FDEとビジネスアナリスト(4)

前回はSIerがFDEを名乗ることの矛盾について生成AIに解説してもらいました。

最近はSIerのみならず、コンサル会社までFDEサービスに躍起になっているように見受けらます。このようなサービスはPalantirのような「プロダクトと現場のフィードバック・ループ」を回す本物のFDEとの違いは何でしょうか。日本市場のみの現象でしょうか。

Palantir(パランティア)などのテック企業が実践する「本物のFDE」と、日本のコンサル会社が打ち出す「FDEサービス」には、ビジネスモデルと構造上の決定的な違いがあります。

「本物のFDE」と「コンサル型FDE」の決定的な違い

最大の違いは、「自社のコアプロダクト(製品)の成長」を目的にしているか、それとも「純粋な人月の受託・サービス提供」を目的にしているかという点です。

比較項目 Palantir等の「本物のFDE」 日本のコンサル型「FDEサービス」
中心にあるもの 自社の独自プロダクト(Foundryなど) 顧客の課題と汎用技術(生成AIなど)
フィードバックの行先 自社の製品開発チーム(PdM) 顧客企業の次の経営戦略や業務改善
チームの構成 ビジネスが超絶できるゴリゴリのエンジニア 戦略コンサル + エンジニアの混成チーム
ビジネスモデル サブスク(SaaS)+ 導入加速のブースター コンサルティング受託(時間/人月/成果)

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フィードバック・ループの「中身」が違う

  • 本物のFDE: 現場でコードを書く中で「製品のこの機能が足りない」と気づいたら、自社の製品をアップデートします。つまり、彼らにとっての現場は「製品を育てるための実験場」です。
  • コンサル型FDE: 現場でAIを実装して得た知見(現場知見)を、製品ではなく「顧客の次の戦略」へとループさせます。これは非常に優れたアプローチですが、実態としては「戦略から実装までを一気通貫でやる、超高速・密着型のITコンサルティング」であり、プロダクトありきのFDEとは構造が異なります。

なぜ日本のコンサルやSIerが「FDE」に躍起になるのでしょうか(日本特有の事情)

日本には「ユーザー企業にITエンジニアがほとんどおらず、SIerやコンサルに丸投げしている」という独自の構造があります。 これまで日本のコンサルは「絵(戦略)を描くだけで実装しない」、SIerは「言われた通りに作るだけでビジネスがわからない」と批判されてきました。さらに昨今の生成AIブームにより、「PoC(概念実証)ばかりで本番実装されない」という強い危機感が顧客側にあります。 そこで、コンサルは「私たちは戦略から本番コードの記述(実装)まで地続きでやりますよ!」という姿勢をアピールするための最高に格好いいラベルとして、「FDE」という言葉を拝借しているのではないでしょうか。

 顧客にとって「コンサル型FDE」は悪なのか?

もしこのサービスが、単に「戦略コンサルタントとエンジニアをセットにして高く売るためのパッケージ(言葉のすり替え)」であれば、いずれ顧客に見限られて失敗するでしょう。
しかし、もし彼らが「本番環境で稼働するシステムまで責任を持って提供し、PoCで終わらせない」ことを本当に泥臭くやり切る(=旧来の口先だけのコンサルから脱却する)のであれば、エンジニア不足に悩む日本のユーザー企業にとっては、頼もしい「外付けの変革エンジン」になる可能性はあります。
いずれにせよ、「FDE」という言葉が持つ本来の『プロダクト重視』の思想とは形を変え、日本市場の“丸投げ構造”に適応した「高速・現場密着型コンサル」へとガラパゴス進化した姿が、現在の日本のFDEブームの正体と言えそうです。

名称だけ自分たちの都合の良いタイトルFDEを使用しても、中身は似ても似つかない「FDEサービス」になってしまっているのは情けないですね。
そういえば、当初はデジタルトランスフォーメーションをDXと言っていたはずのものが、いまでは単なるIT化のことまでDXと扱っているのと似ていますね。横文字の用語(FDEやDX)を日本流に勝手な解釈で言い換えてしまうのはいい加減やめにしてほしいと思います。