CBAP®合格体験記 

CBAP合格体験記

KBマネジメント 清水千博

 2011年8月7日にCBAP資格に合格しましたので、合格体験を寄稿します。

これからCCBAを受験されようとしている方も多いと思います。少しでも、参考にしていただければ幸いです。
受験申請が1週間で承認されたことは、6月のメルマガで報告させていただいた通りです。その経緯は【CCBA申請の7つの極意】として、WebページにUpしていますのでそちらをご覧ください。

受験申請が一回、しかも1週間という短期間で承認され、また本番の試験も初回で合格できたのは極めて幸運だったと言えます。1年以上前に、初めて申請に望まれた方の努力は並大抵のものではありませんでした。合格体験記を書くにあたり、日本初のCBAPに合格された伊藤 衡 様、その後に続いた庄司様には心から敬意を表します。

受験申請承認後、合格(2011年8月7日)までの活動についてのレポートです。

  1. 手続き/準備/ロジスティクス関係
  2. 試験勉強
  3. CBAP試験(CBT)そのもの
  4. リコメンデ-ション

1.手続き/準備/ロジスティクス関係
【事前】
Castle Worldwideから会場(テンプル大学)、受験日、時間、CBTパスワード、その他注意事項が書かれたメールが届きます。当日はそれを持参します。
あとは体調を整えることが最重要です(当り前)。

[当日]
指定された時刻までに、会場に行くだけです。
食べ物、飲み物は持ち込めないように書いてありますが、日本の猛暑のためか、水だけは大丈夫です。耳栓は会場でも借りられますが、慣れたものを持っていくことをお勧めします。
9時45分開始で、それから3時間半ですから、終了は13時半頃になります。当然空腹になりますから、その対策も考えます。具体的には開始前にチョコレートを食べておきました。糖分補給は脳を活性化してくれるようです。おかげで空腹感を感じないまま終了することができました。かつ集中も3時間以上、持続できました。

[試験会場]
テンプル大学の通常の教室で行われます。1人に1台ずつPCが準備されています。席も余裕がありますが、空いている日程を選ぶのが良いと思います。広い教室に清水ともう一人、2人のみでした。
荷物はあいている机に置けばよいということで、かばんも見えるところに置けました。テンプル大学はいわゆるキャンパスがあるわけではなく、都会のオフィスビルのようなものです。外部の音(大通りの車の音など)もかなり聞こえます。耳栓はあった方が良いでしょう。夏休みにもかかわらず、外部には街宣車のスピーカー音が響いていました。
意外に気になったのは、隣の受験者(といっても、大きな机2つは慣れていました)のマウスの音です。マウスパッドがなく、直接机の上でのマウスの操作なので、クリックではありませんが机をこする音などが気になるものです。耳栓のおかげで気にならなくなりました。言い方を変えると、そのくらい静かな環境で試験を受けられたということにもなります。

2.試験勉強
皆様、関心があると思いますが、あまり時間が取れなかったのが現実です。6月14日に出願が承認され、2ヶ月弱しかありませんでした。7月は大切な研修と弊社顧客のCCBA出願サポートで多忙でした。さらに8月第1週は大阪出張までありました。
その中で、試験勉強らしきものは次の2点です。

a)   対策本(S社:英語)を購入し、熟読と問題への回答。
5月に新しい英語の対策本が出版されました。問題集がCDで提供されているのが魅力でした。他の試験対策本(もちろん英語)はまだV1.6対応の物が多く、まったく役に立ちません。その中で、この書籍はV2対応、かつCCBAにも対応しているので購入しました。内容的には、かなり細部にこだわる問題が多かったような気がします。また難易度はそれほど高くありません。CBAPのレベルとして、少し心配なところでした。

b)  試験問題(eラーニング有料)の購入。
もうひとつは、B社の模擬試験(eラーニング)の15日間ライセンスを購入($30)しました。こちらは、後藤氏の体験記を参考に購入したものです。長文の英語の問題が多く、問題の中身より、英語の読解力の訓練には大いに役立ちました。最近、英語での仕事がほとんどなく、読解力の衰えは否めません。それを補ってくれたのはありがたいことでした。ただ、重箱のスミの問題も多く、また難易度レベルもかなり高いようでした。このeラーニングのガイドでは、最低10回トライし、正答率90%に達しないと合格にはおぼつかないと脅かされました。実際には、時間の関係もあり80%程度まででした。
a,b,2種類の模擬試験問題のレベルの差に戸惑いを感じました。逆にいえば、どちらがより本番に近い模擬問題なのかも、興味のあるものでした。
2つの対策問題をみると、やはり全てのタスクの入力やテクニックを全て覚えておかなければいけないという感覚に陥りなりました。そこで、自社のテキストをプリントし丸暗記を試みたのですが、寄る歳にはかなわず、記憶を定着することはみごとに失敗に終わりました(笑)。一時は、もっと若ければと成功するのに、と思ったほどでした。
もちろん、上記a,bの対策以外にBABOKガイドを良く読みこなしたものです。幸い、2ヶ月の間に、BABOKガイドの内容に関する研修を、計4回も実施できたのは幸いでした。そのたびにBABOKガイドをレビューできました。この辺はEEPの特権ですね。
また、直前に出版したBABOKの解説書のためには、BABOKガイドをV2のみならず、V1.6さらにV2ドラフト版まで、内容をチェックしたのも間接的には良い影響があったかもしれません。

3.CBAP試験(CBT)そのもの
CCBA資格の受験申請された方はご存じだと思いますが、試験問題はIIBAの著作物です。外部に漏らすことは禁じられています。レポートしたり、口外することすらできません。ですから、まず、ここで試験問題そのものに関しては何も報告できないことをご承知ください(したくても記憶が定着していませんので、無理なのですが)。
ただ、感想程度は問題ありませんで、以下に記します。

結論としては、大変良い試験でした。本当に受験してよかったと思いました。
実は、このような資格試験を受けるのは初めてのことでした。PMPを受験したことはありませんし、情報処理技術者試験(ITパスポート試験を含めて)も一切受けたことはありません。中小企業診断士もありません。大学卒業後受けた外部試験と言えば、おそらくTOEICだけだったと思います。そんな人間が初めて受けた外部試験がCBAPでした。短期間(1ヶ月程度)で準備しましたが、前述のように対策本、問題集(15日間のeラーニング)共に、本質でない問題が多く、トリッキーな質問に頭を悩ませ、問題を解くテクニックのみに重点を置く指導方法には辟易していました。また、対策本とeラーニングではその難易度の差が大きく、どちらが本番に近いものなのか不明なところでした。

本番の試験は全く別物でした。BABOKの内容を正確に理解していれば解ける問題が多く、トリッキーな問題はほとんどありませんでした。逆によく考えさせられる問題があり、「自分ならこうする」というものを持っていないと回答できないものもありました。出題者は何を考えて出題しているのだろうか、どんなビジネスアナリストを望んでいるのだろうかと想像しながらCBTに回答していたようです。それはまるで、出題者と回答者との間の無言のコミュニケーションという感じです。
最後に「私はあなたの期待するビジネスアナリストでしょうか」と問いながらSubmitボタンを押しました。結果は「Congratulations」でした。
どうやら「期待通りのビジネスアナリスト」だったようです。

終わってみて、これは大変良い試験だったと実感しています。
直前までは、3時間半我慢して対策本や問題集にあるような、トリッキーで重箱のスミのような知識を問われることを覚悟していたのですが、実際は大きく異なり、素直で本質の理解が必要な問題ばかりでした。おまけに、出題者との無言のコミュニケーションまでできたことは極めて大きな収穫です。今後EEPとして認定コースを提供していくのに当たり、自分のビジネスアナリシスが正しいことが証明できたことを意味することになります。これが最大のメリットでした。

2つの試験対策(書籍とeラーニング)を試みましたが、結果は2つとも期待外れでした。これらの問題をこなしていたから合格できたということとは、程遠いものでした。しかし、いくつか役に立ったこともあります。まず、苦手な分野(弱み)があれば、それはわかります。弱みが明確になれば補強すれば済みます。全てパーフェクトの人間はいませんから、弱みを補強し、強みを伸ばす方策を立てることには役に立ちます。CBAPの場合英語なので、英語の読解力を向上することには大いに貢献してくれました。特にeラーニングの場合、長文の問題が多く、短時間で読みこなす訓練としては適していました。そして、4択の試験方法に慣れるということは役に立ったと思います。しかしながら、問題そのものはあまり役に立たなかったのは残念です。どうしてこのように重箱のスミの問題を作成するのでしょうか。出題者はCBAPではないのでしょうか。少し理解に苦しんでいます。過度の期待をしないことです。上記程度には役に立ちます。その程度と割り切って、対策本、問題集(eラーニングその他)を活用してください。

4.リコメンデ-ション
最後にリコメンデ-ションです。

やはり、ガイドをしっかり読むことが一番です。インプットとアウトプットとの関係も把握しておきましょう。要素は全て理解しておいてください。使うテクニックは覚えるというより、なぜそのテクニックがそのタスクを遂行する上で役に立つのかを自分なりに考えることです。ここが対策本や問題集との決定的な違いです。多くのテクニックを丸暗記しても意味ありません。そのためにはやはり多くの業務経験がものを言います。試験勉強だけすれば合格できる資格ではないことを知りましょう。

清水の経験のなかで、CBAP試験に最も役に立ったのは、EEPのインストラクターとして人に教えていたことです。教えるためにはそれなりの準備が必要です。必然的にBABOKガイドを何度も読みこなす必要がありました。読者の立場とは異なるかもしれませんが、教えることは大変有効です。

EEPの場合は仕事として教えますが、多くの読者の場合はそうではないと思います。しかし、会社の同僚や後輩でビジネスアナリシスに興味を持たれている人は多いのではないでしょうか。そういう人たちに教えるチャンスはいくらでもあるのではないでしょうか。社内勉強会などは大変効果があると思います。

IIBA日本支部の研究部会も有効です。BABOKワーキンググループはBABOKそのものを勉強しています。入会し、切磋琢磨することもよいと思います。ちなみにこのワーキンググループのリーダー林光一郎氏は日本で4人目のCBAP資格取得者です。

最後にモノを言うのは、「本気度」です。本気にならなければ合格できません。人それぞれ立場が異なりますが、皆様はどれだけCBAP/CCBA受験に本気になっていらっしゃいますか。会社が認定教育(21時間分)の受講料を払ってくれ、CBAP受験料も払ってくれて、半ば業務の一環として受験される方もいらっしゃいます。一方すべて個人負担で21時間の受講料や受験料を払っていらっしゃる方もいます。いずれにしても本気になっている方なら、合格するでしょう。
IIBA日本支部のCBAP合格体験記に寄稿されている方々は、全て本気の人です。特に初期にCBAP資格を取得された方々はそれなりの苦労があります。ぜひお読みになることを勧めます。
IIBA日本支部のWebサイトから閲覧することができます。

URL: URL: http://www.iiba-japan.org/cert.php#CERT_list