どこでもビジネスアナリシス (90)

90 感度解析をしよう

90.1 何かを変えれば結果も変化する

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ビジネスが存在する環境は多様であって関係する要素は無限にあると言えます。どのようなビジネスも関係する一つの要素が変わればビジネスの状態は何らかの影響を受けます。それが定量的な変化であることも定性的な変化であることもあります。どの程度環境が変わるかによってもその影響は異なります。自分がビジネスの現状を変えようとするとき、何をどの程度変えれば結果はどう変わるのかを知ることは大切です。このような変化と結果の関係を知ることを感度解析と呼んでいます。ただ、変化と結果の関係は単純ではなく不規則に変わることがあり、不感領域もあります。商品やサービスの価格をどれだけ変えたならば、販売量はどう変わるであろうかというシミュレーションは単純な例のひとつです。これを損益面から考えるならば、単価の変化と数量の変化との掛け算になりますから結果として何を知りたいかにより感度を比較する指標が異なります。実際には単純に単価を変えるだけでなく、同時に商品の機能や品質を変えたりしますからそれらの変化量も複雑に絡んできます。 

90.2 どの変化が最も敏感か

感度解析は変化要素の一単位を変えた時に結果がどれだけ変化するかという定義にしておくとわかりやすいでしょう。いろいろな要素のうちどの要素を変えることが最も結果に敏感に影響するかを知ることは意思決定のために重要です。例えば、ある製品の原価を低減したい時に原価を構成するどの要素、すなわち材料費、加工費、人件費、間接費、賦課費用などのどれを下げたならば最終原価にどう影響し、そのもっとも敏感な要素は何かということです。それらの要素のそれぞれに関して低減の容易性の問題が関係しますので、実際の選択はそのような付随する課題の実行の容易性を含めて判断しなければなりません。この例では、製品の原価構成が明確になっていることが必要です。また、製品の売上を増加させたいという時には、その要素は価格のような定量的なものばかりではなく、品質、機能、デザインなど数値では表現しにくいものも多く、どのように感度の敏感性を比較するべきかの難しい課題もあります。

90.3 同時に起こる変化の相互干渉を知る

実際のビジネスにおいて変革を実行するときには同時に複数の仕掛け要素を実施することが多いのですが、それらの結果は総合結果として実現されますので、どの仕掛けがどれだけの効果をもたらしたのかを分解して観測することは一般的には困難です。このような革新行動の実行では、計画時に事前に実行要素別の結果に対する感度と、総合的な効果との相互感度について何らかの論理的推定をしておくことは有効です。また、要素別の効果を観測できる現象を探しておきそれらを測定することができれば実行策の検証に役立ちます。複数の実行要素の成果がそれぞれ独立事象として観測できる場合には感度の総合的論理構成は容易です。複数の実行要素が、部分的に効果を打ち消しあう場合や効果を加速する場合には相互干渉を知ることが必要です。

90.4 最も効果的な最適組合せを見つける

ビジネスに変革をもたらす仕掛けはこのように複数要素の組合せで構成されますので、最も効果的な最適組合せを見つけることが重要です。種々な実行要素の効果に関する感度、その敏感性、同時に実行する場合の相互干渉などを分析的に認識し、それらの中から最も効果的な組み合わせを見つけることが望まれます。効果感度の高いものだけを組みあわせれば総合的感度が良いとは限らないところに難しさがありますが、組合せの試行錯誤も含めて感度解析を認識することは重要な意味があります。実行要素の経済性の判断も必要です。