今号はイントロダクションの下記2節の抄訳(清水の試訳)です。
1.5 アジャイルチームにとって、何がBAを成功させるのか?
です。
1.4 アジャイルはビジネスアナリストにとって何を意味するのか?
アジャイルの発展の初期段階は、しばしばソフトウェアの開発に関する決定をすべて下すことができる一人の個人に依存していました。アジャイルプロジェクトがサイズと幅を増し、より大きくより多様な組織によって採用されるようになるとともに、ビジネスアナリストの役割は重大な貢献をするようになってきました。ビジネスアナリシスのスキルは、種々のステークホルダーのニーズおよび要望を引き出し、分析し、合意された一つの製品ビジョンとしてまとめるために必要になってきたのです。
いくつかのプロジェクトでは、まだ専門のビジネスアナリストは必要ではありません。これはビジネスアナリシスがプロジェクトの期間に行なわれないと言うことではありませんし、開発チーム全体の中の誰か(すなわちメンバー)によって行われているのかもしれないのです。
ビジネスアナリストがアジャイルプロジェクトに取り組むことができる様々な方法があります:
- アナリストはプロジェクト・チームが矛盾する意見や対立した意見で混乱しないように、分散しているステイクホルダーを集め単一の声で話すことを促す、複雑な環境でのファシリテーターかもしれません。
- ビジネスによって製品特徴およびプライオリティに決定する権限を与えられる場合、アナリストはプロダクトオーナー/顧客代表を務めるかもしれません。
- アナリストはビジネスプロダクトオーナーが不在の状況で、プロダクトオーナーを務めることができるかもしれません。
- アナリストはビジネスプロダクトオーナーのもとで、限定された権限のサブプロダクトオーナーとして働くかもしれません。
- ビジネスプロダクトオーナーは有能ですがITプロジェクト経験が不足で、残りの開発チームはドメイン領域知識ないような場合、アナリストはコーチの役割を演じることができるかもしれません。
- アナリストは、開発プルジェクトを始める前に受け入れ基準を定義し伝達する際に中心的な役割を果たすことができます。
- アナリストは受け入れテストの作成および実行に関与することができます。
- アナリストは、チームがプロジェクトのビジネス価値から焦点を外さないことを確実にすることができます。
- アナリストは、ステイクホルダーによって明確に表明されなかったかもしれない重要な要求を識別する役割を果たすことができます。
職名に関係なく、ビジネスアナリシスは、プロジェクトが顧客のための価値を最大化し、変化するビジネス・ニーズに適合することを確実にしています。
アジャイルなアプローチの中で利用されたテクニックは、ビジネスアナリストにとって大きな変更ではありません。アナリストはBABOKガイドに定義された多くのツールとテクニックを利用し続けますが、テクニックを使うタイミングと使用方法が変わりました。アジャイルプロジェクトでは、以前にハイ・レベルでは使われなかったかもしれないテクニックを利用、開発することをビジネスアナリストに要求します。アジャイルな環境ではビジネスアナリストの成功は、コミュニケーション、ファシリテーション、コーチング、ネゴシエーションのような人間関係のテックニックに大きく依存します。これらは、他のいかなる環境においてもアナリストの成功に欠かせないものです。ですから相互結合されたアジャイルチームにおいて、もしこれらのテクニックが有効に活用できなければ、十分に理解されて優先順位の付いたリクエストの数は減少してしまいます。これでは特定のリリースにおいて、ソリューションに少数の機能しか実装できないことになってしまいます。
アナリストは、360度の観点から要求にアプローチ接近することを要求されます。それらは戦略レベルにおいてビジネス・スポンサーと仕事をするように要求され、提案された製品や機能が、組織のポートフォリオと戦略にどのように提携するか定義します。そして、このビジョンを有効で正確な見積もりを支援する要求に分割するために、アナリストはビジネスとプロジェクト・チームで働く必要があります。アジャイルなプロジェクトでは、計画駆動アプローチにおける単一の要求定義フェーズに相対するものとして、反復リリースごとに毎回実施されます。アナリストは特定のイテレーションに必要なものだけを構築することができるように、開発チームにジャストインタイムで詳細な要求を伝えます。
ビジネスアナリストはすべてのステークホルダーと、プロジェクトのビジネスニーズの理解を共有することを促進するため、重要な役割を果たします。開発チーム全体で合意、共有された製品ビジョンを促進することがビジネスアナリストの役割です。成功した会話を保持する能力の側に、多くの視点で理解して、要求ドキュメントのような、形式上のおよび詳述された成果物を用いて顧客ニーズを明確に示してください。
アジャイルな環境で働くビジネスアナリストの重要な要素の1つは変革をドライブするすフィードバックを与える能力です。それは、絶えずビジネス・ステークホルダーと要求をレビューし、ビジネス・ニーズのどんな変化も、製品の将来リリースに正確に反映されることを確実にすることがアナリストの責任です。
1.5 アジャイルチームにおいて、何がBAを成功させるのか?
アジャイルなアプローチの特性は、まさに能力、技術、有効性をハイ・レベルで活動することをチーム・メンバー全員に要求していることです。これは、ビジネスアナリストにとって特に当てはまります。成功したアジャイルなチームで、ビジネスアナリストは開発チームの不可欠なコンポーネントです。計画、分析、テストのファシリテータやデモンストレーションまではしないにしても、アクティブな参加者です。
ビジネスアナリストは、製品ロードマップが製品のビジネスニーズへの戦略的アライメントを明確に定義することを確実にする中心的な役割を果たします。アナリストはプロジェクトの完成の戦略的基準を定義する際に共同責任を保持します。そのためコミュニケーション、ファシリテーション、交渉に非常に高いスキル熟達度が要求されます。そしてすべてのステークホルダーからのフィードバックを聞いて理解し、かつプロジェクト要求および優先事項に必要な変革をドライブするためにこのフィードバックを与える能力が必要です。
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いかがでしょうか。
最近では、アジャイル開発においても、ビジネスアナリシスの知識やスキルが不可欠になっていることがお分かりになると思います。
次号は、第2章「アジャイルアプローチにおけるビジネスアナリシス」の解説です。スクラム、XP、カンバン、その他があります。
少しお待ちください。