【ビジネスルールとビジネスプロセス】(その1)
最近、ビジネスルールが重要だという話を耳にすることが多くなりました。日経コンピュータ誌でも「超高速開発が日本を救う」などというエキセントリックなタイトルでビジネスルール管理システム(BRMS)を大々的に取り上げたりもしています(2012年3月15日号)。また直近では本格的にビジネスルールを扱った「ITエンジニアのためのビジネスアナリシス」(日経BP)が出版されるなど、多方面で注目を集めています。
一方、ビジネスルールは日本ではなじみの薄い概念でその内容に関する知見はまだ少ないのが実情です。そこで、本メルマガではビジネスルールおよびビジネスプロセスに関して連載で解説を試みます。
以下、連載の目次です。
- なぜ、ビジネスルールが注目されているのか。
- 従来の業務システム(プロセスベース)の問題点
- 最近のBRMS(ビジネスルール管理システム)の特徴と利点
- 最新書籍「ITエンジニアのためのビジネスアナリシス」の訴求点
- ビジネスルールの作成方法
重要なことは全体像です。各論は別の機会にすることとして、本当のメリット、デメリットは何なのかに焦点を当てて解説しようと思います。
1.なぜ、ビジネスルールが注目されているのか。
1.1 メディアの関心
なんといっても、メディア(特に日経BP)の取り上げ方が尋常ではありませんね。
約1年前の「超高速開発が日本を救う」はエキセントリックな内容でした。
システム開発も超高速で可能になり、保守作業もITエンジニアではなく業務の担当者がルール変更のエディタを使えば、その日から新しいルールに基づいたシステムが出来上がると、吹聴していました。約1年前の特集ですが、日経コンピュータ誌をお持ちの方は是非ご覧ください。特集記事の大項目と概要だけ見ても、その効果の大きさには驚いた読者も多いのではないでしょうか。
「韓国企業に見る威力」
韓国製のBRMSとしてイノルールズ社のinnoRulesが大きく紹介されています。
主な項目は、
- スピードの秘訣はBRMSにあり
- サムスン生命はスピード3倍増
- 開発期間を半減させた現代海上
「「攻守」の両方に効く」
- 自然言語で業務ルールを入力
- 画面やDBに自動生成
- アジャイル開発が現実的に
- BRMSの導入効果が高い業務
- 分岐条件や四則演算などを多く含み、複雑である
- 四半期ごとのなど変更が頻繁に発生する
- 一時的ではなく、毎日実行する
「10倍速で攻める」
- 開発工数を9割削減
- ルール作成時間を半分に
- システム保守は当日対応
「コスト9割減で守る」
- 医師の仕事を肩代わり(保険の医務査定業務)
- 自治体でも1億円削減
日経コンピュータ誌では、最後に「超高速開発ツールの活用の巧拙が、日本企業の競争力を左右する時代に突入しつつある」と締めくくっています。
1.2 ビジネスアナリシスのアプローチの一つとして
毎年開催されているビジネスアナリシスのカンフェランス(Building Business Capability:BBC)では、IIBAとともに、BR&D(Business Rules& Decisions)フォーラムを同時開催していて、IIBAとの協調路線を築いています。
本年(2013年)11月予定のカンフェランスの案内をご覧ください。
http://www.businessrulesforum.com/
IIBAの立場からは、ビジネスアナリストの一つの手法(手段)として定着しつつあるようです。特に、最近日本語訳された「ITエンジニアのためのビジネスアナリシス」はIIBA本部がスポンサーとなって出版された初めての書籍という位置付けです。それだけビジネスアナリシスの見地からしてもビジネスルールは重要なもののようです。