どこでもビジネスアナリシス (78)

78 手法の原点は対象の規模や範囲によらない             

78.1 基本的な課題解決の手法は汎用的

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ビジネスアナリシスのような方法論やそれを構成する多様な手法は、その適用対象の性質や規模に対してきわめて汎用的であり普遍性があると言えます。 ビジネスアナリシスの適用で重要なのは、その本質的な概念を理解することであって、そこで述べられている個々の知識や機能がすべてに当てはまるかどうかの問題ではありません。 概念や機能の個々の詳細が解決しようとする課題に対して有効であるかどうかという議論ではなく、対象とする課題の本質的な全体像のとらえかた、その分析、関連する環境の理解、課題解決に対して認識するべき事項、発生すると思われる障害やリスク、解決策構築における手法選択の方法、適用可能な専門技法やシステム、等々の概念を理解することが大切です。 ビジネスアナリシスには活用できる多様な概念、手法、技術がありますが、それらをどのように組合せれば対象課題の解決にどのように役立つかを理解することが大きな目的です。直接利用できる概念や手法があれば活用し、場合によっては修正して活用し、あるいは新たな概念を組み立てて活用するなど種々な対応が自由にできる柔軟性があります。

78.2 対象の大小にかかわらずやるべきことは同じ

ビジネスの世界に限らず、課題は無限にあり、その規模は大小さまざまです。 企業の片隅の課題から国際的問題に至るまで、課題に対してその解決に向けてやるべきことの基本は同じであり、異なるのはその対象の規模により関連の複雑さの相違があることです。 課題の中にはそれを構成する課題があり、突き詰めていくと課題の原点すなわち本当の原因に達します。 これらの分析や解決策構築のメカニズムは同じであり類似の構造であると言えます。 このような現象の分析や原因の追究、解決策構築の方法とプロセスは対象の大小にかかわらずやるべきことは同じであると言えます。異なるのは実行する具体的行動の内容とその組合せです。

78.3 対象課題の性格により適用内容を選択する

適用手法が異なるのは対象課題の規模の大小によるのではなく、課題の持つ本質的な性格により内容を選択することにあります。言い換えれば、同じ性格の課題であればその規模の大小によらず、同じ対応策を適用すればよいということです。ただ、規模の小さな課題での対応と規模の大きな課題での対応とでは、関連先の数と多様性の違いがあり、それに伴う対応の複雑性が異なりますので、その対応のための考慮が必要になります。さらに、規模による複雑性により、組織間の調整や整合性の合意などが必要になることがありますので一段と高いレベルの判断と実行力が求められます。別の言い方をすれば、類似の課題においてはその規模の大小にかかわらず基本的な対応構造は同じですが、数と複雑性への考慮が必要になるということです。

78.4 規模が小さければ解決が容易であるとは限らない

規模の小さな課題ではその課題解決が容易であるかというと必ずしもそうとは限りません。規模が小さな課題であってもその発生要因が複雑であり、かつ多くの要因要素がからんでいて、それらの微妙なバランスにより結果が左右される場合には、困難な判断と選択を求められます。 また、その結果により、より大きな問題の結論を左右する場合などは非常に重要な影響を与えることを考慮して判断する必要があります。 このような場合と反対に、規模の大きな課題であっても、その要因の構造が比較的単純であれば、全体としての行動計画の策定は比較的容易であり、その実行も複雑性を伴いません。このように、策定策の構築はその規模の大小によって困難さが決まるのではなく、結果が与える価値や影響の重要性をも考慮して判断されなければなりません。