ジネスアーキテクトとBABOK(1)
以前コラムで4回にわたり「ビジネスアーキテクトとビジネスアナリシス」を解説しました。
- ビジネスアーキテクトとビジネスアナリシス(1) http://kbmanagement.biz/?p=5966
- ビジネスアーキテクトとビジネスアナリシス(2) http://kbmanagement.biz/?p=5979
- ビジネスアーキテクトとビジネスアナリシス(3) http://kbmanagement.biz/?p=5989
- ビジネスアーキテクトとビジネスアナリシス(4) http://kbmanagement.biz/?p=6021
2回目から4回目まで、主にBIZBOK(ビジネスアーキテクチャ知識体系)ガイドの内容を解説しましたが、BABOKとの関連があまり深くありませんでしたので、今回はBABOKのタスクやテクニックとの関係についてさらに明確にしていきたいと思います。
経産省/IPAのビジネスアーキテクトの定義から見ていきます。
ビジネスアーキテクトの定義:
DXの取組み(新規事業開発/既存事業の高度化/社内業務の高度化・効率化)において、ビジネスや業務の変革を通じて実現したいこと(=目的)を設定したうえで、関係者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築をリードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した推進を通じて、目的を実現する人材
さらに次の3つのロールがあります。
ビジネスアーキテクト(新規事業の開発)
- データやデジタル技術を活用した新規製品・サービスの市場への提供
ビジネスアーキテクト(既存事業の高度化)
- データやデジタル技術の活用を通じた既存製品・サービスの価値向上(多様な提供方法、既存製品の新市場開拓等
ビジネスアーキテクト(社内業務の高度化・効率化)
- データやデジタル技術の活用を通じた社内業務の品質やコスト、スピードの向上
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ここで強調しているのは、なぜビジネスアーキテクトと称するのかです。次の2つのことです。
- 新たな目的を実現するためには、様々な手段(ビジネスモデル 脚注 1 やビジネスプロセス 脚注 2 、 IT 等)による仕組み、つまりは“アーキテクチャ”を設計する必要がある。
- 本類型の主たる設計対象がビジネスモデルやビジネスプロセスを想定することから、 主にビジネスに関するアーキテクチャを設計する人材
そのため人材類型の呼称として「ビジネスアーキテクト」と定義したようです。
ビジネスアナリシスやBABOKをご存じの方なら筆者を含めて、ビジネスアナリシス/BABOKによく似ていると感じますね。なので、2つを比べてみたいと思います。
ビジネスアナリシスの定義(BABOK V3):
- ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにチェンジ(DX)を引き起こすことを可能にする専門活動
ここでBABOKで重要なのは次の6つのコア・コンセプトです。
- チェンジ
- ニーズ
- ソリューション
- 価値
- ステークホルダー
- コンテキスト
各々の簡単な定義と関係を図示したものが次のモデルです。
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特に重要なのは、チェンジの定義です。
- チェンジ: ニーズに対応するトランスフォーメーションの行為。
ですからDXの知識体系と言えることになるわけです。
ビジネスアーキテクトの手段:
- 新たな目的を実現するためには、様々な手段(ビジネスモデル やビジネスプロセス、 IT 等)による仕組みを設計する
ビジネスアーキテクトの対象:
- 本類型の主たる設計対象がビジネスモデルやビジネスプロセスを想定すること
ビジネスアーキテクトとBABAOKとの比較
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BABOK V3のソリューションやコンテキストに含まれることが分かりますね。
そうなんです、経産省/IPAの「ビジネスアーキテクト」はBABOK V3のビジネスアナリシスに含まれることが予想できます。
では、どこまで本当なのか、もう少し詳細に見ていきましょう。
次回をお楽しみにしてください。