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要求定義の課題(続き)

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 要求定義フェーズでは実際にどんな活動が必要なのでしょうか。

代表的なタスクを検討します。

1.ビジネス要求を定義する

2.ステークホルダーやユーザーを決める

3.要求を引き出し分析する

4.要求を記述する(機能/非機能)

5.要求の妥当性を確認する

6.要求に優先順位を付ける

7.要求を管理する

8.要求を開発者(後工程)に伝える

 

最初の「ビジネス要求を定義する」を検討しましょう。

これはPMBOKの「プロジェクト憲章」の作成に相当します。

ここがずれているとプロジェクト全体の価値に大きな影響を及ぼします。顧客のビジネス戦略を正確に知る必要があります。ビジネス戦略に当該プロジェクトがどれだけ貢献できるのかを把握しないと、顧客、特にスポンサー要求に応えられなくなります。また、スコープが正しいかもビジネス戦略への貢献という観点で検討する必要があります。

顧客からRFPを受け取った場合に最初に確認するべき部分でもあります。この部分が弱いRFPが多いようです。逆に、それはチャンスではないでしょうか。顧客の気付いていないビジネス要求を明確にできれば、それが差別化提案として受注の確立も高くなり、価格の維持にもつながるのではないでしょうか。

 

このタスクを遂行するために必要な能力(スキル)という観点では

   −インタビュースキル(特に経営層に対して)

   −顧客のビジネスに関する知識

   −ビジネス戦略構築のスキル

などがあります。

 プロジェクトマネジャーが普段余りなれていない部分で、極めて重要なタスクです。残念ながら多くのプロジェクトマネージャがこれらのスキルを持っていません。多くのPMBOKコースでは単に知識として紹介される程度のようです。

 

最初のモジュール「顧客のビジネスを知る」に関する概説になってしまいましたが、プロジェクトマネジメントで最も重要な部分ではないでしょうか。


前ページの調査では、何と約6割(59.6%)が「利用者自身が何をしたいのか分かっていない」という結果でした。ですから、75.8%が「利用者の間で意見調整ができておらず、求めてくる意見が大きく異なる」ことになってしまうのです。では、どうすればよいのでしょうか。

プロセスの中では、「要求を引き出す」タスクが極めて重要です。利用者自身に何がしたいのかを明確にしてもらう、もしくは、何をしたいのかに気付いてもらうことが必要になります。

開発プロセスの中で最も重要で、難しく、誤りやすいと言われています。そして最もコミュニケーション能力が必要なフェーズです。

スキルとして、

 ファシリテーション: ワークショップを運営する能力

 ヒアリング(インタビュー): ニーズを聴き出す能力

 コンフリクトの解決能力 : 異なる意見を調節する能力

などがあります。

 

ファシリテーション:

 プロセスとコンテンツを分離し、プロセスに焦点を絞ります。コンテンツはユーザー要求ですから、それをいかに参加者全員に出し合ってもらえるよう、働きかけるスキルが重要です。対人関係能力がないとできません。また参加者に課題達成意欲を持ってもらうことも必要です。教えられてできるというものでもありません。グループワークを通してファシリテーションスキルを身につけてもらいます。

 

インタビュー:

 ニーズを聞き出すためには質問と傾聴が不可欠です。闇雲に質問しても効果が上がりませんから、効果的な質問スキルが極めて重要です。気付いていない「要求(ニーズ)」に気付いてもらえるような質問ができるようになれば、と思います。

また、信頼されないと本音を聴くことができません。この辺はEQ(こころの知能指数:ダニエルゴールマン)の要素も必要だと思います。

 

さて、ニーズについてのお話をしたいと思います。

下のグラフをご覧ください。

3つのニーズについて検討します。TQM(Total Quality Management)では有名な話です。



基本的ニーズ(当たり前の品質):

 −このニーズ(品質)が満たされないと、顧客は大変不満を持ちます。

しかし、これが満たされていても何も感じません。

 −顧客は自分からこれが満たされないと不満だ、とも言いません(当たり前だからです)。

 ☆インタビューでこのニーズを聴き出せないと致命的な問題が発生する可能性があります。

 例えば、自動車のバックミラーが必要だというお客はいませんよね。当たり前だからです。

 バックミラーのない自動車は明らかに欠陥車です。顧客がニーズを口にしなくても、聴きだすスキル、もしくは業界知識(常識)を開発側が身につける必要がある、ということです。

 

期待のニーズ(一元的品質)

 −これについて、顧客は自分から何が必要かを、話してくれます。

 −この機能が欲しい、これが満たされないと困る(不満)、と言ってくれます。

 ☆どんなインタビューアでも聴けるニーズです。

   インタビューでこれしか聴けない(受身の)ケースがあまりに多いと思います。

   これでは残念ながら差別化できません。

   自動車のエアーやオーディオ類。人によってニーズが異なります。

 

喜びのニーズ(魅力的品質)

 −顧客が気付いていなかった、特別付録です。大変喜んでくれます。

 −逆にこれが満たされなくても、別に不満に思いません(気付いていないからです)。

  ☆インタビューでこれが聴きだせると、差別化につながります。

   「失敗しない要求定義」コースでは差別化のできるインタビュー方法を学習します。

   数年前のカーナビ、その機能には感動したものです。その当時は「喜びのニーズ」だったからす。

   でも、最近はどうでしょう、どちらかというと「期待のニーズ」に変化していませんか。

   オーディオ関係同様に、顧客は「カーナビ」を欲しいと明言していると思います。

   そうです、ニーズは陳腐化するのです。あと数年すればカーナビも標準装備(バックミラー並み)

になってしまうかもしれませんね。地図(紙の)を買わない(持たない)ドライバーが当たり前の時代になるのでしょうか。

 

 

少し、長くなってしまいました。「要求(ニーズ)を引き出す」能力がいかに重要で、難しいかがお分かりいただければ幸いです。

 


以下に、「失敗しない要求定義」コースの参加者の声を載せました。
満足度の高い研修であることがご理解いただけると思います。


【参加者の声】: ぜひご覧ください。


「失敗しない要求定義」コース


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