SaaSの死とは
2026年2月になってから、「SaaSの死」という物騒な話が話題になっています。「SaaSの死(SaaS is Dead)」という言葉は、従来の SaaS(Software-as-a-Service)モデル、すなわち
- 月額ライセンス
- 人間がログインして使うアプリケーション
- ID × seat(人数)課金
というモデルが、AIエージェント(特にAnthropicの Cowork のようなツール)に置き換わる可能性があるとして投資家や市場で語られている現象です。具体的に言うと:
- AIエージェントがいくつものSaaSを「まとめて自動化」できる
- 複数のSaaSを横断して作業を完結できる
- UIを使って人間が操作することなく、AIがワークフローを完結する
このような変化が市場に衝撃を与えているのです。
https://note.com/snowflake_note/n/n0f3bf503fbd3?utm_source=chatgpt.com
報道によれば、
- Anthropic が業務AIエージェント Claude Cowork に、法務・財務・データ分析などを自動化するプラグインを多数追加した発表を行いました。
- これを受けて、SaaS銘柄やIT株が大規模に売られ、市場全体で数千億ドル規模の価値が蒸発したという報道が出ています(いわゆる「Anthropicショック」と言われています)。つまり、AIエージェントが複雑な業務を自動で処理するようになると、従来の個別SaaSに掛けられていた支出や株式評価が不要になる可能性があるという投資家の認識変化が引き金になっているだけ。
しかも「SaaSが完全に消滅する」と断言されているわけではありません。多くの専門家は、これは議論を喚起する**象徴的な表現(キャッチコピー/マーケットセンチメント)**であり、SaaSが役割を変える、統合/再定義されるという見方です。
たとえば、
- SaaSの伝統的な座席課金モデルは挑戦を受けるが
- SaaSとしてのアプリケーションや深い業界最適化はまだ価値がある
という見方があり、単純な「SaaS=死」というわけではないのです。ですから、「SaaSの死」をあまり気にする必要はないかもしれません。
Coworkの他の業務への影響
しかし、CoworkなどのAIエージェントのインパクトはSaaSだけの話なのでしょうか。むしろそれ以外の影響の方が大きいのではないでしょうか。
SaaSはこれまで:
- UIに人間がログイン
- ワークフローを人が操作
- seat課金モデル
という前提でした。しかし Cowork 型AIは:
- SaaSのUIを使わない
- APIや画面をエージェントが操作
- 複数SaaSを横断して処理
つまり、アプリケーション」という単位が意味を失い始めるということではないでしょうか。言い換えると、業務が標準化されていればCoworkはSaaSだけではなく、業務そのものを代替できるのではないでしょうか。
ですからCoworkの本当のインパクトは、
- 「SaaSの死」 → 単なる表層であって、本当のインパクトは:
- 「人間が操作する業務プロセス」の変革にあると思います。
なぜなら、Iエージェントが置き換えるのは
- UI
- 画面操作
- 入力作業
ではなく
- 判断
- ルール適用
- データ横断処理
- 業務フロー制御
だからです。
標準化された業務と Cowork
では、業務が標準化されていればどうなるのでしょうか?
ここが重要で、標準化された業務とは次のことを意味します。
- 入力が定義されている
- 判断基準が明確
- 例外が整理されている
- データ構造が安定している
これは実質的に「業務がアルゴリズム化されている」という状態です。その場合、AIエージェントは:
- APIでデータ取得
- ルール適用
- 他システムへ連携
- レポート生成
を自律的に実行できます。つまりSaaSを置き換えるのではなく、「業務担当者」を置き換える可能性があるということです。特にAIが置き換えやすいのは次の場合です。
- 判断型プロセス
- データ主導業務
- ルールベース業務
すなわち、オペレーション層の多くは影響を大きく受けることになりそうです。ですから、「SaaSの死」より重要なのは、「業務の単位がアプリからエージェントに移る」という構造の変革です。
これが起きると次のことが起きるのではないでしょうか。
- ソフトウェア市場の再編(SaaSの死)
- 業務設計の再設計
- 組織構造の再編
- 職務定義の崩壊
つい半年位前にDevinやWindsurfによるSW開発専用のAIエージェントが話題になり、近い将来プログラマーが不要になる、そのためコンピュータサイエンス系の学生の就職難が話題になったばかりでした。
今度は特定の職務(プログラマー)にとらわれない、きわめて多くの業務がインパクトを受けることになりそうです。
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事の本質は「業務の実行主体が人間からエージェントに移る」ことです。
これは業務の改善/改革のレベルではなく、まさに「業務の革命」と言うべきものです。
次回をお楽しみにしてください。

