実際にDMNを作ってみましょう。
読者に分かりやすい例として、KBマネジメント社のビジネスアナリシス研修のレコメンデーションの意思決定を取り上げてみましょう。実際に弊社が行っている方法を意思決定モデル(DMN)で作成してみます。
(図1)[クリックで拡大表示]
DRDは極めて単純なものを書いてみます。
BA研修をレコメンドするためには「BA研修」というリストが必要です。これは単純に弊社のビジネスアナリシス研修のリストです。おかげさまで今年になって、3コース増えました。
- ビジネスモデル・イノベーションと戦略アナリシス
- ビジネスアナリシス実務 入門
- ビジネスルールと意思決定マネジメント 入門
その一方、BABOKがバージョン3になり、CBAP/CCBAの日本語試験がまだ開始されていませんので、それらの試験対策コースが保留状態になっています。その結果、弊社の現状のビジネスアナリシス研修のリストは次のようになります。
[図のクリックで拡大表示]
また、これらをロードマップ的に表記した図が次の通りです。
上記リストは現時点のもので、半年後(おそらく)には、CBAP日本語の試験対策研修を提供することになれば、その時点でBA研修リストのテーブルも更新されます。新しいコースが可能になった時点でリストに追加するだけでBA研修のレコメンドが可能になります。
つづいて、「顧客」の部分(図1の右下)です。
顧客は様々な顧客がいますが、ビジネスアナリシス活動に熱心な業界もあれば、そうでない業界もあります。またユーザー企業、IT子会社、ITベンダーなどの分類が可能です。
これらは筆者自身のノウハウによるものですが、
- 業界(特定業界はBA活動が熱心な特定業界があります。 例:保険業界)
- 分類(ユーザー企業、IT子会社、ITベンダー)
- ITエンジニア数
- PM数(PMの人数はBAの必要性と強い相関があります(経験則)。)
このような属性を組み合わせると、顧客にランク付けをすることが可能です(ビジネスルール)。
最も簡単な意思決定モデルを作成します。
「顧客ランク付け」がいわゆるビジネス知識ですが、下のようなデシジョンテーブルで表現できます。顧客を「Aランク」「Bランク」...とランク付けします。表には出てきていませんが、優良顧客を「AAランク」「AAAランク」とする場合もあります。
このランク付けは暫定的なもので、ビジネス環境の変化に応じてダイナミックに変更していく可能性があります。ビジネスプロセスから意思決定(ビジネスルール)を分離して管理することのメリットです。また、ランク付けルールが事前にできていればよいのですが、ランク付けがまだ最終的でない場合でも、この意思決定モデルは変化せず、中のルールの組み合わせを変えるだけで新たな意思決定ができるようになります。
最後に、レコメンデーションに必要な顧客特性を研修リストに追加したものが「顧客特性レコメンデーション」テーブルです。
これで、DRD(意思決定要求ダイアグラム)のすべての要素が出来上がりました。
次の図は全体像です。
このDRDにより、特定顧客に対するBA研修のレコメンデーションをすることができます。
いとも簡単に意思決定がモデル化できることが分かります。
次回は受講者個人に対するレコメンデーションの意思決定モデルを考えてみます。
少しお待ちください。