どこでもビジネスアナリシス 3

3 どこでもビジネスアナリシス

3.1 日々の行動の二つのパターン

日々のビジネスの行動をみると二つのパターンがあることがわかります。 その一つは伝統的な習慣や決められた規則によって処理する行動であり、もう一つはどうすれば目的とする結果が得られるかを考え、行動を組み立てながら実行するパターンです。 このような行動は日常生活においても同じであって、朝起きてからの一日の行動、特に食事、掃除、入浴、洗濯、買い物、通学、通勤などは殆ど習慣的に実行されていますが、特別な行事を計画したり、時には緊急な対応を必要とする場面が発生したりしますが、これらは後者に属します。”

3.2 日常生活はビジネスアナリシスの課題の宝庫

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同じ習慣に従って日々実行しているように見える行動の中にも、実はいろいろと考えたり、分析したり、判断したりしていることは少なくありません。 例えば夕食の料理は何にしようかと考えることは常にありますが、特別なメニューにしようとすることもあれば、冷蔵庫にある材料の組合せで何かを作ろうとすることもあります。 そのような判断は無意識のうちにしているように見えますが、実は習慣的、あるいは経験的に何らかのルールに沿って判断し、決定しているはずです。 何か特別な料理を作ろうとする場合には食材の購入が必要な場合が多いのですが、食材の購入も同じく習慣的に実行されていることが殆どですが、そこには経験に基づく購入場所や食材の選択のほかに、場合によっては、新聞の折り込み広告やネットで配信されるいろいろな広告の中から新たな購入先や食材を選ぶこともあります。 食料品の購入においても、一週間分の材料を纏めて購入する場合にはさらにいろいろな判断要素があります。 現在、冷蔵庫に残っている食糧品を頭に入れ、これからの一週間の行動を考え、家族はどのようなものを好むか、そのためには何をどれだけ買っておけばよいか、などによる食材の種類と量の判断と、どの店では何をどのような価格で売っているか、或いは現在どの食材が高値、或いは安値にあるか、どの店の肉や野菜の品質が良いか、などは経験と周囲の情報の組合せで殆ど瞬間的に決めていると思われますが、その裏には経験と分析に基づく多くの判断技術が隠されています。 スーパーなどの店頭において、思いがけない食材を見つけたり、忘れていたものを想い出したり、或いは特売品を見つけたりすると、とっさの判断で購入計画を変更することは珍しくありません。 そのような判断をする場合にも、購入計画の変更はどのような料理の変更をしなければならないかを柔軟に判断していますし、場合によってはとりあえず買っておこうということもあります。 冷蔵庫の保管スペースや賞味期限と消費量とのバランスも考えているはずです。 衝動買いのようなとっさの行動は、その結果の他の計画への影響も再検討しなければならないことが少なくありません。 時には購入の失敗もあります。 これらの判断や行動のパターンは、ビジネスにおける判断や行動のパターンと類似であり、日常生活はビジネスアナリシスの課題の宝庫だと言えます。

3.3 対象は何であってもビジネスアナリシスの基本は同じ

日常生活での行動はミクロな行動事例ですが、これらの行動はあらゆる行動の基本であり、意識しているか無意識であるかによらず、すべて何らかの最適化や意思決定に基づいた行動であって、ビジネスアナリシスの対象そのものです。 日常のビジネス行動においても類似の問題は常に発生していて、ビジネスにおける行動と日常生活における行動とはビジネスアナリシスの視点から見れば何ら変わるものではないことが理解できるとともに、ビジネスアナリシスの原点はそこにあると言えます。 日常生活での買い物の行動は、ビジネスにおける資材の要求、購入、価格や品質の評価、消費量と在庫計画、などと同じであり、ビジネスであっても日常生活であっても、医療や教育や行政の問題であっても基本的な問題解決の考え方の構造は同じなのです。