どこでもビジネスアナリシス (22)

22 問題解決と時間余裕

22.1 解決に利用できる時間と時間利用の選択

問題解決に直面する場面は千差万別です。 即刻結論を出さなければならないという緊急事態から、少々長期的な視点で今後のことを考えようという場面まであります。 その間にいろんなレベルの時間的余裕の段階がありますが、緊急性の相違により思考の手順や実行の経路が異なります。 時間に余裕がある場合と同じことを短時間にやることはある程度可能ですが、思考プロセスの検証や実行の確認などはどうしても時間の制約を受けます。さらに、緊急性の高い場合には同時並行的に実行したり、取り敢えずやってみるという試行を取り込むこともあります。また、最終目的までを一度に目指さないで、緊急処置をしておいて後刻最終目標までの対応をすることも起こります。逆に時間的余裕がある時にその時間をどのように使うかも大切な問題です。時間があるために計画が散漫になる弊害もよく起こります。ぎりぎりの状態で考えて実行するほうが充実した思考ができるかもしれません。時間的余裕がある時には、時間に区切りを設けて、それぞれの期間内の目標を明確にして段階的に達成していくことが良い結果を生むことにもなります。個々の期間内の目標の達成を第三者が評価して不合格ならばやり直すことも危機感を維持する上でも有効でしょう。

22.2 対応時間と解決の信頼性は比例する

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対応時間の余裕の有無は結果の信頼性に影響を与えます。特に短時間での実行ではその傾向は顕著です。ある程度以上の余裕時間があれば対応時間が長ければよいということではなく上述したように時間の有効な利用が結果を左右します。人間は、急がなければならないと感じた時には、思考のサイクルを早くする努力をしますが、冷静さを失って思考の基本的条件を見落としたり、誤った判断をしたりする確率が高くなることは否定できません。このような場面で、冷静に考えて実行できるためには、思考プロセスをいつも整理しておくことや、応用問題が出てきた時に多面的に検討できる技術を整理しておくことが役立ちます。このアプローチがビジネスアナリシス概念の基礎であると言えます。思いがけない問題に直面した時にどのように解決の論理を構成するかを短時間で整理することができます。 短時間での対応性の能力を高めることもできるのです。

22.3 取りあえずの解決

ビジネスは常に流れていて変化しますから、即刻何らかの対応に迫られる場合が頻繁に起こります。対応が必要な場合には3つの場面があり、その一つは今がチャンスであるからさらに積極的に攻めようという場面、二つ目はどうもパッとしない、このままではダメだから何とかしようという場面、三つ目は既に悪化が進んでいて緊急対応が必要な場面です。まず現状からの変化が必要なことは同じなのですが、やはりピンチからの脱出が最も重要な場面でしょう。このような場面では、まず現状の悪化の流れ、あるいは危険な状態を止めること、そして問題解決により修復するという二段階で対応する事が一般的です。そのためには、問題が発生した原因を突き止めることが重要であって、それが発見できれば取りあえずの解決策の目途はつくはずです。

22.4 恒久的対策

取りあえずの対策により悪化を食い止めたならば、再発の防止策、恒久的な安定対策、さらには積極的な攻略策へと移っていくはずです。再発の防止策においては当該ビジネスをその後どのような目標に持っていくのかの判断が大切であり、組織の将来を決めるかもしれません。ここで大切なのは、ビジネスの将来性の判断であり、攻めるばかりが解決ではなく、撤退することも選択肢です。その市場は近い将来になくなるかもしれません