第3章 アジャイルテクニックのBABOK®ガイドへのマッピング: エンタープライズアナリシス

3.4 エンタープライズアナリシス

エンタープライズアナリシス(BABOKガイドの第5章)は、ビジネスアナリストがどのようにビジネスニーズを識別し、その定義を洗練、明確にし、そしてビジネスによって現実的にインプリメントできるソリューションスコープをどのように定義するのか説明します。この知識エリアは問題定義と分析、ビジネスケースの開発、フィージビリティ調査そしてソリューションスコープの定義について記述します。エンタープライズアナリシスは、ビジネスニーズ、解決するべき問題や機会を識別し、ニーズに取り組む適切なアプローチを決めることに関係しています。

 3.4.1 ビジネスニーズを定義する(5.1)

BABOKガイドに述べられている「ビジネスニーズを定義する」タスクはアジャイルなアプローチにも拡張されます。

 .1 アジャイルテクニック

・ビジネスケイパビリティ分析:
ビジネスニーズに対応するのは、通常新しい能力の開発あるいは既存の能力の増強です。

・協働ゲーム:
いくつかの協働ゲームは満たされないビジネス・ニーズを見つけ出すことに役立ちます。

3.4.2 能力ギャップをアセスメントする

BABOKガイドに述べられている「能力ギャップをアセスメントする」タスクはアジャイルなアプローチにも拡張されます。

 .1 アジャイルテクニック

・ビジネスケイパビリティ分析:
これは既存の能力に何が欠落しているのか理解するために使用することができます。

3.4.3 ソリューションアプローチを決定する

アジャイルは一つのソリューションアプローチです。それは従来のアプローチより速く価値のあるデリバリーを提供するため、あるいは、問題領域を調査する必要があるために選択されます。そして、ソリューションアプローチがプロジェクトの間に発展することができるように、インクリメンタルなデリバリーを支援します。アジャイルなアプローチは、調査されている問題または機会の最良のソリューション案を決定する際に柔軟に対応できます。ソリューションはカスタム開発として進化的にプロトタイピングから始まりますが、その後、カスタマイズされた既製ソリューションに移行するかもしれませんし、それとも、例えば別製品の一部分になるかもしれません。そのため、アジャイルなプロジェクトにおいては、ソリューションアプローチは、時々開発の間に変わる場合があります。

 .1 アジャイルテクニック

目的整合モデル:
目的整合モデルは、与えられたビジネスニーズへの最良のアプローチに関するガイダンスを提供することができます。

3.4.4 ソリューションスコープを定義する(5.4)

チームが、問題解決またはソリューションへの顧客嗜好に関して学習するにつれ、アジャイルなプロジェクトのスコープはプロジェクトの間に変化します。スコープはより高いレベルの抽象的概念(テーマとエピックのような)の中で定義されており、プロジェクトが進むとともに詳述されます。これらの上位の抽象的概念は、ソリューションスコープを決める計画する上で、またチームが、プロダクトのアーキテクチャーとリリース用の最初のビジョンを考え出すことを可能にする上で重要です。これは多くの場合反復プロセスです。すなわち、最初のアーキテクチャー評価において技術的実現可能性に基づきリリース計画およびプロジェクト期限に影響を及ぼすので、スコープが洗練されるかもしれません。同様に、アーキテクチャー計画は修正されるかもしれないし、あるいはリリースでデリバリーされる計画された上位要求に基づいたインフラストラクチャーを建て増すことへの段階的なアプローチを含んでいるかもしれません。

 .1 アジャイルテクニック

・ビジネスケイパビリティ分析:
プロジェクトのスコープは、それが作成しているか増強しているビジネスケイパビリティ能力と関係があるに違いありません。

・ストーリー分割:
エピックとフィーチャーはスコープを定義する根拠として役立つことができます。

・ストーリーマッピング:
ストーリーマップはプロジェクトによってデリバリーされた様々なストーリーの関係を見るために使用することができます。

 3.4.5 ビジネスケースを定義する

アジャイルなプロジェクト用のビジネスケースは、指定されたコストおよび時間内の特定のビジネス結果の達成に基づきます。ビジネスケースは頻繁に再訪され、チームは、何を伝えることができ、またどれくらいよく実際の(知覚されなかった)ニーズを満たし、指定されたコストおよび時間内にビジネス結果および意図した価値を達成することができるかを知ることができます。

.1 アジャイルテクニック

ビジネスケイパビリティ分析:
ビジネスケースに関連した顧客と組織的な価値は定義します。

・狩野アナリシス:
どのプロダクトフィーチャーが市場への最も大きな影響力を持つか識別します。

・目的整列モデル:
組織において、どんな種類の投資が最大値を生成するか識別します。

・リアルオプション:
価値が確実に得るために、いつ投資ニーズを実行するべきかの評価ができます。