どこでもビジネスアナリシス (55)

55 ビジネスアナリシス実行の構成要素を理解する

55.1 ビジネス行動とビジネスアナリシスの行動

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ビジネスアナリシアナリシスとビジネスそのものの行動形態は殆ど同じです。ビジネスアナリシスはビジネス行動のひとつの活動対象であることを理解すれば当然です。ビジネスアナリシスの形態を理解するにはビジネスそのものの形態、即ちビジネスの実行要素とそのプロセスを考えればよいのです。特に、新しい事業や新しいサービスを開始するときの計画段階からの行動を想定してください。まず、基本計画を議論し概念ベースの設計をします。その中には組織内外の状況や市場環境、競合相手の状況、自分たちの対応能力、製品やサービスの販売ルート、あるいはアフターサービスの形態などを総合的に含みます。次の段階では、基本計画に沿って、具体的な実行計画を策定します。具体的にどのような技術を用いて何をどうやって設計するか、どこから何を仕入れるか、どこでどうやって作るか、対応する人材はどうどうするか、資金の調達はどうするか、製品原価はどうなっていくらで販売するか、事業利益はどうなるか、などの具体的な事業計画を策定します。次のフェーズでは具体的な事業の展開になります。作成された計画に基づいて実行に移ります。運営のためのシステムや設備の導入、人材の育成、製品の試作から試験的販売など段階を追って事業を定着させます。状況を監視し問題点があれば早期にフィードバックをかけます。総てが確認できた時点で本格的な事業展開に移ります。さらに事業の定着と拡大の時期に移行します。このように、概念構築のフェーズ、実行計画のフェーズ、実務展開のフェーズ、定着と拡大のフェーズ、などに分類することができます。 これらはビジネスアナリシスの行動でも同じです。

55.2 目的を持った業務

各フェーズでは何をしなければならないかが次の課題構成になります。例えば概念構築のフェーズでは、事業概念を決めるための多岐にわたる一連の目的を持った業務、例えば、事業環境の状況把握と評価、自分たちの組織能力の認識、必要な人材や資源とその可能性の検討、将来の事業収益の予測と評価、関連先との連携、これらを統合した事業のフィ―ジビリティースタディー、などさまざまな業務があります。これらの業務群の中でも、調査や評価、その結果の判断などは着手時の重要課題であり、当該事業の可能性の判断の鍵になる主要な業務として、詳細な検討が求められます。ここで大切なのは、問題解決の達成に各フェーズで必要な、目的を持った業務群を見落としなく拾い上げることです。ただ、一般化されたモデルを利用するならば典型的な必要業務のモデルは明示されていますので、そこからの選択の判断で実行可能です。

55.3 具体的な行動、方法、技術

各フェーズの業務群を実行するには具体的な方法や技術が必要です。例えば調査をするにもその方法は多数あり、調査の目的、相手、相手との関係などによってさまざまです。会話、記述、議論、質問票、などは典型的ですが、本当の意見を得るための環境づくりや回答の整理を容易にする質問群の作成などは重要な技術です。さらに、一般情報から答えを探索することやビッグデータによる分析など、調査だけでも多岐に及ぶ手法や技術があります。調査結果の分析や評価は、種々な統計処理の理論を始め、その結果の表示方法も含めて多様な方法があります。総ての業務に対してこのように多くの手法があり、効果的に処理するためには方法の選択が鍵になります。手法や技術はその利用環境と使い方によりその成果が異なることは何度も述べた通りです。

ここで述べていることはビジネスの現場でも、ビジネスアナリシスの行動でも全く同じ行動要素から構成されていることの理解です。ビジネスアナリシスで利用される行動要素は日常のビジネスで利用している行動要素と同じなのです。