34 真実はどこにあるのか
34.1 本当の真実はどこにあるのか-範囲を絞る
現状確認においても、ニーズや要求の確認においても正しい情報がどこにあるのかを判断することは大切です。真の現実、ニーズや要求ではないところから克明な情報を取得しても誤った判断の原因となります。良くある間違いは、世の中の常識と思われる情報源や著名な組織や人物、幹部の意見ばかりに注目し、当該問題に関わる真の情報源を見落とすことです。常識的な情報源の多くは一般情報として正しいのですが、起こっている問題に関してその特殊性を包含した情報であるかの判断が必要です。 また、表面の情報源の他に、その背後にある真の情報源を知ることも大切です。情報が取得されるまでにいくつかの媒体を介して真実が曲げられていることが多いからです。また、情報発信者の思想や思考方法により同じ情報が逆の表現になっていることもありますので、そのような危険性がある場合には、当事者の第三者組織からの情報を得ることも大切です。
34.2 誰が真の情報を知っているのか
公開される情報ではその発表者の立場により微妙に意味が異なることがあります。また、真の情報を完全に理解していない報道もあり、場合によっては想定による説明すらあります。報道窓口による発表は意図的に内容を概念化や抽象的して厳密性を避けることも珍しくはありません。真の情報を知っている人は一般には表面に出ることは少なく、公式の情報では特にその傾向が強いと言えます。詳細な確認が必要なシステム構築での要求仕様の決定においては、現場の当事者に近い人たちとの直接の会話が不可欠です。事象が発生した場合の検証においても、その経緯と状況を最も良く知っているのは現場の当事者ですから当人を交えて現場検証をします。複雑な現象が絡んでいる場合には、現場の人間においても確定的な判断ができないこともあり、ある程度の想定が加えられることがありますので、何が真実で、何が想定であるかを正しく判別しなければなりません。
34.3 客観情報と主観情報
情報には客観性の強い情報と主観性の強い譲渡があります。定期的に公開される統計情報や経済指標、あるいは日々の変動数値、市場動向や統計、あるいは企業の事業業績や社内の管理数値などのように継続的に処理されている情報は客観性が強いと考えられる情報であり、その変化や統計分析はビジネスアナリシスの基礎情報として常に活用されるものです。 一方では主観性の強い情報があり、公的情報にも予測情報を始めとして、方針や計画値、種々な機関が発表する予測値などがあります。さらに、過去の情報に関しても、客観値のない情報に対する原因などの想定情報などがあります。想定値や予測値は実績や経験に基づく確率の高い情報もありますが、論理的に導き出した情報もありその信頼性は千差万別です。複数の当事者からのアンケートやヒヤリングなどに基づく集計情報がありますが、周囲環境の傾向に左右されることも多くその活用には慎重な判断が必要です。
これらの他に、要求や期待に関する情報には、基本方針や計画などに基づく情報が多く、それらは主観的ではありますが、一つの基礎概念に基づいて意思統一されていれば客観情報と判断することも可能です。
34.4 知識と経験から探る
真実を捉えるには知識と経験が役立ちます。真の情報はどこにあるのかとか、その情報の信頼性は低いと言うような判断です。論理的に不自然な情報や相反する情報が集まる場合があり、その情報の背景を分析することによりその信頼性を判断できますが、そのためには知識と経験が役立ちます。