どこでもビジネスアナリシス (39)

39 できることとできないことの判断

39.1 理想と現実を判断する

ビジネスにおける多様な行動は基本的には組織を主体として実行されますが、その組織において実行可能かどうかという判断は本質的な課題です。このような「できることとできないこと」の判断は、その時点における組織の状態によって決まると言えます。 組織の状態とは何かを考えますと、まず実行を指導する人材をはじめとする多くの資源、それらの資源によって行動を実現する実行能力、そして実現するための行動時間の確保などがあります。さらに、必要なタイミングで実現することは重要であって、適切な時間からずれた行動は完了時点での価値が半減し、価値そのものがなくなることすらあります。実行することの理想と組織の現実を分析評価して、できることとできないことを冷静に判断することはビジネスアナリシスにとっての基本です。

39.2 資源的能力

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何事を実行するにもその行動を起こすための資源が必要です。その中で最も重要なのは人です。実行する意識を持った人、それを支援する多くの人、できあがったものを運営するのも総て人です。人を人材と呼びますが、いろいろな行動ができる人々があり、得意分野を持った人はそれぞれの特定の分野で能力を発揮します。基礎となる概念や実行計画も重要な資源です。実行対象によっては設備機器やシステム設備、システム技術そのものが資源として要求されることがあります。資金的能力は常に重要です。特に設備やシステム構築が中心になる場合にはそれに費やせる資金の投入能力により結果が左右されることもあります。すべてのリソースは最後は資金に換算されますので、資金をいかに節約して効果的に活用するかは大きな課題です。計画が実行できるか否かは、その実行規模も含めて資金能力よって左右されることが多く、場合によっては実行規模を縮小したり、機能や性能を落としたりせざるを得ないことがあります。

39.3 実行の能力

できるかできないかの判断で決定的なのは実行の能力です。実行の能力とは何かといえば、まず実行をリードする人の意識と実行力です。実行力には、実行概念の構築、目標の設定、問題の指摘、現状の認識と分析、実行手法とプロセスの構築、そして実行そのものを含みます。もちろん、リーダーだけで実行できるわけはありませんから実務に携わる組織全員の参画が必要です。参加者全員の意識を高め、やらなければならないことを学び、そして皆で行動する協力が必要です。リーダーはそれらをいかに推進するかを計画し、実行できなければなりません。実行の能力は。優れたリーダーと、一緒に行動する組織全体との意識と行動のチームワークによる総合的な能力です。

39.4 時間的判断

ビジネスにおける行動は時間に関する判断が大変重要です。「できるかできないか」という視点から見ると時間に関して二つの視点があります。まずは、実行する時間が確保できるかどうかということであり、その第二は実行のタイミングです。 実行時間の確保に関しては、実行に必要とする資源の利用可能性からの制約や多忙であるという理由からの時間制限です。 さらに後者の実行タイミングに関しては期限のある場合には求められた時点までに完了できるかという判断が必要であり、もし短時間での実行が必要な場合には、コストへの影響もありますが、資源の集中投入の可否や、そのマネジメント能力とも関係します。タイミングを外した成果はその価値を著しく低下させることを認識しなければなりません。