どこでもビジネスアナリシス (91)

91 リスクを知る

91.1 発生の可能性を検知する

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ビジネスにはリスクは常につきまといます。ポジティブなリスクもありますが、ここではネガティブなリスクを考えます。総てのリスクを避けて通ることができればよいのですが、リスクにチャレンジしないと大きな成果を得られないこともあります。リスクには予想できるリスクと予想できないリスクとがあります。予想できるリスクは過去の経験から可能性を認識することができます。ただ、その大きさの想定は課題です。見落としていたという人為的リスクは予想できる範囲として捉えるべきでしょう。予想できないリスクには過去に起きたことがない現象に遭遇するリスクと、発生は想定できるがその規模が想定限界を越えるものとがあります。いずれもその発生の可能性をどう検知するかが課題です。発生してしまった時の対応方法は被害を最小限に抑える手段として大切です。 

91.2 再発の防止

リスクとは何かという定義にもよりますが、繰り返して同じリスクに遭遇している場面が非常に多いのではないでしょうか。知っているのにまたやってしまうという場面です。このようなリスクは発生過程の流れがあります。何かが起こったことを出発点として次の現象が発生し、それらが連鎖反応的に起こりビジネスにダメージを与えるリスクです。これらは典型的な予想されるリスクです。むしろ発生することを承知でリスクを冒しているかもしれません。この種のリスクは多様なパターンがありますが、いずれも過去の事例として認知されていますから、そのパターンストーリーになりそうならばそこから脱却することです。経験があれば再発の防止策をとることです。典型的なパターンに移行する前兆的な環境や状況になりそうなときに回避策をとることが必要です。前兆的な状況のどこまで近づくかはもし危険状態に至らなかった時に得られる利益との戦略的判断です。

91.3 他山の石

過去に自分が経験した種々のリスクのほかに、他の組織で経験されたリスクは無数にあります。条件さえそろえば同じことが自分の組織で発生する可能性は高いと判断しなければなりません。そのような視点から見れば自分の経験も第三者の経験も同じです。自組織と類似な環境にある外部組織で発生したリスクは注意してその発生のプロセスを研究しておく必要があります。うちは大丈夫という意識は、発生プロセスの個々の段階において明確な対応をとらない限り危険です。類似の現象はいずれ自分にも降りかかってくるという認識をもって回避策を事前に準備しておくか実行しておくことが大切です。

91.4 回避の方法はいろいろ

リスクを回避することは健全なビジネスマネジメントの基本ですが、リスクをすべて回避する安全なマネジメントをすればよいかどうかはビジネス上の判断です。リスクの一部を受け入れてそれを越える利益を得る戦略がとられることがあります。また、リスクを冒さなければ高いリターンは得られないという判断もあります。リスクへの対応は事前に想定できるものに関しては回避策をとることが基本ですが、影響が許容範囲であるならばリスクを軽減する対策により対応することも行われます。マイナスのリスクをプラスのリスクとバランスさせて影響を軽減させる方法をとることもあります。また、発生するリスクを承知の上でその負担を複数の組織で分担したり、時間的に分散させて時間をかけて吸収することにより負担を軽減することも行われます。保険による損害への補てんを行うことはリスク補償の一つの手段です。いずれにしても予想されるリスクに対する対応策を準備しておくことはマネジメントの重要な要素です。