解説 ビジネスデータアナリティクス (6)

BDA領域4 結果を解釈し報告する

「結果を解釈し報告する」領域は、データ分析から得られた結果からビジネス上の洞察を、ビジネスデータアナリティクスの成果として、ステークホルダーに伝達・報告する方法を決めます。

この領域でおこなうことは、まず 洞察を伝達するために計画をおこない、ついでアナリティクス結果を解釈し、そして調査結果を説明することです。

BDAスライド_結果を解釈し報告するタスク_2021年12月5日

この領域で具体的に行うタスクは以下の通りです。

  1.  ステークホルダー理解の妥当性を確認する
  2.  ステークホルダー・コミュニケーションを計画する
  3.  ステークホルダーのコミュニケーション・ニーズを見極める
  4.  データから洞察を引き出す
  5.  完了した分析からの発見を文書化し伝達する
  6.  結果を解釈し報告するためのテクニックを選択する

具体的に解説します。

1.ステークホルダー理解の妥当性を確認する

アナリティクス・チームは継続的に以下のことを評価します。

  • ・ 変化しつつあるニーズと目標
  • ・ 調査課題の重要性
  • ・ アナリティクス結果の速報性への期待
  • ・ 結果の解釈に必要なスキルセット
  • ・ アナリティクスについて教育と経験のレベル

そして、ステークホルダーがチームに共感を生むような結果の解釈と報告を行うための最良の機会を得られるようにします。

2.ステークホルダー・コミュニケーションを計画する

いつ、どこで、誰に何をどのように(5W1H)伝達する必要があるかを特定します。すなわち他のBAイニシアチブと同様に、ステークホルダーが誰であるかと、個々のステークホルダーやステークホルダー・グループのコミュニケーション嗜好をアナリストが知り、理解することです。

アナリストは次のことを考慮します。

  • SHコミュニケーションは最終報告までに中間報告を適宜行う(反復的)。
  • 対象のSHによって公式度や詳細度が変わる
  • アナリティクス結果を解釈するためにSHに要求される専門性のレベル。
  • 維持すべきプライバシーと機密性のレベル。
  • 進捗と利用するアプローチについてSHに継続的に報告する
  • イニシアチブの期間中にコミュニケーションを維持すること。
  • さらなるアクションとフォローアップのためにSHからのフィードバックを記録すること。

3.ステークホルダーのコミュニケーション・ニーズを見極める

これもビジネスアナリシスのイニシアチブでお馴染みのものです。
ステークホルダーのコミュニケーション・ニーズを見極めることで、個々のステークホルダーまたはステークホルダー・グループに対して明確にメッセージが理解されるように、コミュニケーション方法をカスタマイズできます。

ステークホルダー特性を理解することは、コミュニケーション・アプローチの計画に有効です。ステークホルダーのコミュニケーションに関する要求すなわちステークホルダーの次のような嗜好があります。

  • どの情報が最も関連があるか。
  •  どのように情報を受け取りたいか。
  •  どの程度の頻度で更新情報を受けたいか。
  • 誰が意思決定者か。
  •  どのような先入観を持っているか。
  •  どのような要素が分析を弱めることになるか。(たとえば、矛盾した結果やアナリティクス・アプローチ、データ異常、ステークホルダーへの影響、ステークホルダーからの影響

4.データから洞察を引き出す

データサイエンティストやアナリストは様々な化手法、またはデータ・モデルを使用してデータから推論を引き出し、パターンを理解します。データから得られる兆候がビジネス上の洞察につながるかどうかは、「結果を解釈し報告する」領域の適切な分析によって判断されます。

アナリストは、収集したデータから洞察を導き出すために、複数の可視化手法を使用します。特に技術的な可視化手法は、ビジネス・ステークホルダーを対象とした視覚化とは異なり有用です。

得られた洞察を効果的に理解するために、アナリストは可視化とそれを説明するデータストーリーにデザイン思考を適用します。

標準の可視化技法(棒グラフと折れ線グラフ)と独自の可視化手法の両方を使用することで、ビジネスのための意味のある有用なアナリティクスの結果を確実に伝えることができます。

体系化スキル、システム思考、デザイン思考、創造性、細部への注意力、ステークホルダー指向、業界知識などは、情報を処理し、整理された形で結果を検討し、組み立てるために必要とされる重要なスキルである。アナリストには、全体を俯瞰して結果を見る能力も求められます。

5.完了した分析からの発見を文書化し伝達する

アナリストはデータに基づいて結論を導き出します。 データ分析結果をどのようにパッケージ化して伝えるのが最適かを特定し、必要な要約のレベルを決定し、情報をグループ化します。

結果を報告する際に考慮すべきことはつぎの通りです:

  • 各ステークホルダー宛ての結論の中で、最も重要な側面はなにか。
  • より効果的に情報を伝えるグラフや他の視覚化表現はなにか。
  • 意味のある表示をするためには、どのような方法が最も効果的か。
  • コミュニケーションをより魅力的なものにする方法(動画など)はなにか

意思決定者は、データの可視化手法によってアナリティクス情報を、さまざまな視点や粒度のレベルから見ることが可能です。

データ・ストーリーテリングとデータの可視化が連携して、明確で簡潔、視覚的に魅力的なコミュニケーションが可能。これらを最も得意とするのは、ビジュアル思考やコミュニケーション・スキルを持っている人です。

6.結果を解釈し報告するためのテクニックを選択する

「結果を解釈し報告する」領域に適用可能な一般的に使用されるアナリシスおよびアナリティクスのテクニックの一部です。

  • インタビュー
  • プロトタイピング
  • 根本原因分析
  • ステークホルダー・リスト、ステークホルダー・マップ、ペルソナ
  • ワークショップ
  • ストーリーボード
  • 3分間ストーリー
  • ビジネスの視覚化
  • データジャーニーとデータ・オーケストレーション
  • ビッグアイデア
  • データ可視化・視覚化のためのUXパターンまたはUXフレームワーク

 

次回は 領域「ビジネス上の意思決定に影響を与えるために結果を活用する」を解説します。