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人材戦略のQualityアプローチ

STEP 1: 人材育成の目標(GAP分析)


2.2 人材育成の目標(GAP)の明確化

レベルを認定するには、現状の人材のレベルマップとビジネス計画に基づいた人材のレベルマップ(各々のレベルのSEが今年は何人必要かという人員計画)が必要です。

そのレベルごとの目標人数(GAP)に対し、QFDをベースにした教育を実施し、その結果を認定で確認する事になります。

 特に、ビジネスが好調でSEを増強する場合このレベルを維持する事が難しくなります。日本では特に大卒を採用し教育するので、ビジネスの成長に追いつくのが難しいのです。

上の図は約20%の人員増を計画したときの例です。中途採用(薄いブルー)を積極的におこなってはいるものの、ビジネスの特殊性で労働市場は限られています。社内で教育し育成する必要があります。低いレベル200SEの約40%が一年以内に中位レベル300に向上しないと組織としてのナレッジレベルが維持できない(GAPが解消できない)事を示しています。はたして可能でしょうか。この組織の最大のチャレンジでした。

 人材育成の具体的な目標が可視的に得る事ができると、いやでも育成プログラムへの期待が高まります。もてる経営資源をこのSE人材育成に集中したのは言うまでもありません。




SE人材の中期計画

多くの組織では、エンジニアの人数の管理しか出来ていないのではないでしょうか。

しかしながら、企業が成長して行くためには人材の成長が不可欠です。

人材のレベル分布を明確に把握し、収益のあるサービス(単価の高いサービス)を提供するためには、ビジネスごとにSEレベルの管理が必要です。



人材育成目標の例:SI(システムインテグレータ)の例です。

この会社の[中期経営計画]では、従業員あたりの生産性(売上高/従業員数)を毎年9~10%の増加を見込んでいましたがその具体的根拠策は何もありませんでした。議論の結果、このままでは、SE一人当たりの生産性を高めることは困難なことが判明しました。

  ⇒ 中期経営計画の実現への危機感が高まる。

そこでビジネスプロセスを分析した結果、次のような変革が必要であることが判明しました。

 

Critical Business Issue(クリティカル・ビジネス・イシュー)をまとめると次のようになります。

現状(IS)はいわば個人商店方式です。

l         顧客折衝、プロジェクト管理、外部設計、内部設計、コーディング、テストまで、1人のプロジェクトリーダーがすべてをこなしていました。

  その結果、できて2000万円規模のプロジェクトまでしか扱えません。

  すべてを一人のプロジェクトリーダーがこなす限り、生産性は高まりません。

 

そこであるべき姿(Should)として、プロフェッショナルによる分業方式を考えます。

l         次の役割を専業化し、その協調で業務を進め、下流工程(システム製造)をコストの安い協力会社に委託することにより、生産性を飛躍的に向上させようとするものです。

−営業の役割

−顧客ニーズの整理・指導の役割(コンサルタント)

−アーキテクチャ、インフラなどの設計の役割(ITアーキテクト)

−プロジェクト管理の役割(プロジェクトマネージャ)

   ⇒ この結果、1億から10億円規模のプロジェクトに耐え得る人材と組織が確立する

 

これを「ビジネス・プロセス リエンジニアリング」として全社的課題として取り組むことになりました。

   ⇒ これをビジネスドライバーと呼びます。

 




変革の危機感

l         生産性が向上しない   ⇒  プライマーのポジションが危うくなる!競合不利

l         スキル向上が明確でない

l         スキルに見合う待遇が出来ない ⇒ 優秀な人材が流出してしまう恐れ。

                   学生に魅力の無い会社となってしまう

                   人材、採用難のおそれ

もし、うまく変革できた

l         生産性向上/コスト低減の達成 ⇒ 競合有利

                  プライマのポジションの増大

l         スキル向上が明確で待遇も良い ⇒ さらに優秀な人材が集まりブランドイメージ

も向上する。

 

ここで重要なのはビジネスドライバーです。この場合、ビジネスプロセス リエンジニアリングがこの会社のビジネスドライバーでした。このプロセス変革が会社の将来にとって必要不可欠なものとの全社的認識です。

 また、H社の例ではレベル200SE40%1年以内に上位レベルに上げなければいけないということでした。



プロフェッショナル人材育成

   目的: M社の中期経営計画を達成するのに必要なプロフェッショナル人材を育成し、認定する。

 そのために、以下の3つの重点施策を提言する。

1.        分業をベースにした新しいビジネスモデル/プロセスとプロフェッショナル職(PM、コンサルタント、ITアーキテクト)の確立

2.        プロフェッショナル職には業界(経済産業省)共通なITスキル標準を採用し、キャリアモデルを明確にし、人事制度に反映

3.        プロフェッショナル人材の育成は外部資格のみならず、教育プログラムを重視


上記の施策を実現するために必要なソリューションは以下のとおり。

l         ITスキル標準の全面的採用

l         プロフェッショナルキャリアモデルの構築

l         教育カリキュラム/ロードマップ

l         複数キャリアパス/人事制度

l         プロフェッショナル資格認定制度