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 レベルVの特徴です。 ・CMMのレベル3(定義されたレベル)に相当します ・全プロセスがビジネス戦略と整合(リンク)しています ・顧客満足度調査が実施され、結果が教育体系計画に反映されます  (レベル4: 教育が実施され、次回の顧客満足度調査で効果が把握されている) ・従業員満足度調査が実施されます    
 
                   
                    
                      
                        |  | ビジネス戦略/ ビジネス効果
 | 人材像/ GAP分析
 | 教育体系/ キャリア計画
 | レベル認定 | 組織文化 その他
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                        | レベルV | 【ビジネス戦略】 
 【顧客満足度調査】
 | 【スキル分析/定義】 
 【人材像策定】
 
 【キャリアモデル提示】
 
 【スキル診断(GAP分析)】
 | 【組織トレーニング(教育ニーズの統合)】 
 【個人別教育計画】
 
 【メンタリング】
 | 【社内認定(外部コンサルコンサル関与)】 | (参加型文化) 【従業員満足度調査】
 
 注)全プロセスが有機的にリンクされている(Defined)
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   組織トレーニングは以下の4つのサブプロセスからなります。 【教育体系の作成】、【教育実施計画の作成】、【キャリア面接】、【教育の実施】です。 
  
 
 
   【教育体系の作成】  Input: GAP       トレーニングニーズ(プロセス、プロジェクトなど)       顧客満足度       ビジネス戦略  Output: 教育体系 プロセスそのものはレベル2と変わりませんが、Inputが大幅に変わっています。   【教育実施計画の作成】  Input: GAP       教育体系       ROI(暫定)(Option)   【キャリア面接】  レベル2ではフィードバック面接でした。  レベル3ではキャリア面接になります。  Input: GAP(診断結果)       教育体系  Output: 個人別キャリア計画        個人別教育計画  深さと内容が異なります。面接者はキャリアカウンセラーが好ましいところです。面接者の人材育成が必要になります。     【教育の実施】  Input: 教育実施計画  Output: 参加時間(日数) 教育効果 レベル1(Kirkpatrick)               レベル2               レベル3               レベル4  効果測定はKirkpatrickのレベルで行います。この実施プロセスの中だけでも、小さなPDCAサイクルを回し、改善できるものは改善し、より良い教育を実施していきます。 
  
 
 
 このグラフは全エンジニアの教育時間です。赤が教育(研修に参加している時間)、青が自習の時間です。教育時間を把握することは重要です。さらに個人や熟達度(上級、中級、初級)によるバラツキも把握したほうが良いでしょう。  教育時間の最適な数字はありません。グラフの例では、エンジニアの稼動時間の約10%を教育に使用しています。これが適切かどうかは企業や組織の特性、またビジネス戦略により変わります。もっと少ない時間で十分な組織も多いと思います。  大事なことは教育時間を把握するのみならず、エンジニアに適切な教育を受けてもらい、早くビジネス戦略の遂行に貢献できる人材になってもらうということです。そのためには、戦略的にある期間、教育時間を増やすこともあるでしょう。   【投資効果の試算】(Option)  このプロセスは必須ではありませんが、企業のトップマネジメントからの要望は極めて強いと思います。  Input: ビジネス戦略/人材戦略       教育体系  Output:暫定ROI  プロセスの例をご紹介します。   単純化のため、プロマネの研修にフォーカスします。 ビジネス戦略/人財戦略から、戦略的にPM3、PM4、PM5をおのおの10人、5人、3人 増員する必要があるとしましょう。   教育計画として、以下のようなものを考えます。このようなものは極めてポピュラーだと思います。   PMBOK教育    100万円  2回 → 200万円      品質マネジメント  100万円  1回 → 100万円   調達マネジメント  100万円  1回 → 100万円   PJシミュレーション 150万円  2回 → 300万円   コミュニケーション  100万円  2回 → 200万円   リーダーシップ    100万円  2回 → 200万円   ネゴシエーション   100万円  2回 → 200万円   問題解決       150万円  2回 → 300万円     合計                     1,600万円   ここで問題です。このケースでROI(投資効果)はいくらでしょうか? ITSSを導入するとこの試算が可能になるのです。ITSS導入の一つのメリットとお考えください。 達成度指標によると、PMの各レベルでの扱えるプロジェクトの規模が規定されています。それが使えます。   レベル3: サイズ: 規定なし (企業の実情に即して 例えば3000万円としましょう)   レベル4: サイズ: 年間契約金額1億円未満 (企業の実情に即して 例えば5000万円)   レベル5: サイズ: 年間契約金額1億円以上 (企業の実情に即して 例えば8000万円) 達成度指標を用いると、人材育成したPMの扱えるサイズ(すなわち売上高)が増えることを意味します。  上の例ですと、レベル3が10人(3000万円X 10人)、レベル4が5人(5000万円X5人)、レベル5が3人(8000万円X3人)増えますから、会社として扱えるサイズの合計が7億9000万円増えることを意味します。言いかえると、社員の数は変わらなくても、人材(PM)のレベルを上げるだけで7億9000万円、売上が増える可能性があるということです。実際に受注が増えるかどうかは、PMの責任ではなく、マーケティングやセールスの努力が不可欠です。    では教育のROI(投資効果)を、計算してみましょう。    ROI = 純利益増 ÷ 投資金額 とします。売上純利益率は自社の数字をお使いください。ここでは、仮に5%とします。   純利益増 = 7億9000万円 X 5% = 3,950万円 単年度のROIは、   ROI(単年度) = 3,950万円 ÷ 1,600万円 = 2.47 となります。これだけでも、すごい数字ではないでしょうか。   この投資による利益増は数年間続きます。また逆に初年度から100%効果が出るかは疑問です。 そこで、初年度は控えめに50%程度に減らしておきましょう(実情に合わせて適切な数値をお使いください)。2年目で100%、3年目は120%(PMの経験を積むことにより、さらに人材レベルが向上するからです)としましょう。 3年間でのROIを試算します。   純利益増(3年間) = 3,950万円 X (0.5 + 1 + 1.2) = 1億665万円 すごい数値ですね。ROIはどうなるでしょう。   ROI(3年間) = 純利益増(3年間) ÷ 投資金額             = 1億665万円 ÷ 1,600万円  = 6.67 いかがでしょうか。PMの能力向上は、これだけ収益に貢献できるのです。   3年間のキャッシュフローから、NPV(Net Present Value)やIRR(内部収益率)まで計算する必要はないと思います。このROI(投資効果)があれば、教育の効果測定(Kirkpatrickのレベル4)は明確ではないでしょうか。   もちろん、教育だけでPMのレベルが向上するわけではありません。しかし教育なしに短期間でレベルが向上することもありません。こう見ると教育投資がいかに効果があるか分かります。会社が儲かるためにはエンジニアを教育するのが一番! と言えます。 
 
 
 
    
 
 
 
 
 
 
 
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