フェーズ5: 研修の実施
研修の実施
このグラフは全エンジニアの教育時間です。赤が教育(研修に参加している時間)、青が自習の時間です。教育時間を把握することは重要です。さらに個人的や熟達度(上級、中級、初級)によるバラツキも把握したほうが良いでしょう。
教育時間の最適な数字はありません。グラフの例では、エンジニアの稼動時間の約10%を教育に使用しています。これが適切かどうかは企業や組織の特性、またビジネス戦略により変わります。もっと少ない時間で十分な組織も多いと思います。
大事なことは教育時間を把握するのみならず、エンジニアに適切な教育を受けてもらい、早くビジネス戦略の遂行に貢献できる人材になってもらうということです。そのためには、戦略的にある期間、教育時間を増やすこともあるでしょう。
教育予算も同様です。売り上げの何%を教育予算にあてるべきという数字があるわけではありません。ビジネス戦略に応じて柔軟に対処するべきです。
効果測定:
教育/研修の効果測定(Donald Kirkpatrickの4つのLevel)について
【Level
1(満足度)】:
受講者が研修に満足したかをアンケートにより計測します。
−コース内容
−講師評価
−学んだスキルを業務で使用したいか
−その他
【Level
2(理解度)】:
受講後の理解度テストなどにより計測します。
−何を学んだか
−スキル(知識)を業務で使えるようになったか
−その他
【Level
3(行動変容)】:
受講者が学習したことを業務でどのように使用しているのか、行動面を計測します。
上司による観察、周囲へのヒアリングにより計測する場合が多い。
−業務でどれだけ実践しているか
−知識やスキルが職場で共通言語化されているか
−その他
【Level
4(ビジネス貢献)】:
研修コースがどのようなビジネス上の利益を与えたかを計測します。
企業が目指しているビジネスの目標がどれだけ実現されたかを計測するもので、
効果測定の中で最も重要なものです。
−ビジネスパフォーマンスの向上
・財務的なパフォーマンス(売り上げ、利益、など)への貢献
・顧客満足の向上
−投資利益率(ROI : Return on Investment)
研修にかかったコスト全体に対するビジネス上の利益との比率です。
実際の計算はかなり困難です。
ここでは、レベル4のなかの「顧客満足の向上」に関する測定例をご紹介します。
研修の実施とその効果測定
さて、冒頭に述べましたがQFDによりカリキュラムの優先度が得られ、それに従い教育/研修が実施できるようになりました。図の赤い部分が実際に実施した教育です。一番下の欄の数字(WEIGHT付け)の高いものを重点的に実施したわけです。
研修実施後の調査と実施前(前年)との比較が次のグラフです。
これはCSI(Customer
Satisfaction Index)という指標での比較です。
明らかに殆どの項目で改善されているのが分かります。
教育/研修の効果を顧客要求品質のレベルで測定しています。
これが、レベル4の効果測定です。
「13.積極的な商談参加ができる」の指標が下がっているのが気になります。
これは、この年から不況の局面に入り、プリセールスへの要求が顕著に高まったのが理由です。顧客要求もダイナミックに変化しているのが分かります。
レベル4の効果測定ができることのメリット:
経営層に対して、教育効果がビジネス結果として明確になりましたから、注目度ががらりと変わります。すべての国の教育体系までこの手法で見直されるようになりました。
また、実施担当者は予算の心配が一切なくなりました。使いたい放題の予算で教育計画が立てられるようになりました。実際は参加する側のリソースの問題でおのずから上限は出てきますので心配はいりません。効果が見えるので、どのような研修でも実施可能となりました。
ご意見を歓迎します。
連絡先: Mail to : KBマネジメント
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