CBAP®/CCBA®申請の7つの極意
清水のCBAP®申請は2011年6月14日に承認されました。
申請から承認までジャスト1週間という早さでした。CBAP®受験申請では最短記録かもしれません。
本人も驚いていますが、なぜ、このように短時間で承認されたのかを解説します。
名付けて「CCBA申請の7つの極意」。
【極意1】ビジネスアナリシス業務を知る
【極意2】BABOKのタスクを正しく理解する
【極意3】業務の棚卸しと集計
【極意4】申請フォームに業務経験を入力する
【極意5】2人の推薦人を依頼する
【極意6】EEP教育を受ける
【極意7】支払と申請
【極意1】ビジネスアナリシス業務を知る:
当たり前のことですが、ビジネスアナリシスとはどんな仕事が該当するか知らなくてはいけません。実は意外と多いものです。
BABOK(R)ガイドによると、「ビジネスアナリストとは、肩書や職種には関係なく、ビジネスアナリシスのアクティビティを実行する人なら誰でもビジネスアナリストである。ビジネスアナリシスを実践するのは、ビジネスアナリストと名刺に刷られた人だけではない。他にも、ビジネスシステムアナリスト、システムアナリスト、要求エンジニア、プロセスアナリスト、プロダクトマネージャ、プロダクトオーナー、エンタープライズアナリスト、ビジネスアーキテクト、経営コンサルタントなども含まれる。本書に記載されたタスクを実行している人ならだれでもあてはまるのである。 またプロジェクトマネジメントやソフトウェア開発、品質保証など、関連分野に従事する人も該当する。」
要は、BABOKガイドに記載されているタスクを実行していることがビジネスアナリシス業務ということです。
ひょっとしたら、自分の仕事(もしくは仕事の一部)もビジネスアナリシスかもしれないと思う方が多いのではないでしょうか。そういう方は次にお進みください。
【極意2】BABOKのタスクを正しく理解する:
では具体的にBABOKガイドに記載されているタスクとは何でしょうか。これを明確にするためには、やはりBABOKガイドをしっかり読む必要があります。ただ、残念ながら通常に読める代物ではありませんので、思い切ってEEP(IIBAの認定教育プロバイダ)のコースに参加することをお勧めします。いずれ21時間の専門教育が必要です。その一部を早めに受講することです。
どんなコースでも良いというわけではありません。32個のタスクをしっかり解説してくれるコースを選択する必要があります。実はあまり多くありませんので注意が必要です。「知識エリア」レベルの解説では意味がありません。IIBA日本支部主催の「BABOK説明会」は知識エリアレベルの解説どまりです。残念ながら目的を満たしてくれるものではありません。
また、ロールプレイや演習中心のコースはビジネスアナリシスのスキルを向上するためには重要ですが、この目的にはふさわしくありません。
ポイントはコースの学習目標に「32個のタスク」を明記してあるものを選んでください。
拙著「やさしくわかるBABOK」では、全てのタスクを解説してあります。手っ取り早く理解するには適しているかもしれません。
各タスクの具体的内容が分かれば、自分の仕事がビジネスアナリシスに該当するのかどうかが分かります。ビジネスアナリシスに該当する仕事を全くしていない人はいないのではないでしょうか。例えば、営業の人ならお客様とインタビューするでしょう。BABOKの「引き出しを実施する」タスクに該当します。ただ該当する業務を何時間(何日間)しているかが問題なのです。
【極意3】業務の棚卸しと集計:
実はこれが極意中の極意です。
まず、自分の業務(仕事)の棚卸しです。過去10年間(CCBAなら7年間)に実施してきた仕事の棚卸しをBABOKのタスクの観点で行います。現在の業務(プロジェクト)でBABOKのタスクを何時間(何日間)行っているでしょうか。それを「知識エリア」ごとに集計します。
例えば、直近半年間で「エンタープライズアナリシス」のタスクを80時間(10日間)、「引き出し」のタスクを40時間(5日間)、「要求アナリシス」のタスクを40時間(5日間)...という具合です。
また、昨年は 2つのプロジェクトで各々の「エンタープライズアナリシス」のタスクを何時間(何日間)、「引き出し」のタスクを...という具合に、棚卸しを実施していきます。
それを過去10年間(CCBAなら7年間)の全プロジェクトで繰り返します。作業そのものは難しくありませんが、時間がかかります。エビデンス(証拠)を求められることがありますので、議事録、作業記録、日報・月報などを確認しておく必要があります。ですから余計に時間がかかります。逆に時間をかけてください。それが承認を短時間で得るための秘訣です。
ビジネスアナリストの基礎コンピテンシには「倫理」がうたわれています。また、CBAP®/CCBA®申請書には「宣誓文」にサイン(実際はチェック)しますので、正直な時間(日数)を集計してください。エクセルを使用することをお勧めします。
自分の仕事の棚卸しをするよい機会だと思いましょう。
全ての業務の棚卸しがすんだら、下記のCBAP®/CCBA®の資格要件を満たしているかを確認します。
- 過去10年間にビジネスアナリシス業務に7,500時間(CCBA®なら 7年間で3,750時間)
- 6つの知識エリアのうち、4つ以上の知識エリアにおいて900時間以上(CCBA®なら2つの知識エリアで900時間以上、または4つの知識エリアにおいて500時間以上)従事していること
この確認ができるまで、Web上のCBAP®/CCBA®入力フォームに入力してはいけません。入力そのものは容易にできますが、計算もしないまま入力すると数字が合わなくなり、却下される可能性が高くなります。ですから、エクセルで集計し資格要件を満たしていることを確認してから入力してください。
【極意4】申請フォームに業務経験を入力する:
ここでは画面に従って入力していきます。入力そのものは難しくありませんが、以下のようなワナ(落とし穴)が仕掛けられていますので、細心の注意が必要です。
プロジェクトごとに、ビジネスアナリシス活動の時間を入力します。各知識エリアで使用したパーセントを記入します。そして、リストの中から実施した業務をチェックします。実はここに落とし穴があります。
このリストにはビジネスアナリシスではない業務(例えばプロジェクトマネジメントや品質保証)が混じっています。うっかりそれをチェックすると、その分活動時間から差し引かれてしまいます。ですから、たとえ実際に実施している業務であっても、チェックしてはいけません。それはビジネスアナリシス外の業務なので、ビジネスアナリシスの業務時間とはみなされないのです。最初に記入するビジネスアナリシス業務時間のスコープ外とあつかいます。
特にプロジェクトマネジメントと兼務の方は最も気を付けることです。プロジェクトマネジメントの時間はカウントできませんから、最初から対象としないようにします。
そして、リストされているプロジェクトマネジメント関連の業務は無視することです。実際に実施している業務を見るとついチェックしたくなるものです。(例えば、プロジェクト憲章を策定する、など)ですが、それをチェックしてはいけないのです。あくまでビジネスアナリシス業務のみをチェックします。もし、ビジネスアナリシスでない業務をチェックすると活動時間から差し引かれ、その結果、業務経験の資格要件(7,000時間または3,750時間)を満たさなくなってしまい申請が却下されてしまうおそれがあります。最も注意するべきことです。
そうならないためにも、BABOKガイドの正確な理解が必要です。チェックしてはいけない業務のリストを提供することも可能ですが、それよりBABOKガイドの内容(知識エリアのタスクの意味)を学習し、正確に理解していれば済む話です。正しい道をお勧めします。単なるテクニックに溺れることのないようにしましょう。それが最短で承認を得る極意につながります。そのためにも、【極意2】「BABOKのタスクを正しく理解する」ことが重要です。
注意:この入力画面は何も入力しないでいると、1時間でタイムアウトになります。1プロジェクト入れたら、セーブしてください。それを頻繁に繰り返します。
筆者も一度失敗しました。入力途中で食事をし、戻ってから残りを入力しようとしたら、ログオフされていてそれまでの入力が無駄になってしまいました。くれぐれもそういうことのないようにこまめにセーブしてください。
【極意5】2人の推薦人を依頼する:
この作業は【極意4】と並行して進めてください。推薦人を引き受けていただける方を説得する必要があるかもしれません。CBAP®/CCBA®の価値を十分に説明してあげてください。自分のキャリア形成のために必須の資格であることを理解してもらう必要があります。
推薦人には厳格な条件があります。誰でも推薦人になれるわけではありませんので注意ください。上司、クライアント、CBAP資格保有者の中から2名必要です。そして知り合ってから6カ月以上の人でないと推薦人にはなれません。早めに依頼するのが良いでしょう。依頼というより相談をすることをお勧めします。「ビジネスアナリシスの資格を取りたいが、どう思いますか?」という程度から始めてはいかがでしょうか。正式に依頼するのは、EXCEL集計の結果、見通しが立った時点が良いと思います。お願いした後で、業務経験が足らず受験できなかったという事態にならないようにしましょう。そのためにも、【極意3】「業務の棚卸し」の作業は極めて重要なものになります。
注意:
推薦人の名前とメールアドレスを入れて、セーブすると、その瞬間にIIBAからメールが推薦人に送付されますから注意してください。その前にしっかり説明しておかないと驚かれます。外国からのメールを「迷惑メール」に仕訳けられてしまうケースがあるようです。うっかりするとそのまま廃棄されてしまいます。そうならないように事前の連絡は必須です。
推薦人にも少なからず負担がかかります。推薦状のフォームに入力する方法をしっかり教えてあげてください。推薦文をフリーフォーマットで入力しなくてはいけません。英語でスラスラ推薦文を書ける人なら問題ありませんが、そうとは限らないと思います。一緒に英文を考えるなど、良い関係の推薦人であることが必要です。特にクライアントに推薦してもらう場合は、なおさらです。ビジネス以上の関係のある人が良いでしょう。ここでも時間が必要です。
【極意6】EEP教育を受ける:
ビジネスアナリシス専門教育を21時間受けている必要があります。過去4年間で21時間に満たない人は、申請までに21時間分の教育を受ける必要があります。どのビジネスアナリシス教育が専門教育として要件を満たしているかは、申請してみないと分からないところがあります。例えば、IIBA日本支部が主催している「BABOK説明会」は対象となりません(とIIBA日本支部が明言しています)。
弊社を含むEEP(IIBAの認定教育機関)が提供する教育で、CDU証明を発行している認定コースはIIBAが要件を保証してくれていますから安心です。また、EEPの提供している教育全てが対象ではありませんので注意してください。CDUを発行している教育のみが認定されています。
たまに「CDU申請中」という教育を見かけます。受講する時点で認定されている保証はありませんので、これも要注意です。最近、コース認定に要する時間が長くなる傾向のようです。
ちなみに、CDUはContinuous Development Unitの略で、CBAP®/CCBA資格を更新するときに必要な教育時間という意味です。初回のCBAP®/CCBA®申請では、PD Hours(専門開発時間)という表現が正確です。弊社の場合ですと受講証明書に、「PD Hrs./CDUs:7」という表記をしています。
どの教育を受けたらよいかは一概には言えません。受験者のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。例えば、業務経験で自分の弱い部分が明確になれば(エンタープライズアナリシスや、要求アナリシス)、そこにフォーカスした教育を受けるのも一つの方法です。実際に役に立つ教育を選択するようにしましょう。
IIBA日本支部のWebサイトにはEEP紹介のページがあります。ある程度、参考になると思います。
URL: http://www.iiba-japan.org/professional/eep.html
ただ、EEPのWebサイトの情報だけでは判断しづらいと思います。興味のあるコースは遠慮なくそのEEPに問い合わせてみることをお勧めします。
受験勉強を今やる必要はありません。
申請をパスしないと意味ありませんから。申請に集中する方が重要です。早期に模擬試験を受けても、忘れるだけではないでしょうか。
清水が英語の参考書を購入し試験勉強をしたのは受験申請が承認された後でした。CBTですから受験申請が承認されれば早ければ1ヶ月程度で受験が可能です。それでも承認をもらうまでは何も事前の試験勉強はしませんでした。承認されないと何も始まらないからです。
ビジネスアナリシスのコースを提供していますが、模擬試験よりもっと本質の理解に役立つコースのほうがよっぽど重要です。例えば、基礎コンピテンシや引き出しのテクニックなどは知っているだけでは何も役に立ちません。このようなコンピテンシやテクニックは、できて初めて役に立つものです。どれだけできるのかが問題なのです。例えば、ステークホルダーから信頼を得るためには具体的にどうしたらよいのでしょうか。ファシリテーションを円滑にするためには、どうしたらよいでしょうか。真のニーズを引き出すためのインタビューテクニックはどのようなものでしょうか。ビジネス要求を明確にするためには、スポンサーにどのような質問をしたらよいでしょうか。
今まで、顧客の言うこと(要求)をソリューションとして忠実に実現することが自分の仕事だと思っていませんか。それが真のニーズだと言える保証はどこにあるのでしょうか。BABOKではビジネスアナリストが「真のニーズを引き出すことに責任を負う」と明言しています。それを可能にしてくれるような認定コースを選択しましょう。
【極意7】支払と申請、その他
これは極意というほどのものではありません。入力画面のガイドに従って、VISAまたはMaster Card で支払いをします。それ以外のカードは受け付けてくれませんので、お持ちでない方は、早めにVISAもしくはMaster Cardを作っておいてください。
申請が承認されると受験の手続きです。受験費用の支払い方法が次の2つの方法があります。
- Paypal アカウントにより支払う方法
- 郵便局から国際郵便為替(Money Order)による支払い(*注意)
スムーズさから言うとPaypalの方をお勧めします。ただし3.5%の手数料がかかります。
Paypalアカウントは一度作成すると、他の支払いにも使えますから、作られたらいかがでしょうか。
Money Orderの場合、郵便局の手数料が2,000円、さらにEMS(国際宅急便)に1,200円かかります。金額でもPaypalの方がお得です。郵便為替(Money Order)による支払いは郵便局に出向いて行き、窓口で訪ねてください。親切に教えてくれます。$325(非会員なら$450)プラス手数料(2,000円)を支払いMoney Order(小切手のようなもの)を受け取ったら、EMSでIIBA Certification宛に送ります。数日後にCertification担当から受領メールが届きます。
【注意】:
この国際郵便為替(Money Order)は現在日本とカナダとの間で使用することができません。
その他として、CBAP®/CCBA®合格体験記も参考になります。特に初期にCBAP®資格を取得された方々はそれなりの苦労があります。ぜひお読みになることを勧めます。
IIBA日本支部のWebサイトから閲覧することができます。
URL: http://www.iiba-japan.org/cert/voice.html