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  【ITSS対応パーソナルスキル研修】(その6)   
 
 
   3.3.2 その他のパーソナルスキル研修 前回まで、「ITSSコアコミュニケーション研修」を例に、インストラクショナルデザイン、成人学習理論(アダルトラーニング)を解説してきました。 今回は、インストラクショナルデザインやアダルトラーニングを活用した、その他のITSS対応のパーソナルスキル研修をご紹介します。   3.3.2.1 コミュニケーションスキルの研修   メルマガ12号でご紹介した、「リーダーコミュニケーション」です。 念のため、もう一度出します。 「コアコミュニケーション」では、コミュニケーションする相手が主にお客様でした。プロジェクトのメンバーとして顧客とコミュニケーションするときに必要となるスキルをまとめたものです。 一方、「リーダーコミュニケーション」では、リーダーとしてチームにおけるコミュニケーションが重要になります。 
  
 
 リーダーコミュニケーションのタスク表現したスキル項目は以下のとおりです。 ・トラブルの前兆を共有することができる ・トラブルの前兆に対応することができる ・コミュニケーションの障害となる言動を説明することができる ・情報を正しく認識することができる ・情報認識の過程で自分が影響を受けるものを説明することができる ・人の行動特性の種類と特徴を説明することができる ・自分の行動特性を説明することができる ・相手の行動特性を説明することができる ・自分の行動を相手に合わせて調整することができる   対応する「ITSSリーダーコミュニケーション研修」の学習目標は以下の通りです。  
 
                    
                      
                        | モジュール | 学習目標 |  
                        | オリエンテーション | ・自己紹介、その他 |  
                        | 認知 | ・認知の重要性を説明できるようになる ・認知の歪みの影響を説明できるようになる
 ・自分の認知の歪みを知ることができるようになる
 ・正しい認知ができるようになる
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                        | メンバーとのコミュニケーション | ・一方向、双方向のコミュニケーションの違いを 説明できるようになる ・ノンバーバルコミュニケーションを活用し、 傾聴/質問ができるようになる
 ・入手した情報を正しく伝えることができるように なる
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                        | チームにおけるコミュニケーション | ・コミュニケーションの障害となる言動を説明する ことができるようになる ・トラブルの兆候を共有することができるように なる
 ・トラブルを未然に防ぐ風土を作ることができる ようになる
 ・トラブルの兆候に対処することができるように なる
 ・コミュニケーションを促す言動をとることができるようになる
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    学習の順序はスキル項目と大きく異なります。インストラクショナルデザインで解説したとおりです。 「メンバーとのコミュニケーション」はコアコミュニケーションのスキルとすこし重複しますが、あえて入れてあります。2つ理由があります。1つは、デザイン上コースの組み立てを考えると、入れた方が自然なこと。もう一つは、この研修の参加者(ITSSレベル3程度)が「ITSSコアコミュニケーション研修」を受講していないからです。実際に実施してみると、レベル3(リーダークラス)以上のエンジニアでも意外と基本的なコミュニケーションスキル(レベル2相当)が身についていない人が多いのがわかりました。   コアコミュニケーション研修に参加された方が経験を積んで「リーダーコミュニケーション研修」に参加するようになれば、将来的には不要になる可能性があります。   だいぶ長いコースになっていることにお気づきになると思います。 そのため、後半を独立した研修コースにしました。 スキル項目としては、以下の部分です。 ・人の行動特性の種類と特徴を説明することができる ・自分の行動特性を説明することができる ・相手の行動特性を説明することができる ・自分の行動を相手に合わせて調整することができる  
 「ITSS対人対応コミュニケーション研修」
 
                    
                      
                        | モジュール | 学習目標 |  
                        | オリエンテーション | ・自己紹介、その他 |  
                        | 自分の行動の影響力 | ・自分の言動の他人への影響を説明できるようになる |  
                        | 自分の仕事(行動)の傾向 | ・人間の4つの行動傾向と特徴を説明できるようになる ・自分の行動特性を分析し、説明できるようになる
 ・自分の強み・弱みを自覚し、コントロールできるようになる
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                        | 他者理解とその関係向上 | ・人間の行動の傾向を観察することができるようになる ・他者の行動スタイルの違いを理解し、適応力を高め、摩擦・対立を軽減できるようになる
 ・相手の価値観を共有することにより、良好な信頼関係を構築することができるようになる
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   「ITSSリーダーコミュニケーション研修」と「ITSS対人対応コミュニケーション研修」の学習目標が、リーダーコミュニケーションのスキル項目に対応していることがお分かりになると思います。 
   3.3.2.2 リーダーシップ まず、メルマガ13号でご紹介した、リーダーシップスキルを振り返りましょう。    
 
   初級(ベーシック): メンバーから初めてリーダーになった時に必要な リーダーシップスキル(リーダーコミュニケーションと密接な関係があります) 中級(ミドル):   リーダー経験を数年経て、グループのパフォーマンスを最大に するために必要なリーダーシップスキル 高級(ハイレベル):  大きな変革に対するリーダーシップスキル     変革を自ら創造する高いレベルのリーダーシップスキルです。     職種により必要な職種とそうでない職種がありますから注意が必要です。     決められたこと(要件定義)以降の職種には不要です     セールス、マーケティング、コンサル、そしてITアーキテクトに必要です。     特にITアーキテクトは既存のIT基盤を大幅に変革するときに必須なスキルと言えます。
     リーダーシップは上記レベルに応じて、4種類の研修を用意してあります。  -ベーシックリーダーシップ研修  -メンバー対応リーダーシップ研修  -ミドルリーダーシップ研修  -ハイレベルリーダーシップ研修   それでは一つずつ見てまいりましょう。   3.3.2.2.1 ベーシックリーダーシップ研修 まず、例の如く、元となるスキル項目を見てみましょう。   メルマガ13号を思い出してください。 ベーシックリーダーシップのスキル項目です。 •       自分の価値観を明確にすることができる •       解決するべき問題にフォーカスすることができる •       重要な問題を自ら解決することができる •       決断力をもって行動することができる •       部門目標に向けて、熱意を持って行動することができる •       影響力を使って、メンバーに行動を起こさせることができる •       動機付けの要因を説明することができる •       動機付けのプロセスを活用することができる •       自分自身の感情をコントロールすることができる •       相手の感情に応じた対処ができる   上記スキル項目に対応したスキル研修の学習目標です。 ITSSベーシックリーダーシップ研修 
 
  |     モジュール | 学習目標 |  
  | 1.オリエンテーション | ・自己紹介、その他 |  
  | 2.価値観 | ・リーダー自身の価値観を明確にすることができるようになる |  
  | 3.部門目標への行動 | ・解決するべき問題にフォーカスすることができるようになる ・重要な問題を自ら解決することができるようになる ・自分の意見を主張することができるようになる |  
  | 4.メンバーの動機付け | ・動機付けの要因を説明することができるようになる ・動機付けプロセスを活用することができるようになる ・影響力を使って、メンバーに行動を起こさせることができるようになる
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  | 5.ストレスの軽減 | ・自分自身の感情(ストレス)をコントロールすることができるようになる ・相手の感情(ストレス)を軽減することができるようになる |      後半は、別の独立した研修に分割しました。   ベーシックリーダーシップ(続き) •       リーダーシップスタイルの分類とその特徴を説明することができる •       自分の自然のスタイルを認識することができる •       メンバーの習熟度を判断することができる •       メンバーの習熟度に応じたリーダーシップスタイルをとることができる     対応するスキル研修とその学習目標です。 ITSSメンバー対応リーダーシップ研修 
 
  |      モジュール |        学習目標 |  
  | 1.オリエンテーション リーダーシップとは | ・自己紹介、その他   |  
  | 2.リーダーシップ論 | ・いくつかのリーダーシップ論を知る |  
  | 3.リーダーシップのスタイル | ・P行動とM行動を説明できる ・4つのリーダーシップスタイルを説明できる ・自分の自然なリーダーシップスタイルを認識する |  
  | 4.メンバーのレベル | ・SSI-ITSSのスキル項目のランクを説明できる ・メンバーのスキルレベルを判別することができる ・メンバーのスキルレベルをメンバーに説明することができる |  
 
                      
  | 5.リーダーシップスタイルの適用 | ・メンバーのスキルレベルに最適なリーダーシップスタイルを適用することができる   |    メンバーの習熟度をITSSのスキルレベルで定義し、対応するリーダーシップスタイルを使い分けられるようになります。リーダーシップスタイルのモデルは日本のリーダーシップ論の草分け的存在である、三隅二不二氏のPM論を参考にしました。     3.3.2.2.2 ミドルレベルリーダーシップ研修   中級(ミドル):   リーダー経験を数年経て、グループのパフォーマンスを最大に するために必要なリーダーシップスキル   中級(ミドル)リーダーに必要なスキル項目は以下のとおりです。   ・チームビジョンとミッションを作成することができる ・チームビジョンとミッションをメンバーと共有することができる ・メンバーの役割と責任を明確にすることができる ・メンバーが情報を共有する環境をつくることができる ・メンバー同士が支援しあうことができる ・メンバー間の自由闊達な意見交換を促進することができる ・チーム内で相互協力ができるようにする ・チームによる問題解決と意思決定能力を開発することができる ・創造的なチーム活動を促進することができる ・シナジーのあるチームを作ることができる ・リーダーとしての自らの経験や知識を次の世代に伝えることができる ・権限委譲の対象となる人材を選択し、適切な権限を与え、パフォーマンスを観察し、 フィードバックを与えることができる ・リーダー候補に対し、適切な指導ができる   ITSSミドルリーダーシップ研修 
 
  |   |        学習目標 |  
  | 1.オリエンテーション グループとチームの違い | ・自己紹介、その他   |  
  | 2.グループの発達の段階 | ・4つの段階を説明することができる ・意思決定のスタイルを説明することができる |  
  | 3.初期段階(Forming) | ・業務を紹介することができる ・メンバーの役割と責任を明確にすることができる |  
  | 4.対立段階(Storming) | ・タスクへの感情的対立を説明することができる ・グループ内の対立を説明することができる ・対立段階を早く解消することができる |  
  | 5.生産段階(Norming) | ・メンバーが情報を共有できる環境を構築することができる ・メンバー間の自由闊達な意見交換を促進することができる ・チーム内のメンバーが相互協力することができる |  
  | 6.自律/協働(Performing) | ・チームによる問題解決能力を高めることができる ・チームによる意思決定能力が高まる ・シナジーのあるチームが構成できる ・創造性の高いチームを作ることができる |  
  | 7.目的/ミッション/ビジョン | ・チームの目的/ミッションを明確にできる ・チームの共有の価値観を明確にすることができる ・チームビジョンを作成することができる ・ミッション/ビジョンをメンバーと共有することができるようになる |    
    
 
 
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