どこでもビジネスアナリシス (52)

52 対象課題の特質を捉える

52.1 何が最も特徴的か

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ビジネスアナリシスの最適な実行構造を設定することは着手時点において最も重要な課題の一つです。最適な実行内容は対象とする問題によって決まりますので、直面する問題の特質をできるだけ正しく捉えることが効果的な実行構造を設定することにつながります。すなわち、対象とする問題の中で何が最も特徴的か、という視点です。その問題を解決するために最も重要な要素は何か、大きな障害となる対象は何か、経営環境の変化はどう影響するか、コスト上昇の要因は何か、組織内の人的要因はないか、外部との競合はないか、等々いろいろな視点からの観察と判断が必要です。その中から、本題の解決に最も重要である、あるいは問題解決の鍵になると思われる項目を選び、そこへ解決の行動を集中させます。突出して特徴的な課題がひとつであればそこに集中し、複数あればそれらが個別の動きをするのか連携をもって動くのかの判断が必要です。それらの課題に対して必要な対応策を最も効果的に推進できる実行の構造を設定することが構造設定の鍵になります。

52.2 特徴的問題への最適な対応策は何か

対象課題の特徴がわかったならば、その中の問題解決上の鍵となる項目や障害となる場所へ活動を重点的に投入します。どのような活動を投入する必要があるかをビジネスの現状から判断します。その活動は現在の状況によりまちまちです。例えば、ビジネス上に起こっている問題が良く見えない場合には、現状の調査や観察、周囲状況の把握などに焦点を絞ります。業績の悪化に関する問題であれば、関連する経営指標や、業務指標のトレンドを徹底分析する必要があるでしょう。また、市場動向と経営指標との相関関係を詳細に分析する必要があるかもしれません。このような調査と分析ができる体制を重点的に構築する必要があります。経営情報が良く見えない時には、情報システムの再構築が必要かもしれません。あるいは、利用能力の問題があるかもしれません。内部組織の人材だけでは分析判断ができない場合には外部のコンサルタントを入れる必要があるかもしれません。このような対応により問題の分析が進めば次にはその解決策の構築が必要ですが、そこでも重要な課題の解決に重点的に対応策を投入する計画を作ります。組織の問題、人材の問題、資源の問題、原価の問題、製品の問題、販売の問題、調達の問題、生産の問題、品質管理の問題、サービスの問題、等々それらのどれに対応するどのような問題であるかにより、その解決に結びつく議論と対応策の構築が可能な体制を準備しなければなりません。このような分析と評価と行動の設定を問題解決の全体について戦略的観点から網羅的に順次計画する必要があります。

52.3 特徴的問題を具体的にどう処理するか-手法や技術を選ぶ

それぞれの課題を解決するためにはいろいろな手段や手法があります。どの手法を選択するかは何をしたいのかにより決まります。そのためにはまず現状を正しく認識し、目標を設定しなければなりません。例えば、コストを下げると言う課題に対して、コストを構成する要素はいろいろありますがどのコスト要素をどう攻めるのかにより適用手段は異なります。間接費を削減する、直接費を低減する、配賦額を下げる、それら総てを対象とするなど、どの手法を選ぶかにより実行手段は異なるとともに、その中でも具体的にどの構成項目を対象とするかによって選択する適切な手段は異なります。同じ間接費の削減においてもどの構成要素を削減するのかによりさまざまな方法や技術があります。人件費を削減すると言う課題においても、組織構造の変革、個人の業務能力の向上や多様化、外部サービスの活用、などいろいろな選択肢があります。どのような方法を選択し、どう運営するかが最終的な実行効率と得られる結果を左右します。