79 コミュニケーションはビジネスアナリシスの基盤
79.1 ビジネスは人と人との連携
ビジネスには多様な人達との連携やその形態がありますが、必ず人や組織との相互関係の上に成り立っています。 人と人との関係は相互のコミュニケーションによりいろんな情報を受け渡しながら連携しています。組織内部の上下や横の連携、複数の組織間の連携、パートナーやサポーターとの連携、顧客との連携など自分と利益を共有する人たちとの関係の他に、競合相手とのいろいろな関係も多数存在します。その関係の形態は多様ですがすべての関係の原点にはコミュニケーションによる連携があります。正しい意思や情報がきちんと、そして迅速に伝わっているかどうかがビジネスの正しい意思決定の基盤です。
79.2 コミュニケーションはビジネスの基盤
ビジネスは人と人あるいは組織との相互関係の中で動いていますので、現在の状態の認識、次の行動、その実行策などは関係するすべての人たちの間で同じように理解されていることが必要です。 関連する一つの仕事をするときにそれに関与する人たちが同じ情報と理解のもとで同じ目的に沿って各自の責任行動を実行していかなければ効率よく仕事を進めることはできません。そのためには、関係する人たちが共有するコミュニケーションのための仕掛けが必要であり、それがビジネスの基盤になっていなければなりません。
79.3 情報伝達が経営の効率を決める
ビジネスで最も大切なコミュニケーションは、必要な情報を、正しく、必要とする人たち全員に、迅速に伝えることだと言えます。 情報にはいろいろな段階があり、見える情報の他に見えない情報があります。 ビジネスで通常行われる日常的な連絡や指示、報告などは情報伝達の仕掛け自体が定型化されていて、情報の発生源から情報利用者の末端まで、いろんな手法で伝達されますので情報の流通が良いのですが、一方では重要であるにも関わらず、見えない情報、あるいは見えにくい情報があります。これらの情報は見ようとする努力がないと真の姿が見えてこないのです。 ビジネスの中に潜んでいる気付かない不具合や現場の声などです。情報の伝達を日常業務としていない人達の中にビジネスに必要な重要な情報が多く潜んでいます。このような情報にはビジネスの仕掛けを変えなければならないような重要な課題を多く含んでいます。見えにくい日常のビジネス情報を掘り起し迅速に伝えることにより、そこに含まれる課題を早期に感知し早い時点で解決することによりリスクを避け経営効率を向上させることさえできます。このような情報を引きだす仕掛けを持つためには常にビジネス現場の変化を敏感に感知する情報伝達の仕掛けと、その原因を追究できるコミュニケーションが必要です。ここでは情報の変化や異常を読み取る人間の感性も重要な要素です。
79.4 迅速な合意の構築が鍵
ビジネスにおけるコミュニケーションは一方向の流れではなく、双方向の流れが大切です。指示や伝達では一方向的要素が強いのですが、ビジネスの多くの場面では、議論と合意が必要であり、それらはいずれも緊密なコミュニケーションに基づいて意見が集約されてゆきます。個人の意見の多くは発案者の経験や思想に基づき構成されることが多く、限られた背景に裏付けされている場合が多いのですが、それに対し、多様な経験に基づく多角的な視点からの意見は新たな発想や知見を生み出します。そのような多角的かつ豊富なコミュニケーションにより迅速な合意の構築に導くことができる場面が少なくありません。但し、コミュニケーションだけではなく、多様な意見を吸収して自分の意見を修正していく柔軟な対応意識とその能力が不可欠です。