どこでもビジネスアナリシス (最終回)

100 ビジネスアナリシスのこころ    (最終回)

100.1 基本は人ー意識と思考と行動

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すべてのビジネスの背景には人がいます。ビジネスの行動や変革は人が発想し決定し実行します。ビジネスにかかわる人たちがどのように考えどう行動するかによりすべてが決まります。何もしなければ何も起こりません。意識をもって何かをしようとするときに変革が始まります。どうすれば最も効果的にできるかを考えます。その実行の途中に何が起こるだろうかを想定し対策を考えます。計画を作成しただけではまだ何も起こりません。信念をもって計画を実行し目標を達成する意識が必要です。途中で起こる種々な障害を乗り越える意志と努力が成果に結びつきます。ビジネスアナリシスはこのような人たちの意識と思考と行動の上に成り立ちます。

 

100.2 何をどうしたいのかー現状を認識し目標を定める

ビジネスには多様な行動目標や課題があります。何かを実行したいときや変化を起こしたいときには何をどうしたいのかという明確な意識が必要です。行動目標はそれが妥当でなければなりません。そのためには自分が今どのような環境の中のどのような位置にいるのかを正しく認識することが必要です。自分の周りの社会、ビジネス、市場、国の政治や経済、国際情勢の認識も必要です。ビジネスにおける競争環境の分析と理解は基本です。そのほかに重要なのは自分たちの行動能力です。利用可能な資源、人材、財務、技術力、経営力、時間などこれから競争していくために必要なあらゆる能力の正しい認識が必要です。そのような現状を背景として実行しようとする目標を定めなければなりません。目標は周囲の環境、自分たちの能力に照らして妥当でなければなりません。これから変化すると思われる周囲環境に対しても対応しなければなりません。そのような環境認識のもとに何をどうしたいのかという目標を定めることがこれからの行動の基礎になります。 

100.3 目標を達成する最適な手法とプロセスの追究ーあらゆる方法が道具になる

設定され目標を達成する方法は数多くあります。その中から現在の環境と自分たちの能力に最も適した手法とプロセスを選択しなければなりません。無数にある手法やプロセスの組み合わせの中からどうやって実行方法を選ぶかは選択の評価基準を何にするかによります。必要なコスト、時間、可能な人材、技術力など種々な制限がある中で何を重要と考え、何を避けるべきかの判断が必要です。能力の不足は外部の協力を求めることも可能です。何かを犠牲にしてもそれを上回る成果が期待されるならばその方法の選択も可能です。重要なことは、高度な技術や大規模な投資が常に有効であるとの判断は全く根拠がないということです。簡素な手法や分散された基礎的な仕掛けの組み合わせが高度な結果を導く可能性はいくらでもあるということです。あらゆる方法が道具になることを認識して方法の組み合わせを考えることが重要です。実現までの達成時間はとても重要なことがあります。ビジネスでは他者に先行することが優位になることが多いからです。実行加速のための方法があるならばそのための努力は評価する価値があります。 

100.4 適用に限界はないーどこにでも適用できる

ビジネスアナリシスという呼び方はビジネスに限定された方法論であるかのような印象を持っていますが決してそうではありません。営利目的ではない事業である行政、福祉、教育、研究、医療、災害復旧事業などはもちろん、種々なスポーツの向上、日常の行動計画においても全く同じように適用することができます。なぜならばこれらすべてにおいて対象とするテーマとその目標に対して価値のある対応方法を提案できる概念だからです。ビジネスアナリシスの概念を理解しますと日常のあらゆる思考判断が容易にできることに気が付きます。