知識エリア 「引出し」の主要概念
引出しはプロダクト情報を単に収集したり取得したりすることではありません。なぜなら、ステークホルダーはニーズ、アイデア、要望をもっていることが多いのですが自分でうまく表現できなかったり、まだ十分ん気が付いていないことすらあります。ビジネスアナリストはそれらのニーズ、アイデア、要望などを引出すことに責任があります。ある意味ビジネスアナリシス活動においてこの知識エリアの活動がどれだけうまくできるかがプロジェクトの成功にかかってくると言っても過言ではありません。
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この知識エリアには次の7つのタスクがあります。
- 引出しのアプローチの決定
- 引出しの準備
- 引出しの実行
- 引出し結果の確認
6.1 引出しアプローチの決定
- 定義
引出し活動の実行方法、対象となるステークホルダー、利用可能な引出し技法、引出しの最適な実行順序を考えるプロセスプロセスです。 - ベネフィット
ステークホルダーの時間の有効活用であり、ステークホルダーとの効果的な協働であり、そして引出しへの組織的なアプローチをです。
インプット
- プロダクト・スコープ
- 状況記述書
- SHエンゲージメントとSHコミュニケーションのアプロ―チ
- ステークホルダー登録簿更新版
ツールと技法
- ブレーンストーミング
- インタビュー
- レトロスペクティブと教訓
アウトプット
- 引出しアプローチ
このプロセスは引出し活動の計画を行います。PMBOK的にはアウトプットは「引出し計画書」になるはずですが、ビジネスアナリシスの場合厳密な計画は好まれないので、アウトプットが「引出しアプローチ」 となります。
6.2 引出しの準備
- 定義
資源を計画し、予定に組み入れ、個々の引出し活動に必要な材料を準備するプロセスです - ベネフィット
引出し活動が体系化され、効果的に実行されること、そして、参加者が、なぜ引出し活動に関与し、自分たちに何が求められているのかを前もって理解できます。
インプット
- 引出しアプローチ
- プロダクト・スコープ
- 要求事項とプロダクト情報
- 状況記述書
- SHエンゲージメントとSHコミュニケーションのアプローチ
ツールと技法
- 文書分析
- インタビュー
アウトプット
- 引出し準備資料
6.3 引出しの実行
- 定義
ステークホルダーや他の情報源から情報を引き出すためのさまざまな引出し技法を適用するプロセスです。 - ベネフィット
要求事項や他のプロダクト情報を十分に定義し、詳細化するために、適切な情報源から情報を入手します。
インプット
- 引出し準備資料
- プロダクトスコープ
- 状況記述書
ツールと技法
- ブレーンストーミング
- 協働ゲーム
- 文書分析
- ファシリテーション型ワークショップ
- フォーカス・グループ
- インタビュー
- 観察
- プロトタイピング
- 調査とアンケート
アウトプット
- 未確認の引出し結果
このプロセスの技法の多さが目を引きます。なんと9種類もあります。多くの手法を用いてニーズやアイデア(まだステークホルダー自身が気の付いていないようなものを含む)を引出す努力をする必要があります。弊社の研修の参加者にお聞きすると、5種類程度の技法をお使いの方が多いようです。一つでも二つでもなるべく多くの技法を使いこなせるようになっていただきたいと思います。この知識エリアはプロセスよりも技法が重要です。
上記技法の中で最もお勧めなのは「ファシリテーション型ワークショップ」です。これは引出しだけで行うのではなく後続のアナリシスとも組み合わせて行うのが効果的です。引出しながら分析し、要求の優先順位を付けたりすることまでできる可能性があります。
6.4 引出し結果の確認
- 定義
引出し結果のフォローアップ活動を実行し、適用すべき適切な正式度を見極め、正確さと完成度についてステークホルダーとレビューを行い、過去の情報と比較するプロセスです - ベネフィット
「引出し」実施中にステークホルダーおよび引出し結果が理解されたことの妥当性を確認します
インプット
- 引出し準備資料
- 未確認の引出し結果
ツールと技法
- 文書分析
- 用語集
- インタビュー
- 観察
- ウォークスルー
アウトプット
- 確認された引出し結果