14 簡素な技術が役立つ
14.1 ビジネスアナリシスはどこにでもある技術でできる
ビジネスアナリシスを実行しようとするといろいろな手法や技術をどのように利用すれば良いのかに戸惑うことがあります。そのような場合には、発想を変えていま何をしたいのかということを考えることが良いでしょう。 ビジネスアナリシスの高度な論理や種々な手法を議論することではありません。 目の前の問題を解決することです。 ビジネスアナリシスの本当の目的は、ビジネスを良くすることや目前の問題を解決する事です。
手法や技術にはいろいろなものがあって、単純なものから高度なものまであり、直面する場面でどのような手法を選択すれば効果的なのかの選択に迫られます。ただ、殆どの場合、日常実行している簡素な方法の組合せで実行できるのです。それらをどう使いこなすかが鍵です。多くのデータを用いて高度な手法により問題の要因分析をすることはありますが、常に必要なことではありません。どこにでもある簡素な手法や技術でも良い判断ができることが殆どであると信じて実行してください。
14.2 どんな技術も基本は単純
調査や分析評価などにはいろいろな方法や技術がありますが、それらの基本は単純であり、難しいことをやっているのではないことを理解しておくことは大切です。 名称につられて高度な方法であれば正しい結果が得られるのではないかという錯覚を持ちます。 解決する問題に対してどのような情報が必要かを明示することが必要であって、どうやってそれらを集めるかにあります。例えば調査についていえば、直接相手から聞くこと、アンケートによる回答の編集、事業業績の調査、統計情報の収集、非数値情報の調査などがあるでしょう。人との関係ではどうやって本音や真実を引きだすかが課題であって、極めて人間臭いところが多いと言えます。分析においても同様であり、情報をどのような視点で見たいのか、どのような関係を知りたいかを明示できればそれに対応する適切な分析を実行することになります。基本的な仮説と検証の関係が理解できることが重要でしょう。
14.3 やさしい方法ほど効果的
多くの関係者が関与するビジネスアナリシスでは、その適用手法や技術は簡素単純なことが利点となります。一つの目的に対して意思統一をはかる上でも、関係者の理解が容易なことは大きな効果であり、実行面においても効率的です。 ビジネスアナリシスのリーダーが全体を主導するとしても、実行は現場の総合力です。誰にでもわかるやさしい方法ほど効果的に理解されることは明白です。やさしい方法とはレベルの低い内容ということではありません。高いレベルの内容をやさしく実行することであることを理解してください。難解な理論が流行することがありますが殆どがいつの間にか消え去っています。もし、学術的に高度な理論を適用するならば、現場に優しい言葉と方法に置き換える必要があります。現場が理解できることが必要条件です。
14.4 あたりまえのことをあたりまえにやる
ビジネスは日常の生活の中にあります。そこでは人々の知恵と工夫の蓄積の中で、多くのことがあたりまえのように実行され、改良されてきました。ビジネスアナリシスはその延長の中で、ビジネス上の課題解決とより良いシステム構築のために、どのような問題にも対応できることを目標として活用されつつあります。 難しい問題は単純な問題に分解すれば解けるはずです。 問題意識を持ち、これまでに親しんできた種々な方法を活用して、現状と環境を分析し、何が起こっているかを認識し、問題の原因を追究し、目標を定め、解決手段を選択して実行することによって、これまで通りあたりまえのことをあたりまえにやることが、ビジネスアナリシスなのです。