【BABOK®アジャイル拡張版】(5) 第4章 アジャイルテクニック

4  アジャイルテクニック

4.1  アジャイルなビジネスアナリシスの状況(Context)

「BABOKガイド アジャイル拡張版」の本章では、ビジネスアナリストにアジャイル開発を支援する優れたテクニックおよびツールを提供します。このセクションで示されたテクニックとスキルをうまく活用するためには、いくつかの基本の法則を理解しておく必要があります。これらの法則は、アジャイルプロジェクトにおいてビジネスアナリシスを実践する場合に使用できる多くのテクニックに支援されます。

成功するビジネスアナリシスを導く法則は2つのフレームワークに分類することができます:

発見的フレームワークと、デリバリー・フレームワークです。

発見フレームワークはプロダクトに関するWhatとWhyに対処します。
有効な発見は3つの基本原則にから成ります:

  • 全体を見る、
  • 顧客として考える、
  • 何が価値があるのかを決めるために分析する、

デリバリー・フレームワークはプロダクトのHow(やり方)とのWhen(期間)に対処します。
有効なデリバリーは4つの基本原則に支援されます:

  • 実際に使える例を使用する(Get Real Using Examples)、
  • 何が実行できるか理解する、
  • 協働と継続的改善を促進する
  • 無駄を省く

これらの基本原則はあくまでガイドラインであり、必ず実行しなければならい規則というものでないことに注意してください。例えば、デリバリー・フレームワークの中の、「実際に使える例を使用する(Get Real Using Examples)」の原則に述べられているテクニックは、発見フレームワークにおいても同様に有効である場合があります。

次のテーブルは、各原則を支援するアジャイル拡張版のテクニックを示します。

アジャイルビジネスアナリシスの原則

 

ディスカバリーフレームワーク

デリバリーフレームワーク

全体を見る 顧客として考える 価値を分析する 実際に使える例 実行を理解する 協働と継続的改善 無駄を省く
ビジネス能力分析 ストーリー分解 バックログ管理 ビヘイビア駆動開発 相対的見積もり 協働ゲーム 手軽な文書
ペルソナ ストーリー綿密化 ビジネス価値定義 計画ワークショップ 振り返り
バリューストリームマッピング ストーリーマッピング 狩野アナリシス リアルオプション
ユーザーストーリー MosCow優先順位
ストーリーボーディング 目的アライメントモデル

  4.2 アジャイル拡張テクニックに関する注釈

ここで記述するテクニックは、アジャイルビジネスアナリシスを支援する際にその価値が証明されたものです。しかし、このリストがすべてであるとか、正統の方法である、と主張しているわけではありません。これらのテクニックはチーム・メンバーの経験に基づいて選択されたものですが、アジャイル拡張版および現行BABOKガイドには記載されていない新しいテクニックを表しています。アジャイル拡張版将来版では恐らくさらに新しいテクニックが含まれるでしょう。また、さらに、ここでリストされたテクニックのうちのいくつかは削除されることもありえます。

さらに、ここでリストされたテクニックの多くは、アジャイル開発に取り組んでいないビジネスアナリシスの実践者にとっても有用であると分かるでしょう。

アジャイルアプローチは、それらの手法とテクニックの継続的改善に注目しようとしています。BABOKアジャイル拡張版におけるテクニックは定期的にレビュー、更新されることが要求されます。

 

4.4 アジャイルビジネスアナリシスのためのガイドライン

アジャイルなコンテキストの内部のビジネスアナリシスを実践するための次の7つのガイドラインは、アジャイルマニフェストの価値および原則に基づきます。それとともに、このガイドラインはアジャイルビジネスアナリシスの規律を具体化します。

本章に述べられていた様々なテクニックを適用する場合、このガイドラインは価値のあるコンテキストを提供します:

  • アジャイルなコンテキストにおいて、ビジネスアナリシスは、人、プロセス、テクノロジーを見て、本当の価値がどこに位置するか調べて、組織に価値のあるソリューションを最大化する支援をするシステム全体を支援します。
  • アジャイル分析は、価値と期待を理解するために顧客の声に特別の注意を払います。
  • 何が価値があるか明確にするために、プロダクトニーズを引き出し、妥当性を確認するために、具体的な例を使用することは一般的です。
  • テクノロジー・ステイクホルダーは効果的に分析されたニーズによって権限を移譲されます。所定の時点でどれだけの作業を届けことができるかを決め、プロダクト要求オプションの識別し、ビジネスパートナーにソリューションを推薦することを決めることを支援します。
  • 促進する技術は効率的で有効な協働を可能にし、プロダクトを定義し実現するチームの能力を加速してくれます。
  • 信念と安全は健康なチームに不可欠であり、透明に改善の機会を識別することを可能にします。プロダクトとプロセスの両方の改善は極めて重要です;したがって、アジャイルなチームはよくなるために絶えず奮闘します。
  • 常に、無駄なものを見つけたら、省きます。

これらのガイドラインを採用することにより、基本的ビジネスアナリシステクニックはてこ入れされ、拡張され、適応されることが要求されます。

アジャイルなコンテキストに当てはまるビジネスアナリシステクニックのマトリックスについては、49ページの「アジャイルなガイドラインにマップされたBAのテクニック」を参照してください。