どこでもビジネスアナリシス (89)

89 センサーを設定する

89.1 ビジネス状態を監視する-絶対値と相対値の変化

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ビジネスの状態を理解するために種々の経営状態の数値を記録することはどの経営者もやっていることです。ところがこれらの数値が明確な目的をもって意識的に記録され監視されているかに疑問を持つことがあります。何を目的に状態を記録しているのかの意識が明確でないことです。自分の組織にとってどのような状態をどのような正確さで監視することが重要か、それらをどう組み合わせて何を理解するのかということが明確でないことです。単に財務諸表の作成に必要な数値を集計しているということはないでしょうか。正確な現状の記録が絶対値としての基本ですが、その値の位置づけがどのような意味を持つかということを知るためには関連する他の数値との関係または相対値として認識することが必要です。それらの値が時間と共にどのように変化しているかを認識することにより次はどうなるであろうかという予測を含め、多くの経営の状況が判明する基本となります。 

89.2 最も重要なビジネス指標は何か

基本的な経営上の数値が日常的に記録され蓄積されてゆきますが、その中からどの数値に注目して行くかが大切です。経営数値は日々変化しますが、一般には日々固有な変動がありますからある期間の累積値や平均値が意味を持つことが多いと言えます。経営者が関心を持って見る数値は現在抱えている課題に関連する数値の日々の実績と変化の様子です。それぞれの事業において、個々の数値の他にそれらの組合せからなる指標の変化を認識することが基本です。直面する課題に対してどのような変化が起こっているかということと同時に、自分の事業においてはどのような期間におけるどのような指標を監視することが必要なのかを認知して定常的に監視していくことが大切です。その中には一般的な経営指標の他に、特定の事業や製品、あるいは部門に関する特別な指標があるはずです。自分の経営において、最も重要なビジネス指標を見つけだし、意識的に監視していくことが問題の発見や対応の方法を決めるためにも不可欠です。長期的に同じ指標を監視し続けることにより、微妙な変化を発見し、早期に対応できるもとになります。自分たち独自の指標を持つことは有意義です。

89.3 異なる視点からの監視-複合的に監視する

同じビジネスの状態も、その観測視点が異なると違うものが見えてきます。言い換えればビジネスのいろんなところにいろんなセンサーを設定していろんな角度から見ると違うビジネスの状態が見えるということです。新たなセンサーを設置するということではなく、いろんなところにあるデータを見つけて活用する事を意味しています。異なる視点から見た経営数値の組合せてどんな関連性があるかを描いてみると思わぬ発見があります。見えなかったものが見えてきます。とんでもないものとの関連があることに気付くことがあります。

89.4 外部環境との関連を意識し行動開始時点を決める

ビジネスの行動を起こすにはそのタイミングが重要であることは良く経験することです。同じことをしたのに実施タイミングにより成果が全く異なってしまうことは珍しくありません。すばらしい計画であったのに実行環境が整っていなかったのでうまくいかなかったという経験をよく耳にします。特にビジネスを取り巻く外部環境の判断が大切です。ここでも、センサーを働かせて外部環境がどのように動いているのか、どのように反応するのかを知るとともに、環境がどのように計画に影響するかのシミュレーションをすることにより行動開始の最適時点を探ることは有効です。新製品や新サービスの投入において、アンテナショップなどで小規模の試行をして環境の反響を探ってみることは良くおこなわれますがこれもセンサーのひとつです。