どこでもビジネスアナリシス (86)

86 なぜそうなったのかを考える

86.1 現状と状況変化の経緯を捉える

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何か課題を持っているときは現状を変えなければならないという意識を必ず持っているはずです。そのためには現在の自分達の状況を正しく認識することがまず必要です。現在の状況は突然そうなったのではなく、いろいろな経過を経て現在に至っています。その経過は単純ではないかもしれません。いろいろな要素が混じり合っています。それらの要素を現在の状況と現在の状況に至った状況との二つの視点から現象の変化として抽出して時間軸で分解していくと、プラスに働いた要素とマイナスに働いた要素とが明らかになり、なぜそのようになっていったのかの状況変化のプロセスが見えてきます。ただ、表面的な現象だけでなく、この間に背景環境の変化があったことに注目して、ビジネスの状況にどう影響を与えたかを把握する必要があります。 

86.2 可能性のある理由を抽出する-それぞれの理由の成立要因を見つける

現状と、現状に至る経過の構成要素それぞれに対して「なぜそうなったのか」という理由を分析することによって、現在に至った状況をさらに詳しく把握することができます。理由の抽出には構成するさらに細かい要素の変化が把握できればよいのですが、できるだけ客観的に多くの視点から観察します。組織内部の問題、外部環境の問題、人材の問題、組織の問題、資源の問題、戦略の問題、実行の問題、競争の問題、タイミングの問題、誤認の問題、速度の問題、パートナーの問題、マネジメントの問題、その他種々な視点がありますが、定量的に捉えることができれば要素間の相互関係を見ることができ、有力な背景分析になります。また、各種要素の時間変化を見ることは原因追及の強力な手段となります。観察する要素の絶対値、相対値、時間変化の三つはいろいろな分析と判断のための基本要素であって、今後の実行戦略構築の基礎になります。

86.3 背景要素の有無を確認する

ある時点でのビジネスの状態はいろいろな要素が混じり合っている複合状態の結果を表していますので、純粋な組織の変化とその環境変化とのバランスの結果と言えます。組織自体の変化はその環境に左右されることはありますが、割り切って組織内の変化とその背景要素の変化に分けて考えてみると、問題解決の要点がわかりやすくなります。背景要素には二つの比較視点があり、その一つは環境変化に対応したが勝てなかった、例えば相手と同質の競争をしたが負けてしまったという場合と、もう一つは異なる変化が起こり、結果的に目標を達成できなかった、例えば、目標とする原価低減は達成したが、大きな為替変動があり海外との競争に負けてしまったというような場合です。いずれの場合も、当初の想定設定が十分ではなかったことが原因ですが、その後の対応戦略の選択に差異が生じます。

86.4 構成する個別要素の判断も重要

ビジネスの現象はいろいろな要素の複合結果であり、上記の背景要素もそのひとつですが、少し詳細に観察しますと、組織内部の現象のみを捉えてみてもいろいろな現象が見つかります。例えば、複数のプロセスを経て完成される工程の管理では、一部のプロセスがボトルネックとなって全体のコストアップや工程遅延を起したりすることです。最終結果として目標原価や納期が守られなかった場合には結果として認識されますので、その原因追及がされますが、プロセス間のプラスとマイナスが相殺される場合などではマイナス面が認識されずに見過ごされてしまうことがあります。最終結果だけで判断することなく、構成される詳細レベルまで監視する習慣があればその後の問題の発生を回避するためにも効果的です。複合要素の因果関係を判断する意識が重要です。