どこでもビジネスアナリシス (56)

56 実行の意思確認

56.1 何をどうしたいか

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実行の意思表示の第一は、まず何をどうしたいのかという明確な意識、すなわち目標、を持つことです。まずは何をしたいのかを、周囲の環境や状況を考慮から外して考えてみることが良いと思います。 制約条件を考えすぎると、期待が委縮してしまい本当の期待が表現できなくなる恐れがあります。まず、可能性や困難性、障壁などを考えないですべての期待を抽出することから始めると良いでしょう。それは、一つの大きな目標であるかもしれませんし、それを構成するいくつかの機能の集合かもしれません。個々の構成機能の目標があればさらに効果的です。逆に、細かい目標がたくさんある場合には、小数の目標に集約できるようにグループ分けすることが必要です。性格の異なる目標は、一緒にせず別な目標として解決することが問題解決を簡素にします。目標を定めるには現在はどうであるかの理解と認識が重要であり、後刻の結果の評価の基準にもなります。 

56.2 どこまでやりたいか

目標にはその達成度の深さがあります。例えば、市場でのシェア争いにおいて、上位数社に食い込めばよいのか、トップと競争するのか、あるいは大差をもってトップシェアを確保ししたいのかという目標の設定です。出発点である現在の状況にもよりますが、どの状態を目標とするかによって、実行アプローチの戦略も、方法も、投入する資源や実行プロセスも異なります。また、成功確率も変わります。目標の達成度を絶対値で評価するか、相対値で評価するかによっても攻め方は変わります。目標は可能な限り評価指標とその測定方法を明確にして、定量的に表すことが理想ですが、定量化が困難な時には定性的評価であってもかまいませんが、関連する何らかの数値化できる現象を捉えることができれば成果の評価が可視化できます。経営視点から見れば、トップシェアをとることは本来の目的ではなく、適正な事業利益を定常的に確保できるかどうかの問題かもしれません。シェア以外に別の目標があるか、同時に実行するべきコストダウンの目標などがあるかもしれません。

56.3 いつまでにやりたいか

目標を追究するにはいつまでに達成したいかという時間目標があるはずです。時間目標の設定は重要であって、結果の効果にも大きな影響を及ぼします。先行者利益ということが言われますが、わずかの差であっても他者に先行することで大きな利益を得ることができます。新製品や新サービスの投入はその良い例です。わずかな遅れによって二番手になって先行者利益獲得の機会を失ったと言う例は良くあります。

短期間に完成させることは望ましいのですが、対象によっては短期間で完成させることのコストは倍加することがあります。集中的にリソースを投入する必要があります。高効率なアプローチをとらなければならないかもしれません。実行能力の高い人材をそろえなければならないかもしれません。場合によっては品質の低下をまねくかもしれませんので、それを避けるためには高度な検査機能を必要とします。必要時間とコストとの比較評価により目標とする時間を決めなければなりません。

56.4 どこまでのコストをかけられるか

変革プロジェクトを実行するには種々なリソースを必要とします。最も大切なのは実行する人や実行能力ですが、その他にもシステムの開発や設備投資が必要になります。これらはすべてコストとしてプロジェクトの負担となります。目標達成のパターンによっては他組織との競争になり、コストがどんどん膨らむことがあります。どこまでコストをかけられるかを当初から設定して消耗戦を回避する策や限界投資目標を設定することが大切です。