どこでもビジネスアナリシス (68)

68 本当の意見、意図を知る

68.1 対話をする・・・聴くことを主体に

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ビジネスの課題解決は現実を知ることから始まります。現実を知ることは簡単なようで大変難しく、本当の現実がわかれば課題の解決は半分終わったといっても過言でないかもしれません。課題の置かれている状況により現実が表面的に見えることもあり、個人や組織の中に隠れていて見えないことも多くあります。 厄介なことは、表面に見えることとその真実が全く異なることが珍しくないことです。そのような状況の中でまずするべき事は、課題の当事者や組織、その関係者から状況を聴くことです。すなわち対話をすることです。もちろんその前に可能な一般情報はできるだけ捉えておくことが大切です。事前の参考情報がある場合にはその内容の確認や、関連する情報、さらに突っ込んだ質問や原因や解決に結びつく情報の取得までをいくつかのレベルに分けて、その場の状況によりどこまで追求するべきかの判断が必要です。真実が見えてくるようならばどんどん進んで構いませんが、重要なことはその情報の信頼性の判断です。対話を進めると、相手の性格や、表現の特徴などがわかってきます。情報の客観性と何らかの意図を持った判断などもわかってきます。対話をしながらそのような状況判断をしながら自分の中で情報の整理をしてゆきます。意図的な質問も加えながら、まずは話者の表現をそのまま記録することが大切です。内容の評価や判断はその後の作業とします。 

68.2 質問事項への記述回答

良くおこなわれるのが、質問事項への回答の記載です。同時に多くの対象者に実行できる利点がありますが、質問の真意を正しく伝えて理解してもらうことの難しさがあります。また、回答者の表現内容の確認ができない欠点もあります。これらの課題を避けるために、質問の流れや個別内容をいかにわかりやすく記載するかの設計が鍵を握ります。回答の方法も、選択肢から選ぶ場合と、回答者に記載してもらう場合とがありますが調査から何を得たいかによりその内容は多様です。選択肢から選ぶ場合には集計上の便利さはありますが適切な選択肢がない場合など選択の曖昧さの欠点があります。記載の場合には記載内容には個人差が大きい一方、無記名の場合には本音の意見が集まる可能性が大きいと言えます。

68.3 議論をする・・・反論や合意を含む真意の誘導

一方的な聴取や調査ではなく、対象テーマに対する議論を通して真の意見を集約していくことも大切です。議論はできるだけ対等な立場での話が大切ですが、1対1ではなく異なる意見を持った複数の人達やグループによる議論も効果的です。場合によっては当初の意見と異なるところに着地することも多く、その間の議論の推移の理解は重要です。条件が異なれば議論が異なる方向に進むことも多く、意図的に条件の相違による意見の変化を調べることも可能です。議論の方法は多様ですから、真実の追究の他、解決策のシミュレーションを実行することも可能です。いろいろなアプローチをとることで、本当の意見や意図はどこにあるかを知るための多様な実験ができるのが議論です。思いもよらないことを考えていたことを発見することもあります。

68.4 対話からの推測の確認

自分の意見を適切に説明することが得意でない人は多いものです。話者の論理を整理していくと、こんなことを主張したいのだということがわかってくるものです。聞き手の知識不足のために話者を理解できないことも少なくありません。自分が理解していないことを認識することは重要なことです。いずれの場合にも、自分の理解を自分のことばにして再度相手に確認することが必要です。推測を推測のままにしておくことは危険が伴います。