|                                                   2009年7月27日
 
 
 
 去る7月3日(金)に【ITスキル標準プロフェッショナルコミュニティ2009】(以下IPCF2009)がに開催されました。いくつかのプロフェッショナルコミュニティ活動結果を解説しています。 既にIPAより発表資料が公開されています。以下のURLのWebサイトをご覧ください。 URL: http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/siryou/ipcf2009Data.html   「エデュケーション委員会」の発表内容を解説しています。   
 前回は全体像の説明でしたで、今回は少し各論に入ってみたいと思います。 
 「IT人材育成プロセスと知識体系」について、解説します。 
 URL: http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/activity/ED_com.html#H20 
 こちらよりダウンロードできます。ぜひ実物をご覧ください。 
   
 まずは知識体系の全体像をご覧ください。  
 IPCF2009発表資料より引用     
   大項目として、AからHまで8項目あります。 そのうち、専門分野としての大項目が6つあります。 A: 企画コンサルティング B: 設計 C: 教材開発 D: 教授法 E: 評価育成フォロー F: 指導者育成 残り2つは、共通分野としての大項目です。 G: 教育 H: HRM/HPD   順番に見ていきます。まず、 A: 企画コンサルティング です。 この大項目の下には、6つの中項目があり、1000番台のナンバリングがふってあります。(他の大項目も同様に1000番台で中項目がリストされています。) A1000:関連業界動向(4小項目) A2000:企画提案技法(5小項目) A3000:マネジメント技法(9小項目) A4000:ラーニングアーキテクチャ・デザイン(5小項目) A5000:コンサルティング技法(4小項目) A6000:調査技法(5小項目)   例えば、A3000の下位を見るとさらに、小項目が9つあります。   A3100:バランススコアカード   A3200:SWOT分析   A3300:財務分析技法   A3400:目標管理   A3500:アクションプランの作成方法   A3600:要求分析方法   A3700:モニタリング技法   A3800:戦略シナリオ作成方法   A3900:ファンクション分析   うまく構造化されているのではないでしょうか。   各大項目に沿って内容を見ましょう。 B: 設計 B1000:コース設計技術(15小項目) B2000:教案設計指針の作成方法(17小項目) B3000:学び支援の技術(2小項目) B4000:IT実習環境の構築方法(小項目なし) 小項目の数にバラツキがみられます。Ver1.0ですから仕方ないですね。 「コース設計技術」「教案設計指針の作成方法」は極めて重要ですから、小項目が多いのはよくわかります。この辺に一番力を入れているようです。 「IT実習環境の構築方法」は今後充実してくるのではないでしょうか。IT教育としては重要です。 後ほど出てくる、「D:教授法」同様に、「設計」が重要なことがよくわかります。   C: 教材開発 C1000:テクニカルライティング技法(小項目なし) C2000:シナリオライティング技法(小項目なし) C3000:多彩なメディアを利用した教材(5小項目) C4000:教育研修における標準化(小項目なし) C5000:表現技術(3小項目) C6000:学習環境デザイン(8小項目)   D: 教授法 D1000:ラーニングファシリテーション(7小項目) D2000:インストラクション技法(2小項目) D3000:コミュニケーション(14小項目) D4000:プレゼンテーション技術(6小項目) D5000:学習メンタリング技術(小項目なし) D6000:コーチング技法(小項目なし) 「コミュニケーション」の小項目が多いのはいいですね。インストラクター(ファシリテータ)は一方的にしゃべるのが仕事ではありません。受講者に正しく理解してもらい、実践で活用してもらうようにするのが仕事です。それにはコミュニケーションスキルが欠かすことができません。17小項目をご覧ください。   −人間関係構築法   −関係維持   −関係調整   −信頼の構築   −場の把握   −双方向コミュニケーション理論   −ネゴシエーション技法   −マグレガーのX理論、Y理論   −気づき   −自己理解   −自己開示   −合意形成   −チームビルディング   −動機付け このとおりです。全ての項目がインストラクター(ファシリテータ)に必要なものです。 これらの項目をすべてマスターしているインストラクター(ファシリテータ)が一人でも多く育成できることを願っています。そのためにもこのように知識体系(Body Of Knowledge)として公開することに大きな意義があると思います。   E: 評価育成フォロー E1000:研修後のフォローアップ(1小項目) E2000:受講者プロファイルの分析技法(小項目なし) E3000:ゴール設定技法(小項目なし) E4000:統計的評価法(小項目なし) E5000:教育評価法(4小項目) この辺になると、小項目がまだ足りないようです。今後に期待しましょう。   F: 指導者育成 F1000:Teach
The Teacher(TTT)(小項目なし) F2000:インストラクション技術の指導法(小項目なし) F3000:指導者向け支援教材の開発(小項目なし) この分野は重要ですが、小項目があまり見当たらないのもよくわかります。別の大項目とマージしてもよさそうです。   つづいて、共通知識・理論です。 G: 教育 G1000:コースマネジメント(23小項目) G2000:研修におけるコンプライアンス・セキュリティ(4小項目) G3000:ビジネスマナー(小項目なし) G4000:問題定義・解決技法(2小項目) G5000:心理検査/性格分析(3小項目) G6000:IDの構造化技法(IDのプロセスモデル)(6小項目) G7000:教育・認知心理基礎(8小項目) G8000:学習モデル(12小項目) 「コースマネジメント」の小項目が多いですね。中身をみるとPMBOKの9知識エリアそのものが含まれています。不要ではありませんが、もう少し整理できるかもしれませんね。 「コースマネジメント」はむしろLMS(ラーニングマネジメントシステム)にフォーカスした方が良いような気がします。 「IDの構造化技法(IDのプロセスモデル)」はやはり大項目「B:設計」のほうが良いと思います。インストラクショナルデザインで、共通知識と言えなくもないのですが、次回のプロセスと密接な関係があると思います。 「学習モデル」も小項目が多いのですが、具体的な学習モデルですから、共通知識というよりむしろ「B:設計」で扱う方が合理的ではないでしょうか。今後の改善を期待しましょう。 「IDの構造化技法(IDのプロセスモデル)」「学習モデル」の2つの中項目を移動すると全体のバランスが崩れるかもしれません。知識項目ですから、どこにあっても良いのかもしれません。細かいことにこだわる必要はないかもしれません。重要なのはどこかにあることで、なくなると困るだけでしょう。   H: HRM/HPD H1000:キャリア論(5小項目) H2000:コンピテンシー論(小項目なし) H3000:キャリアカウンセリング(小項目なし) H4000:人材マネジメント論(3小項目) H5000:スキル標準(小項目なし) ここまで来ると、時間切れという感じがしてしまいます。特に「スキル標準」は小項目がないわけではなく、多くの人の常識になっているので割愛してしまったようです。次のバージョンで期待しましょう。   次回は「IT人材育成のための活動プロセス」の解説です。少しお待ちください。   
 
 
 
 
 
    
 
 
 
 
 
 
 
 
 |