どこでもビジネスアナリシス (67)

67 本音をどうやって捉えるか

67.1 先入観を捨てて謙虚に意見を聴く

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ビジネスのいろいろな場面では、他人の意見や本音を正しく捉えることが大変重要です。特に、顧客の意見を聴いて正しく製品やサービスに反映することはビジネスの基本でもあります。公的機関のサービスにおける利用者の真のニーズや声を捉えることも同じです。 ここで難しいのは、表面的な意見を聴くことではなく、本当に何を期待されているのかを理解することです。誰もが自分の経験に基づく知識を背景とした概念や思想をもっていることは普通であり、他人の意見を聴く場合にもそれによる先入観を持って理解することは一般的です。本当に他人を理解するためには、一度頭の中の概念を白紙に戻して、そこへ新たな情報を取り入れていくことが必要です。相互の立場を排除して、同じレベルの人間として意見を聴くことが必要です。相手の立場になって理解することや相手の発言に対する心遣いが必要です。

67.2 解らないことは徹底的に聴く・・・誤解をなくす

自分の知識背景から理解しようとするとどうしても解らないことが多々あります。そのような場合には、質問を重ねて、相手が何を言おうとしているのかを解明することが必要です。相手の立場や背景を視点にして聴くと理解しやすくなります。自分の思想や意見と異なっていても客観的な相手の意見として捉えることが基本です。不明確な内容に対して、自分で想定して決めてしまうことは絶対に避けなければなりません。全く発想の異なる意見が含まれている可能性があります。自分は多くのことを知っているという意識は大きな間違いのもとになります。自分の経験や知識に照らして相容れない意見に対して、異なる意見を述べたり、議論をしたりするのはその後の段階の課題であって、まずは相手の本音の意見を掴みとることをしなければなりません。

67.3 本当に言いたいことを言っているだろうか

自分の言いたいことを適切に表現できないことは良くあることです。特に、説明することを日常の仕事としていない人は適切な表現が苦手な可能性があります。相手は、言いたいことを本当に言っているだろうかという観点から理解を試みることは効果的なことがあります。相手の表現の背景を読むことが必要です。そのような場合には、相手の言いたい内容を想定してこちらから誘導していくことも必要です。その結果、新しい表現に対して相手の合意が得られれば成功です。このような場合に、異なる方向や、自分に都合の良い方向に誘導しないようにする注意が必要です。経験を積むと、相手が本当はこのようなことを言いたいのだということが見えるようになります。

67.4 論理的に合わない疑問を確かめる

説明を聴いたり、書かれた要求を読んだりしていると、明快な表現で記載されているにもかかわらずその内容に論理的な矛盾が存在することが珍しくありません。一般に、意見や主張には、それが成り立つ背景条件があるはずです。意見は背景条件と指摘事項とが一体になって意味があることを理解することが必要です。背景条件が異なれば指摘内容の意味も異なります。何かの条件が抜け落ちているかもしれません。このように論理的に不整合な指摘や要求などの疑問は正しく確認しなければなりません。

もう一つ大切なことは大きな声に惑わされないことです。主張の強い人の意見が正しいとは限りません。謙虚に述べる人の意見に本当の真実があるかもしれません。権力を背景に発言する人がいるかもしれません。このような場面でも、論理的に矛盾がないかを判断することで意見の妥当性を知ることが大切です。