どこでもビジネスアナリシス (81)

81 今何が起こっているのか

81.1 できるだけ多くの状況を書き出してみる

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発生している課題に関して今何が起こっているのか、どのような状況にあるのかを正しく認識することが課題解決の出発点であることは何度も述べた通りです。 何が起こっているのかを正しく理解するということは易しいようでなかなか困難なことです。 なぜならば、我々は自分の関心のあること、経験をしたこと、知識のあること、などを中心に状況を理解しようとする傾向が強いからです。 もちろんそのような視点での理解は基本的に必要であり、その中に真実が含まれていることが多いのですが、それだけを見ているとそこから外れた発想に行きつきません。 それを避けるためには、発想を変えることが必要です。そのためにはまず、自分の常識から少し離れた視点から観察することは役立ちます。 さらに自分の周りの人たちからの意見を聴き、忠実に記録することが効果的です。 とにかく、できるだけ多くの視点からの意見を書き出してみることが第一歩です。 

81.2 内部における状況

自分の所属する組織の内部における状況を書き出すことは容易だと思われますが、意外と難しいのです。注意しなければならないのは、あたりまえに日常実行していることが重要な問題発生の原因になっているということを見落とさないようにしなければなりません。 これまでのルールや習慣、伝統、組織構成や人的関係、定式化された報告、維持されてきた経営数値、指標、発言に関する障害、無言の圧力、停滞感、保守的な発想、など通常あたりまえと思われてきたことへの見直しが課題解決の宝庫になっている可能性があります。 これらの要素をできるだけ定量的に、また時間軸での変化を捉えることができれば効果的です。 さらに他の内部組織や類似の外部組織との比較ができるならばより当該組織の状態を特徴的に捉えることが可能です。

81.3 外部における状況

外部の状況は多種多様です。あらゆる現象をすべて捉えることは困難ですから、今課題になっていることと関係が深そうな事象をとりあげなければなりません。多くの課題は経営状態の変化、業績の悪化などが関係していますので、市場の変化、顧客との関係、製品やサービスの評価、競合他社の動き、パートナーの状況、原材料や購入部品の価格変動、などは殆どの場合調べる必要があります。 これらの外部状況に特徴的な変化がみられる項目に関して、そのインパクトが組織内にどのように影響しているかの理解が進むと課題の要因となる種々な要素の姿が見えてきます。 外部の変化に対して、組織内部の対応力がある場合には持ちこたえていますが、その限界を越えますと内部状態の維持が困難になってゆきます。このように、外部の状況変化は内部の変化に緊密に連携しています。

81.4 整理をすると問題点が見えてくる

このように外部の変化は内部の変化に緊密に連携して影響を与えますから、外部の変化は内部の変化に大きく影響するという認識が必要です。ただ、内部の変化は外部と関係なく起こることも多いと言えます。特に判断の誤りから発生する課題、組織の能力に起因する課題、意識の停滞、行動の遅れ、など基本的に人間の判断や行動に起因する問題が組織内部の課題の多くを発生させていますが、組織内からはそれらが見えにくいことが課題を進展させてしまいます。課題発生の要因を迅速に突き止めるためには、指摘された内部、外部の変化の状況を現象別に整理して、事象相互の関連図を作成しますと影響の流れを突き止めることができますので問題の真の原因が見えてきます。誤った判断を避けるために、影響の規模や範囲を理解することも大切です。