊急保証)(すごく堅苦しいタイトルです)に、11/14づけで、IT産業もこの保証制度の対象にしていただけることになったとのことです。この業界の苦しさを少しでも和らげていただけるという、経産省のやさしさに感謝する次第です。
「IT人材育成の支援強化」では、以下のように様々な施策が実施されています。
−各スキル標準及び共通キャリア・スキルフレームワークの関係の明確化
−情報処理技術者試験の改訂
−カリキュラム標準J07
−産学連携パートナシップ
−IT人材育成強化・加速プログラム構想
−ナショナルセンター的機能の強化
−スーパークリエータの発掘・支援
−セキュリティ&プログラミングキャンプ
うまくいっているかは別として、多くの施策がスタートしていることは良いことだと思います。早く効果が出ることを期待します。特に、産学連携やセキュリティ&プログラミングキャンプ(子供達(14歳以上)に早期IT教育を実施するもの)に期待したいと思います。
「国際展開・国際化の動向」は興味深いものでした。箇条書きで要点だけを紹介します。
−情報処理技術者試験のアジア展開(韓国、中国、台湾、ベトナム、など11カ国)
−欧州のスキル標準の動向(欧州の動向の紹介と日本のITSSを欧州に紹介しているというお話)
−スキル標準の国際化の動向
−OECD−ソフトウェア分野におけるイノベーションプロジェクト(東京カンフェランス:2008年10月)
−高度情報化社会における情報システム及びセキュリティに関する研究会(経産省)
日本のソフトウェアの欠陥は米国の20分の1、インドの13分の1と低く、信頼性は高いという紹介がありました。本当だと嬉しいですね。仕様は正しかったのでしょうか。少し気になります。
【ITスキル標準V3と人材育成】(IPA ITスキル標準センター長 丹羽様)
ITSS V3 2008(11月に公開)が3月に発表されたV3と本質的に何も変わっていないので仕方ないのですが、目新しい話はあまりありませんでした。
V3については、以下のURLの弊社Webページをご覧ください。
【ITスキル標準V3 発表】(Part1)
URL: http://www.kbmanagement.biz/sub360.html
また、ITSS V3 2008に関しては、以下のURLの弊社Webページをご覧ください。
【ITスキル標準V3 2008公開】
URL: http://www.kbmanagement.biz/sub363.html
「ITスキル標準センターの活動」を紹介していただきました。
ここでも、本日のトピックスである、「ITスキル標準の国際化」の説明です。
−アジアでの展開:ベトナムでのITスキル標準展開
−EUのCENのe-ConpetenceでITSSの講演
−EUのe-SkillでITSSの講演
目的は「脱ガラパゴス」だそうです。世界から見放されないように情報発信に注力。そしてアジアとは一緒にやるそうです。
夜は恒例の懇親会です。嬉しい話がありました。
このメルマガやWebサイトで発表している「スキル標準成熟度モデル」
が好評です。実際に使用しているという方が複数いらっしゃいました。
また、いつになったら正式バージョンが公開されるのか、というリクエスト
までいただきました。大変嬉しく思います。この場を借りて厚くお礼を申し上げます。
まだコミットまではできませんが、2009年は具体的なものを発表したいと存じます。
もう少しお待ちください。
次号では、事例発表を中心に報告いたします。
スキル標準ユーザー協会に名称変更したせいでしょうか、UISSやETSSの発表が
目につきました。それらをご紹介します。
お楽しみにお待ちください。
(その2)
(その3)に続く
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