どこでもビジネスアナリシス 10

10 ビジネスアナリシスに境界はあるのか

10.1 ビジネスアナリシスの目的から考える

先に、ビジネスアナリシスとは何かについて述べたことがあります。 再度参照しますと「・・・・・言葉の定義は明確ではないかもしれませんが、その目的はほぼ明確です。 ビジネスにおける問題の解決と、その方法の最適化、言い換えれば最も効率的かつ効果的な問題解決方法の道具箱だと理解してください。 道具箱の中には道具だけではなく、材料や使い方の説明書や利用の手順書も入っています。 問題解決の手法やプロセスの議論にとどまらず、その実行と結果までをすべて対象と考えてください。 どんな高度な手法を使っても、結果が伴わなければ価値はありません。 すなわち、どんな高度な道具を使っても使いこなさなければ良い作品は生まれません。 机上の議論だけでは何も生まれてきません。 実行することが必要です。・・・・・」 と書きました。

このような意思表示でこのコラムを書き始めたことを考えますと、ビジネス上の目的が達成されるまでどこまでも追及することがビジネスアナリシスの精神であると理解して、その境界はないのだと考えてはどうでしょう。結論が出ないまま、ここまでが境界ですと言って境界線で放り出されては困ります。

 10.2 問題は解決されなければ終わらない

上記からも明らかなように、ビジネスにおける問題は解決されなければその行動は終わりません。 目標通りの形で終わらない場合も多々ありますが、どのような形に終わるかは別として、問題には結論を出さなければなりません。 もしビジネスが失敗に終わらざるを得ないならば、どのように整理することが良いかの回答を出すことがビジネスアナリシスの任務であり責任だと言えます。 ビジネスアナリシスは良い結果を求めるための手法ですが、期待通りの結果にならない時には次善の策、あるいは最後の終わり方とその最善策を見出すことも同じように目的になります。 ビジネスアナリシスは実行プロセスや適用手法の最適選択が目的であって、その実行による結果の内容自体に責任を持つものではないことを理解しておかなければなりません。 そのような視点から言えば、最適な終了方法や、最適な退散方法の構築と実行も重要な目的になります。

 10.3 将来の予測、予防、回避策までを考える

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問題を解決した後に後戻りをしないために、その先の状態までを予測して、問題の再発防止の手段あるいは問題発生の回避策までを考えておくことが必要になります。 問題が解決された後の組織や運営の体制や運営ルールの再構築、あるいは人材の入れ替えや、習慣の打破、さらに積極的に勝っていくための方策までが実行可能ならば、さらに発展の軌道に乗せることが可能です。 一般には問題解決自体にエネルギーを消費しますので、その先のことまでを考える余裕がないのが実態かもしれませんが、そこまでの戦略を構築できるかどうかはその後の状況を大きく変える可能性を持っています。

 

 10.4 聖域はあるのか

ビジネスアナリシスの実行の中で、聖域はあるのかという議論があります。 その中で特に問題になるのがトップマネジメントの方針は絶対であるかという課題です。 これは、最後はその組織の意思決定構造、特にトップマネジメントの意思によって決まると言えますが、基本的にはトップマネジメントの意思決定や指示が問題解決の障害になっている、あるいは間違っていることが判明した場合には、トップの意志であっても修正しなければならないと考えるべきです。 そのためにはトップと担当者が十分な議論をして納得していく企業文化が必要です。 類似の問題で、創業以来の習慣や伝統を守るための抵抗などは同様に判断されるべきです。